2015年ロシア映画
監督:ドミトリー・メスヒエフ
主演:マリア・アロノバ
この記事は5分くらいでさらっと読めると思います。
序盤のかんたんなあらすじ
1917年ロシア。
第一次大戦の最中ロシア革命が起こり、帝政ロシアは崩壊する。
退陣した皇帝にかわって最高司令官の座に就いた戦争相ケレンスキーは兵士の士気の低下に悩まされていた。
革命思想の広まりによって自由を求める雰囲気が兵士たちに蔓延し、戦闘を拒否するようになっていたのだ。
戦うどころかドイツ兵と親しく交わる部隊まで現れる始末。
もはや戦争の維持は困難になっていた。
その事態を打開するために、女性部隊を結成して戦意高揚を狙うことになった。
選ばれた隊長ボチカリョーワが志願を募ったところ多くの女性が応募してくる。
戦死した夫や恋人の敵討ち、就職、夫と一緒にいるため……理由も身分もさまざま女性たちはさっそく訓練を受けることになった。
志願者たちは最初はまともに整列すらできず、斜面を駆け降りることもできない。
しかしボチカリョーワの厳しい指導のもと、ただの女性たちが兵士へと変貌していく。
将軍立ち合いでの最終試験に全隊員が見事合格を果たし、部隊は正式にロシア軍の婦人決死隊――バタリオンとして前線に赴くことが決まるのだった。
ロシア史上初めての女性部隊は果たしてまともに戦闘することができるのだろうか……?
――ネタバレ注意!――
前半ほぼスポーツもの度☆☆☆☆☆
身分も能力も違う見ず知らずの者同士が集まり、反発しつつも厳しい訓練を通じて団結を手に入れて、やがて鬼コーチとも心を通わせていく……ほとんどスポーツものと同じ流れです。
行進もろくにできなかった新米兵士たちが将軍を説得するために雨のなか1晩中直立不動を崩さない屈強な兵士に成長するシーンは感動ものでした。
ただ、成長せずに戦場に出てしまった者もいましたが……。
訓練の試験で溝を飛び越えられなかった兵士を合格させていましたが、実戦でもやっぱり飛び越えられず足をくじいて、そのせいで捕虜を連行する仲間が殺されてしまいました。
なんのための試験だったんだ……。
その捕虜を連行するときに殺された兵士も、バタリオンを担当する自分の夫と一緒にいたいからという安易な理由で志願したため、行動がつねにふわふわしていました。
訓練合宿中は恋愛禁止なのに毎晩宿舎を抜け出して夫と会っていたし、2人で連行しろと命令を受けたにもかかわらず「1人でできるもん!」と独断を下すし、あげくの果てに敵兵に笑顔で話しかけられて油断して殺される始末……。
どうせ隊長以外の兵士たちや戦闘は創作なのに、みょうに甘ちゃんに厳しいんですよね。
ドイツ軍の陣地に入ってのんきに花を摘んでいたやつもいたし、このあたりのシーンを観ているときは「やっぱ女に戦争なんてむりなんだ」と思ってしまいました。
まあ、たぶんそう思わせる演出だと思います。
むりむり、と思わせてからのあの勇猛果敢な戦いぶりは確かにびっくりしました。
前半部分の微笑ましいスポーツもの感が消え、後半はいきなり冷徹な戦争映画になるのでギャップを楽しめました。
そういえばトラブルに女性ならではのものがあったのも戦争映画として新鮮でした。
戦場で勇敢に戦った直後にDV被害を受けるとか、なんだったんだあのくだり……。
あまりにもひでえし惨めだし、なんの意味があったんでしょうか?
あと、妊娠してるのに志願すんなよwww
だれがだれだかわからん度☆☆☆☆☆
ペーニャとかペーチャとかナターシャとかナージャとか、もう序盤から名前を覚えることはあきらめました。
そして全員坊主になってしまったため顔を覚えるのもアウツ!
ユニフォームを着る戦争ものやスポーツものではよくあることですが、バタリオンに同行している男性士官と恋仲になっている隊員が急に出てきたので「そいつさっき捕虜に殺されなかったっけ?」みたいな勘違いが何度か起こりました。
隊員たちの群像劇として描かれていたので明確な主人公もおらず、隊長と捕虜の殺された子以外あんまり印象に残らなかったです。
食いしん坊だったりオペラ歌手だったりとなんとかキャラを立たせて印象付けようという工夫は見受けられたのですが、残念ながら結局歌ってないときはだれだかわかんないんですよね(笑)
あ、暴れん坊の太い人は目立ってました。
なんだそりゃ度☆☆☆☆☆
それまで徹底的にボイコットしていた男性兵士たちが、ちょっと将校のかっこいいところを見せられただけでその気になって援軍に駆けつけるのはさすがに嘘くさすぎますw
ただやる気がないから拒否していたんじゃなくて、思想や信条のある確信犯的な戦闘拒否だったはずです。
とってつけたようなクライマックスで、違和感がありました。
戦闘シーンは少なめでしたが、けっこうおもしろかったです。