『ものがたりいちば』

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「はやぶさ/HAYABUSA」の感想

逆にいま、知っておきたい科学の偉業。

 

2011年日本映画。実話をもとにしたストーリーです。
監督は「20世紀少年」などの堤幸彦
ちなみに配給も20世紀フォックスです。だからなんだ?


主演は竹内結子
ネタバレ不可避。実話ものなので……。


2010年に奇跡的な帰還劇を演じて科学界のみならず広く一般社会でも話題になった小惑星探査機はやぶさ、その驚異的なプロジェクトに携わったひとびとの物語。
実話もの、と表現した理由は竹内結子演じる主人公水沢恵が架空の人物だからです。

 

・かんたんなあらすじ
小惑星探査機はやぶさが、幾多のトラブルに見舞われつつも奇跡の帰還を果たします。
世界初の月以外の天体のサンプルを持ち帰るという快挙のおまけつきでした。
すごい!以上!

 

 

覚えられなくてもだいじょうぶ度☆☆☆☆☆
なにしろ官民さまざまな組織や企業がかかわったビッグプロジェクトですから、とにかく登場人物が多いです。


名前を覚えるのはもはや不可能……ですがだいじょうぶです。


ほとんどの登場人物はそのときどきに必要な説明をしてくれるだけなので、覚える必要はありません。
チームものとして観れます。

 

 

わかりやすい度☆☆☆☆☆
劇中に登場する宇宙用語とか科学的な理屈とかはぜんぜんわかりませんが、はやぶさがどういうトラブルに見舞われて、それをどうやって遠隔操作だけで乗り切るか、という解決法などはわかりやすいです。


ああ電波が届かなくなったのね、とかエンジンが止まりそうなのね、とか問題を単純化して教えてくれるので安心です。

 

 

だいたい知ってた度☆☆☆☆★
あの当時、はやぶさの帰還はものすごく話題になり、新聞、雑誌、ニュースあらゆる媒体で「はやぶさ計画」の詳細な情報が報じられました。


報じられたというか、ほぼ洪水。


まったく報道を見ないという仙人ならともかく、たいがいの日本国民がにわかはやぶさ博士になるレベルでなにがあったのかというストーリーを理解していたのです。


それから数か月後――ブームにあやかろうとした映画会社各社が急いで作ったはやぶさ映画が次々に公開されましたが、だいたいコケて終わりました。


まあそうなるよね……。


だいたい経緯を知ってたし、だいたいのひとはもう飽きてたでしょうし。
もちろん飽きてたサイドの人間だった管理人も数々のはやぶさ映画は観てなかったので、今回初観賞でした。


やっぱりだいたい知ってた!


ただ、映画が全滅したのは、世間の空気の変化も大きかったのかなと思います。
日本の宇宙科学技術の快挙で「科学ばんざい!」と沸いたのが2010年。


ところが、2011年には周知のとおり東日本大震災が発生し、忌まわしい原発事故に派生しました。


日本人が戦後抱いてきた科学への絶対的信頼感は、もはや信仰のレベルにあり、ある意味最大の宗教だったのかもしれません。


その科学に手ひどい裏切りをうけて「科学ふざけんな!」という怨嗟ムードのなか、別の分野とはいえ、科学者礼賛は受け入れられづらく、ワリを食ったのかなぁと推察します。


根拠は薄いですけど、小学生のなりたい職業ランキングで2012年以降科学者がどんどんランキングを下げている現実があります。
薄ーい根拠ですけど。


博士課程に進む学生がどんどん減っているというデータがあり、ノーベル賞受賞者の科学者たちも危機感を表明しています。

 

もうそろそろ記憶も薄れかけた今でこそ、偉業を振り返り科学への愛を呼び覚ます意味のある映画かもしれません!

だいたい知ってるひとは他の映画観たほうがいいかもしれません!