走るゾンビは嫌いなんだよ!
2020年韓国映画。ゾンビもの。
監督:チョ・イルヒョン
主演:ユ・アイン
・序盤のかんたんなあらすじ
高校生のオ・ジュヌは学校をサボってゲームに興じるゲーマーである。
いつものように自宅マンションでゲームフレンドとゲームをしているとき、緊急ニュースが放送された。
凶暴化した『感染者』が都市部に現れ、ひとを襲っているという。
マンションの窓から外をうかがうと、大勢のひとが必死で逃げ出していく。
すでに感染者は身の回りにもいるのだ。
廊下が騒がしくなり、1人の男が自宅に入ってきた。
その男は言動がおかしく、見る間に目が赤くなり凶暴化して襲ってきた。
ジュヌはなんとかそいつを追い出し、ドアの前にバリケードを張り封鎖すると立てこもりを開始した。
逃げること、ではなく、動かないことを選択したのだ。
食糧は残りわずか。
ふつうの高校生ジュノは生き残ることができるのだろうか……?
――ネタバレ注意!――
嫌いなゾンビ度☆☆☆☆☆
走るゾンビ。
ドアを開けられるゾンビ。
ロープを上れるゾンビ。
ぜんぶ個人的に嫌いなゾンビです。
ようするに知能が残っているゾンビが嫌いなのでしょう。
走るのもドアを開けるのも人間が後天的に習得した『技術』ですから。
拳銃の発砲音を聞いただけで場所を特定できるとか、もうゾンビじゃなくて他のクリーチャーでもいいんじゃないですか……?
わたしはゾンビが他のクリーチャーと異なる要素は2つあると思っています。
1つ目は、ドアも開けられないバカでノロマなやつに囲まれて食われるという恐怖。
1対1では人間よりはるかに弱いけど、群れとなったときに大きな脅威になるという特色がありますね。
エイリアンだとか宇宙生物とかそういう「得体のしれない強い生命体」に脅かされるクリーチャー系といちばん違うのは、弱いやつに食われるという恐怖だと思っています。
2つ目は見知った人がバケモノに変わってしまうということ。
本作は主人公の家族や知人のゾンビはでてこなかったですね。
いちおう愛する妻がゾンビになっちまって餌付けしていた狂気の男は出てきましたけど。
走ったり道具を使ったりして人間より高い能力を示したらクリーチャーなんですよねぇ……。
クリーチャーなら、でっかいヒグマとかでも怖さは同じだと思うんですけど。
ロープで上ってきたゾンビは元消防士で、生前の技能が残っている個体もいるという設定でした。
「アイアムアヒーロー(2016年)」にも元棒高跳び選手のゾンビがいましたけど、こういう人間味が残っているのはゾンビの無情感が薄れる気がします。
なぜ水道だけ止まったか不思議度☆☆☆☆★
いちおうガスも止まってたっぽいですけど。
電気は最後まで来てて、ずっと不思議でした。
テレビ、PC、ドローンといった電気機器を駆使してサバイバルするという話でしたので、映画の都合かな~と思っていました。
ただ感染者はたった(?)5万人で、大きな被害が出たのは人口密集地の都市部に集中していたらしいので、インフラが生きていても不思議はありません。
世界が滅亡したんじゃないかという雰囲気が出てたので、これは意外でした。
けど、テレビ放送も不定期とはいえずっと続いていたし、ジュヌはいちばんまずい場所に立てこもってしまったのかもしれませんね。
コロナ禍の時期的にぴったり度☆☆☆☆☆
先述したとおり大きな被害が出たのは『密』ってた連中のようです。
公開されたのが2020年の9月ですので、脚本ができたのはコロナ以前のはずですが、まれによくこういう偶然の一致があるのが映画のおもしろいところですね!
それを「予言」とか「予見」とか言われたらたまりませんけど(笑)。
ドローン使ったゾンビもの作りたい!という思いつきをストレートに表現した、いいクリーチャーものだと思います。
助かる理由がSNSの投稿だったというのもゾンビものとしては斬新でした。