『ものがたりいちば』

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「WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜」の感想

人生ナメ太郎が林業の楽しさに気づく!

 

2014年日本映画。お仕事ムービー。
監督は矢口史靖
主演は長澤まさみ
ネタバレの影響はないんじゃないですかね。

 

 

・序盤のかんたんなあらすじ
大学受験に失敗した平野勇気(染谷将太)は、恋人にフラれてしまう。

 

浪人してもう一年勉強するのもめんどくさいので、たまたま見かけたパンフレットに乗ってた美女(長澤まさみ)と同じ職場で働けると期待して、携帯の電波も届かないほどのド田舎で一年間林業の研修をうけることにした。


しかし、その美女はただのイメージ画像だった!


実際の現場研修はきつい肉体労働、命の危険のある厳しい環境であった。


研修生でもっとも知識豊富なひとがあっという間にやめたのを見て、勇気も脱走を決意するのだが、そのとき、あのパンフレットの美女ナオキに出会って、とどまることを決意したのであった。


とはいえ、勇気を預かることになった先輩の山の男である飯田ヨキ(伊藤英明)は口が悪く粗暴で、都会育ちの軟弱者である勇気を認めようとしない。


なんだかんだで仕事を覚えて山の男になっていく勇気を、ある出来事をきっかけにヨキや村人たちが仲間として認めはじめる。


そうこうするうちに月日は過ぎていき、村にとって大事な行事「祭り」が近づいてくる。


山の神オオヤマツミへの感謝を示す大事な行事なので、よそ者ということを理由に参加を断られそうになる勇気だったが……。

 

 

――ネタバレ注意!――

 

 

 

政治の大事度☆☆☆☆☆
あらゆる大陸で砂漠化が進んでいく昨今、日本は森林被覆率70%程度を維持している稀有な国です。


とはいえ、豊かな森林は勝手にできたわけではありません。
戦国時代には諸国の大名たちの築城競争などで大量の樹木が伐採され、はげ山だらけとなっていたそうです。


当時の主要資源は木でした。
家屋などの建材から燃料の木炭まで、木に頼り切った文明でした。
もし枯渇すれば日本滅亡までありえました。


実際、チリのイースター島は樹木が枯渇したせいで滅亡しました。


そこで危機感を覚えた江戸幕府は植林を奨励して、各地に役人を派遣して大名たちが勝手な伐採をできないような管理システムを作り上げました。


木は一本ずつ生育台帳に記録され、庶民は木製の家具の数まで制限されました。
江戸のような都市部では、大量の樹木を消費する個人宅での風呂の利用が禁止され、炊事も制限されました。


その結果、森林被覆率が回復しただけでなく、副産物も生まれます。


江戸では銭湯文化が発達し、寿司や蕎麦などの外食産業も盛んになりました。
危機を回避するための政策が、新しい文化を発展させた好例ですね。


このへんのことを詳しく知りたければジャレド・ダイヤモンドの『文明崩壊』という本がおすすめです。名著です。

 

 

花粉症の原因にもなった度☆☆☆☆☆
幕府はそこらじゅうの山に杉を植えまくりました。


おかげで日本は滅亡の未来から救われましたが、一億総花粉症の現在につながったと言われています。
はくしょん!

 

 

伊藤英明はガチ度☆☆☆☆☆
やっぱかっこいいんすよね~。
あと、すごんだ時の表情が怖すぎ。

 

田舎を美化しすぎている気もしますが、良質なお仕事ムービーです。