夜空に舞う爆炎シーンの迫力はガチ!
2016年アメリカ映画。パニックムービー。
2010年に発生したメキシコ湾の石油流出事故をもとにした、実話ものです。
監督は「ベリーバッドウェディング」などのピーター・バーグ。
主演は「ディパーテッド」「トランスフォーマー」シリーズなど数々のヒット作に出演しているマーク・ウォールバーグです。
・かんたんなストーリー説明
メキシコ湾に浮かぶ海上石油掘削船ディープウォーター。
掘削作業が難航し、大幅に工期が遅れ、毎日莫大な損失が発生しています。
プロジェクトの権利者である石油会社BPは、現場作業員からの安全管理要求を拒否し、いくつもの工程を短縮もしくは完全にカットしてしまいます。
現場作業員は別会社の社員なので、決定権がありません。不安を感じつつも結局は掘削作業を開始してしまいます。
ところがというか案の定というか、噴出事故が発生します。
運の悪いことに、充満したガスに引火、爆発炎上。
ディープウォーターはあっという間に火の海になってしまいます。しかも海上に流出した石油まで炎上してしまい、海に飛び下りることすら困難に。
果たして作業員たちは燃え盛る巨大船から脱出することができるのでしょうか!?
実話ものあるある度☆☆☆☆★
地味です……。
パニックものなのに、パニックが起きるまでめちゃ長い。
どれぐらい長いかというと、最初の噴出事故が発生するのが45分の時点です。
映画全体が100分くらいしかないのに、半分近くは地味~な日常シーンです。疲れてるひとは高確率でスヤスヤしてしまうでしょう。
ある程度主要人物の紹介が終わったらとっとと事故が起こってほしいものですが、この映画にはそうするわけにはいかない事情があるのです。
なにしろ、実話をもとにしたマジメな映画なので。企業名から登場人物まですべて実名です。
なぜ事故が起こったか、安全管理が徹底されなかったことにはどういう事情があったのか、そういうことを丁寧に描かないといけないのです。
多数の犠牲者が出た大事故なので、おもしろおかしく脚色すると怒られてしまいますから。
でも、同じく2016年公開の「ハドソン川の奇跡」は航空機の不時着事故の実話をもとにした映画ですが、最初いきなり事故が起こります。
離陸した飛行機がいきなりエンジンぶっ壊れて墜落しそうになる、というクライマックスから始まるのです。おもしろくないわけがありません。
もっともこの映画の場合、事故そのものではなく、危険な不時着水という判断をした機長が本当に「奇跡を起こした英雄」なのか、それとも「ただギャンブルに勝っただけの判断不足な男」だったのか、という疑惑がメインテーマですので、事情は異なります。
「バーニング・オーシャン」の場合、事故の責任の所在とか、その後の裁判の行方とかはほぼ描かれません。
いちおうBP側の社員がぜんぶ悪いんじゃね?みたいな匂わせはしますけど、それを糾弾する内容ではありませんし、だったら、もっとエンターテインメントにふってもよかったんでは……?
映画の盛り上がりどころはエンタメ爆炎ムービーなのに、マジメさを捨てきれなかったのが地味になってしまった原因かと思います。題材だけもらって、フィクションにすればよかったのにね……。
爆発炎上の凄み度☆☆☆☆★
45分間がまんしてください!
そのあとの爆発、火炎の描写は爆炎マニアの人にも満足できるほどの質とボリュームがあります。
残りの45分間炎上しっぱなしです!
また衝撃波の描写もえぐいです。
たとえば、廊下にいた人が突然の衝撃波でふっとばされて壁にたたきつけられたところに廊下のべつの方向から遅れて第2波がきて、くるくる舞うみたいなあまり見たことない描写があります。ゲームのハメコンボみたいで新鮮です。
やたらと物がふっとんでくるので、たぶん3Dにしたほうが迫力倍増したと思うんですが、2Dオンリーのようです。
☆4になってしまった理由でした。
破片恐怖症の人におすすめしない度☆☆☆☆☆
わたしも苦手なのですが、衝撃で弾けたガラスの破片が刺さりまくります。
スナイパーライフルで脳みそぶち抜かれて死ぬならともかく、ショットガンで皮膚やら内臓やらに細かい傷を負ってじわじわ死ぬのだけはごめんこうむりたいです。あと、ガラスの破片も踏みたくないです。
とくにえぐいのはシャワーを浴びているひとです。
爆発事故の発生を予知できるエスパーの方、とりあえず服を着てシャワーを浴びるようにしましょう!
事故のことをマジメに描きたいのか、派手なパニックムービーを作りたいのか、そのへんのバランスがちょっとちぐはぐに感じましたけど、爆発炎上シーンは素晴らしい映画です。