『ものがたりいちば』

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「スラムドッグ$ミリオネア」の感想


この映画はラブストーリーです。ファイナルアンサー!

 

 

2008年イギリス映画。ラブストーリー。
監督は「トレインスポッティング」「28日後…」のダニー・ボイル
主演はデーヴ・パテール。
ネタバレ指数は低いです。というか、公式が開幕でネタバレしてくるので問題ありません。

 

 

・設定説明

舞台はインドです。
スラム出身で教育も受けていない無知な青年がなぜクイズ番組で勝ち抜いてミリオネアになれたのか?というシンプルなお話です。


かつてイギリスで生まれた「クイズ$ミリオネア」は大ヒットし、世界中でその国独自のリメイク番組が作られました。

日本でも放送され、たいへんな人気を博しました。
なぜこのクイズ番組が世界中で受けたかというと、リアリティショーの側面が大きかったからでしょう。


解答者は一問正解するごとに賞金を得られるのですが、最初のほうは賞金額がとても低い。一問目なんて1000円とかそのレベルです。

しかし5問、6問と正解するうちに数十万に膨れ上がり、最後の問題に正解すれば1000万円という高額を得られるのです。

当時の日本では法律上の問題で1000万円どまりでしたが、本国のイギリスでは100万ポンドだったそうです。

2000年当時のポンド円のレートは160円くらいだったと記憶していますので、日本円換算では億を超えます。巨額です。


このクイズの面白いところは、次の問題を答えるために今まで獲得した賞金をすべて放棄しなければならない、ということです。不正解になった瞬間に、さっきまであった数千万の権利が消えてなくなる……。
このオールオアナッシングに世界は熱狂したのでした。

 

 

・かんたんなあらすじ
人口2000万人近い大都市ムンバイの貧民街に住むジャマールという少年が主人公です。
彼は母と兄と貧しいながらも平穏に暮らしていましたが、ある日、「イスラム教徒を殺せ!」と怒り狂った暴徒たちの襲撃を受けて、わけもわからず母親が殺されます。なんでやねん……。


ジャマールは兄のサリームと二人で逃げ出します。そのときに出会ったラティカという少女もいっしょに逃げます。この物語のヒロインです。10歳にもなっていませんが、ジャマールとあっという間に恋仲に落ちます。


浮浪児となった三人は路上で寝泊まりしていたのですが、そこから救ってくれる人物が現れます。
ママンという名の紳士です。コーラを飲ませてくれます。いいひとなのかな?どうかな?


はいファイナルアンサー、もちろん悪人です。
ママンはギャングの親分で、目的は身寄りのない子どもを集めて、路上で乞食をさせることだったのです。
優しく近づいてくるやつを信用しちゃいけないってよく言いますからね。


ひどいことにママンはある少年の目を熱した油で潰してしまいます。

なぜなら、乞食はより哀れなほうが稼ぎがいいからです。そのために目を潰されたり手足を切られたりする子どもは途上国ではまれによくあるそうです。


ママンの正体に気づいたサリームは、ジャマールとラティカを連れて逃げ出します。
しかし、ラティカは逃げ遅れてママンたちに捕まってしまいます。
ジャマールは呪われた運命を克服して、ラティカと再会することができるのか!?

 

 

もう旬じゃない度☆☆☆☆★
あの、取り上げておいてなんですけど、「クイズ$ミリオネア」をリアルタイムで観たことがない方はおもしろさがだいぶ減ると思います。
この映画のヒットは世界中で「クイズ$ミリオネア」が流行っていたということは大きいと思います。
映画公開当時は、世界中で説明不要のコンテンツだったのです。
それを題材にした物語なので、すっと自然にストーリーに入ることができたのです。
なので、番組を知らない仙人気質の方や若い方はいまいちピンとこないかもしれません。

 

 

インドってなんなの度☆☆☆★★
ジャマールの母親が暴徒たちに殺されてしまうというひどい描写が冒頭にあります。
どうやらジャマールの家族はイスラム教徒だったようです。


インドにおいてイスラム教徒はごく少数勢力で、ほとんどの国民はヒンドゥー教徒です。パキスタン建国時に多くのイスラム教徒はそっちに移住してしまったからです。
他にも身寄りのない子どもの目を焼いたり、たかがクイズ番組のカンニング疑惑で電流拷問をしたり、いろいろとひどい描写はありますが、それでもインドものの映画ではマイルドなほうだと思います。


インドは身分差別「カースト制」の国として有名ですが、その最下層階級のひとびとが受ける凄惨な差別の描写などはありません。
たとえば、不可触民という最下層の女性が上位カーストの男性にレイプされたとき、警察に訴えてもなんもしてくれません。それどころか、なぜか殴り殺されて河に捨てられるレベルです。

うーん、永遠のガンジス……永遠のインド……。


外国人旅行者の白人女性をレイプすることが流行ったり、マジでわけわからん国です。
身の危険を感じないと生きている実感がわかないというキチ、じゃなくて空虚なメンタルをお持ちの方以外、旅行先としてはぜんぜんおすすめできません。
いや、行ったことないですけど。行きたくもないですけど。
数学の「0」の概念を発見した偉大な文明から数千年――どうしてこうなった?
でもこの映画の描写はマシです。

 

 

第二形態が最強度☆☆☆☆☆
ミリオネアを知らないひとからすれば「今が旬」という感じも当然しないでしょうし、インドの闇の描写はマイルドです。それが目的ではありませんから。
ということで、この映画はラブストーリーとして観るのがベターです。みんな大好き幼なじみものです!


ジャマールとラティカの出会いはたぶん5、6歳のときだと思います。サリームはもう少し年上でしょう。
以降、三人は運命のいたずらに翻弄され、出会いと別れを繰り返していきます。
そのたびにラティカは成長した姿にアップデートされていきます。演じる人も三人います。低予算だからでしょうか?あんまり似てません。


第一形態は、スラムの幼女。目鼻立ちはくっきりしていますが、いかんせん汚すぎるのでダメです。というか幼女はさすがにアウトです。


第三形態(最終形態)は、完全に大人です。そのときはとある理由で裕福になってますので、ファッションもメイクもばっちりで、なんかふつうの欧米人の美人みたいに見えます。というか、ちょっと老けてすら見える……。


というわけで第二形態が優勝です!
十代前半の女優だと思うのですが、マジで美少女です。
インドの素敵な民族衣装を着てダンスをしているシーンが最高です。優勝者なのにいちばん登場時間が短いです。無念……。

 


なお、わたしは変態ロリコン野郎ではありません。これだけははっきりと真実を伝えたかった。