『ものがたりいちば』

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「ザ・ボーイズ」シーズン2の6話の感想

ストーリーは一見スローだけど、よく見ると激流だった!!
ネタバレあります!ご注意を!

 

 

※この感想は配信開始時に1話ごとリアルタイムで書いていたものですので、的外れな展開予想などがあるかもしれません。というか恥ずかしいくらいいっぱいあります。ご留意ください。

 


前回まではややスローペースだな~、という印象でした。
3話のラストで、せっかく再会したキミコの弟がストームフロントに首をへし折られて殺されるという衝撃的展開がありました。4、5話はゆったりとした展開で進み、クライマックスに向けての種をまく、という感じでしょうか。

 


・今回のあらすじ
前回のラスト、一触即発だったホームランダーとストームフロントは「空中浮揚セックス」という衝撃の和解を遂げました。今回もそのままの流れでイチャイチャし続けます。パトロールも2人で行動をともにして前戯しながら、コソドロの頭を破裂させます。よくなにかが破裂するドラマですね~。


いつも一緒にいたがる様子はまるで思春期のカップルみたいです。実際は中年男と精神は老婆のカップルなのですが……。
とはいえ、2人はスーパーヒーローの最高峰集団「セブン」という責任ある立場です。
街のパトロール任務もありますし、映画の撮影もあります。ヴォート社の広告塔としての仕事もあります。


そんなわけでストームフロントは撮影現場からヴォートの本社に出かけるのですが、すでに欲情していたホームランダーは不満です。完全に盛りがついております。

 

いっぽうそのころ、ボーイズの面々は、前回アニー(スターライト)がストームフロントのPCを盗み見て入手してきた情報をもとに、セージグローブセンターという精神病院に潜入することにしました。どうやら、コンパウンドVに関するなんらかの人体実験が行われているとのことです。


看護士を装って潜入するメンバーはエムエム、フレンチ、キミコです。しゃべれないキミコを潜入メンツに選んだのは、スーパーヒーローと遭遇したときの戦力としてでしょう。アニーも立候補したのですが、さすがにスターライトは顔が売れすぎていてバレバレなのでブッチャーに却下されました。

 

なんなく潜入を果たした3人は警備室の監視カメラで妙なシーンを目にします。
多くの能力者たちが隔離病室に閉じこめられていたのです。その多くは奇妙な行動をくりかえしていて、拘禁反応と思われるほど精神が荒廃している者もいます。
その病室の一つになんとストームフロントと看護士が現れたのでした。ストームフロントがホームランダーに言った「ヴォート社に用がある」というのは嘘でした。
でもストームフロントはすぐに帰りました。発情したホームランダーを待たせていますので……。

 

残った看護士がライターの火を増幅して火炎放射器のように火炎を作り出し、患者を焼き殺してしまいます。
その光景を見たエムエムとフレンチの顔色が変わります。コスチュームを着ていないので気づかなかったのですが、看護士はランプライターだったのです。


シーズン1から名前はちらほら出ていましたが、ランプライターはかつてセブンに在籍し、初代ボーイズを作ったCIAのマロリーの孫を生きたまま焼き殺したスーパーヒーローです。

 

激昂したフレンチは警備室から飛び出して、ランプライターを撃とうとするのですが回避され、火炎放射で反撃されます。フレンチはすんでのところで回避できたのですが、それた火炎のせいで隔離病室の扉が消し飛んでしまいました。
そこから坊主頭の女性患者(シンディ)が出てきます。これはまずいことになりました。


シンディは、監禁され、人体実験されていたことで病院側の人間に強い恨みを抱いているようです。その場でぎゅっと手を握っただけで、はなれた場所にいた警備員の頭を破裂させてしまいました。
ほんとうによくなにかが破裂するドラマですね~。
ケンジの念動力の上位互換版でしょうか。抗いようもなさそうなので非常に強力です。
ボーイズは潜入のために看護士のコスプレをしていたので、標的にされます。話が通用しそうにない完全にやばいやつなので、ボーイズもランプライターもとりあえず逃げます。

 

女性能力者は深追いせずに病室の扉を次々に破壊していきます。怒り狂った能力者たちが通路に出てきます。監禁していた病院関係者からすれば悪夢のような状況でしょうね。
報復による殺戮の嵐が吹き荒れます。中には自由を得ることを優先させて病院から脱走した能力者もいたようです。

 

追い詰められたボーイズとランプライターはとりあえず休戦協定を結びます。
というのもランプライターはマロリーの孫を焼き殺したことを深く後悔していたのです。彼が焼いたベッドには、本当ならマロリー本人が寝ていたはずだったと彼は言いました。ボーイズはその発言を信じます。


ランプライターの話はこうでした。
セージグローブセンターは成人へコンパウンドVを投与して、安定して能力者を作り出すための実験場らしいです。子どもに投与すれば安定して効果を発揮するのですが、なにしろ成長まで時間がかかりますから、数を揃えられないのです。その点、大人を能力者にすることができれば、すぐにでもスーパーヒーローを量産できます。
量産してなにをしようとしているんだ?という疑問がボーイズの頭に浮かびますが、この時点ではわかりません。

 

ボーイズはフレンチお手製の爆弾で反撃を試みますが、坊主の女性能力者が一枚上手で、不発に終わり、逆に追い詰められてしまいます。と、そこへ戻ってきたストームフロントが坊主女性に電撃を浴びせます。坊主女性は気絶しますが、生きていて、このあとちゃっかり病院から脱出します。


ランプライターがなんとかストームフロントを言いくるめて、一行は病院を脱出しました。そしてマロリーを呼び出して、ランプライターと対面させました。
マロリーは即座に銃を抜き、彼を撃ち殺そうとしますが、フレンチが説得して止めました。
ランプライターは仲間になるのでしょうか?
あと、地味にヒューイが重傷を負いましたけど、まあ、それはね……?

 

ところで、ホームランダーはストームフロントの嘘に怒っていました。疑り深い彼はヴォート社に行ってストームフロントが来ていないという事実をつかんでいたのです。
これまでにも彼は嘘をつかれると尋常ではない怒りを見せてきました。ましてや心を許したストームフロントに嘘をつかれたことで今すぐ殺しかねないほど激怒しています。ストームフロントは彼の怒りをおさめるために、すべてを教えることにしました。
それはとんでもない事実でした。


ストームフロントは1919年ドイツ生まれでヴォート創始者フレデリック・ヴォート博士の妻。そして、ヴォート博士が開発したコンパウンドVが生み出した最初の能力者だったのです。
ストームフロントはホームランダーに告げます。
「ヴォート社の真の目的は、他の人種に文化を奪われることを防ぐこと。そして、その目的を達成するために私たちを導く光があなた」だと。
で、でた~ナチ!
オタクはナチネタが大好き!
再度和解した二人は幸せなキスをして、次回を待て!

 

 


・今回のえらすじ
ディープはメイブに頼まれて海中をおともだちの水棲生物に捜索させました。捜索目標は例の墜落した飛行機のブラックボックスですが、それに等しい証拠品のビデオカメラを見つけました。
カメラにはホームランダーとメイブが乗客を見捨てて逃げるシーンがばっちり映っていました。これでメイブはホームランダーへの切り札を手に入れたわけです。
さらにディープはセブンをはずされ落ち目のAトレインに接触し、共同教会の代表アダナに引き合わせました。アダナは物腰は柔らかい人物ですが、Aトレインをやんわりと脅して仲間に引き入れました。

 


・6話のまとめ
ボーイズにランプライターという新たな能力者が仲間になりそうです。
ヴォート社創始者フレデリック・ヴォートはナチスドイツの残党で、その妻だったストームフロントによってヴォート社の真の目的が「白人種以外の排斥」というナチ丸出しの優性思想だと明らかにされました。
うーん、ネオナチというかフルナチ?
大人の能力者を大量生産しようとしているのは、ナチ復興のための兵隊を手に入れるためでしょう。
何話か前でストームフロントがホームランダーに「あなたに必要なのは数万人のファンじゃなくて500人の兵士よ」と言ってましたしね。

 


・かんそう
最初は、観た直後に「6話も薄いわ~あんま話進んでなくね?」と思ったのですが、ていうか、はっきり言って「つまんなくね?」とさえ思ったのですが、あらすじを書くために思い返すうちに考えが変わりました。

 

ヴォート社創始者フレデリック・ヴォートはナチ党員でストームフロントはその妻。
うーん、現代的っすねぇ。現代的っていうか、現在のアメリカ的。
人種のサラダボウルといわれるアメリカは目まぐるしく状況が変わりますね。

 

2009年、初の黒人大統領オバマを選出。
↓(このあたりからポリティカルコレクトネスがどんどん加速する)
2017年、その反動で、人種差別主義者の疑い濃厚のトランプを大統領に選出。国内で人種の分断が激化する。

2020年現在、白人警察官による黒人への暴力が頻発し、黒人やリベラル派のデモが多発する。
※(2020年12月現在は民主党のバイデン氏が大統領に決まりかけです)

 

アメリカの現状をこんな感じだとわたしは認識しています。あんま知らんけど(!)。
他にもLGBT性的マイノリティ(同性愛者、バイセクシャルトランスジェンダー)、人種マイノリティなどへの差別を許さないという、いわゆる「ポリティカルコレクトネス運動」問題があります。
たとえば、アカデミー賞を運営する団体は2025年から作品賞ノミネートの基準を「LGBT、人種マイノリティが一定以上含まれていること」と変更するそうです。つまりメインキャラクターに白人の男女しか出ていなければ、どれほど優れた作品であっても絶対に賞を与えないという意思表明です。


ハリウッド業界はリベラルで有名です。元々人種少数派のユダヤ系資本が経営してきたので、差別問題に敏感です。おそらく人種分断を助長しつづけるトランプ政権への反撃に出たのでしょう。(トランプが大統領選で負けたので成功といえますね)
エンターテインメントは、現実問題を無視するとつまんなくなりがちです。差別的だ、ということで規制しまくってもつまんなくなりがちです。製作者には難しいところですね……。

 

ヴォート社を創始したフレデリック・ヴォート博士は、ナチスドイツの重鎮だったヒムラーゲッペルスとも懇意にしていたバリバリのナチ党員でした。どうやらヴォート社を作ったのも、志なかばで倒れたナチスドイツの悲願を達成するためだったようです。そして、博士の妻だったストームフロントは、何十年もたった今でも彼の遺志を受け継いでいるのです。


では、ナチスの遺志とは何だったのでしょうか?
はい。有名ですね。
ユダヤ民族の絶滅」です。いや、本当はたぶん違うと思うんですけど、「第三帝国の復興」だと思うんですけど、わかりやすいのは絶滅ですから。
正確には、ユダヤ人だけが対象だったのではありません。彼らの迫害リストに載っていたのは、ユダヤ人、ロマ族、スラブ人、共産主義者、同性愛者、身体障害者精神障害者、聖職者、その他にもナチを批判しそうなやつなど多彩でした。ついでに日本人も文化を盗用するだけの2等民族と批判されていました。


それはともかく、気になるのは、現在のヴォート社の社長が黒人ということです。
これはナチの遺志を継ぐストームフロント的にはNGでしょう。なにしろそこらじゅうで黒人をぶっ殺してまわっているのですから。
ホームランダーはこれまで人種差別的な感じはありませんでしたが、バイセクシャルのクイーンメイブをいじめていたので、性的マイノリティ差別主義者ではあるでしょう。


2人が結びついてナチ路線で行くとなると、黒人のAトレインやメイブは迫害対象です。社長も危ない。いよいよボーイズ側の戦力になりそうな人材がそろってきました。
何百万もの能力者を従え、白人優位社会を取り戻そうとする過去の亡霊をボーイズは止めることができるのか!?
次回が楽しみです!