『ものがたりいちば』

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映画「名前」「The Name」の感想

二転三転する読めない展開が物語を引っ張る。

2018年日本映画。ジャンルは怖くないサスペンス。
監督は戸田彬弘
主演は津田寛治


ネタバレはダメ!ゼッタイ!

 

・序盤のかんたんなあらすじ
田舎町に住む久保(津田寛治)はガラスのリサイクル工場で働いている。


職場には病気入院中の妻を看護するために引っ越してきたと説明していたが、ある日上司からそれが嘘ではないかと問い詰められる。


妻が入院しているという病院に久保という名の入院患者がいなかったからだ。


実は久保は嘘をついていた。
病気で入院中の妻など存在せず、そもそも久保という名前すら偽名である。
ほかにも複数の名前を使い分けていた。


答えに窮して追い詰められる久保だったが、そこに助け舟が現れる。
会社を訪れた謎の女子高生笑子(駒井蓮)が久保を「お父さん」と呼んだのだ。


笑子はもちろん久保の娘ではない。
それどころかまったく面識がない。


それでも彼女の機転のおかげで久保は危機を脱するのだった。
その後も笑子は久保につきまとうのだが、素性や目的を明らかにしない。


こうして嘘だらけの偽名男久保と謎の女子高生笑子の交流が始まったのだった……。

 

 

地味なのに飽きがこない不思議さ☆☆☆☆☆
まあべつに不思議じゃないんですけど(どっちだ!)。


偽名を使い生活するのなんてなにかから逃げているひとでしょう。
だいたい犯罪者です。
久保は凶悪な人間ではなさそうですが、やはり怪しいことは怪しい。


そんな怪しい中年のもとに現れて付きまとう謎の美少女。
先が気にならないわけがありません。


わたしは恥ずかしながら存じ上げなかったのですが、駒井蓮はかわいいですね。
たっぷり見せてくれます。


お互いの素性も知らないまま始まった年の差カップル(?)の交流は微笑ましく、また、そのほんわか描写に飽きが来る直前に新たな謎が提示されるなど、緩急もいいです。

 

 

ふつう手紙に名前書かない?度☆☆☆☆☆
映画が進むうちにパズルのピースがかちっとはまるように謎の答えが解けていく展開は気持ちいいです。


直木賞作家にしてどんでん返しの名手道尾秀介が原案をやっているようなので、さすがって感じです。


でも手紙に名前は書くでしょう!?


ネタバレになるのでくわしくは書けませんが、ある手紙が重要なアイテムとして登場します。


それを起点として物語が進むのですが、その手紙には名前が書いていないのです。
やっぱり名前って大事ですね~。

 

 

やっぱ高校生活ってろくなもんじゃないな度☆☆☆☆☆
後半は学園生活の描写が多くなるのですが、これがなかなかきついんです。


たとえば部活動でのパイハラ(先輩ハラスメント)。
部活に熱い思いを抱いている先輩がいて、うまくできない後輩にきつく当たるのです。

 

言い争いになってお互い感情的になってしまい、最終的にはほぼ人格批判に発展するという、皆様ご存じ、いつものハラスメント現場でございます。


あ~やだやだ。
こういう先輩おったわ~。
反論すると殴られるんだよな~。


顧問の教師がいてもあたふたするだけで役に立ちません。
生徒同士の熱い議論を止めてはならないという教育要綱でもあるんでしょうか?
わかりません。


他にも仲の良いクラスメートの彼氏が自分を好きになってしまい、その友達に逆恨みされるという皆様ご存じの青春クソイベントがあります。


イケメンや美人を羨ましがる方は多いでしょうけど、無駄な恋愛トラブルに巻き込まれるというリスクを考えると、無条件で得してるとは言えませんね。


などと、暗黒の学生時代を思い出してどんよりとしました……。

 

人が死んだり、過激な描写がない、安心して観れるサスペンスだと思います!