『ものがたりいちば』

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映画「ウインド・リバー」 極寒の西部劇を解き明かす! ネタバレ感想

2017年アメリカ映画
監督:テイラー・シェリダン
主演:ジェレミー・レナー

 

 

序盤のかんたんなあらすじ


舞台はアメリカ中西部ワイオミング州ネイティブアメリカン保留地。
野生生物局で猛獣ハンターを務めるコリーは、雪山のなかで少女の死体を発見する。


検死の結果、死んだ少女ナタリーはレイプされた痕跡があるものの、直接的な死因は極寒の空気で肺が破裂したことによる窒息死だった。
ナタリーはレイプされたあと、極寒の雪の中を裸足で10キロも逃げて力尽きたのだ……。


法的には殺人事件ではないためFBIから派遣されてきたジェーンは本来なら捜査をすることができないのだが、自分の意思で捜査に参加することにした。
雪深い山中での捜査ということで、その道のプロであるコリーはジェーンに協力を申し出る。


じつはナタリーは、2年前に死んだコリーの娘と親友だったのだ。
ナタリーの両親とコリーは親しい間柄でもある。
コリーの目的は犯人を逮捕するのではなく『狩る』ことだ。


山に囲まれた保留地で起きた痛ましい死に隠された真実はなんなのだろうか……?

 

 

――ネタバレ注意!――

 

 

 

途中でめんどくさくなるなよ!度☆☆☆☆☆


強姦魔たちのことなんですけど。
やつらはナタリーの恋人マットを殴り殺したあと、ネイティブアメリカンの麻薬の売人に罪を着せるためにわざわざその家までスノーモービルと死体を運んでいます。


そこからスノーモービルで山を登り、途中でマットの死体を捨ててもいます。
ここまではなかなか考えられた偽装工作に見えますが、そのあとがアホくさいです。


マットの死体を捨てたあと、そのままスノーモービルで自分たちの宿舎に帰っちまったのです(笑)
いやいや意味ないでしょ!
ちゃんと売人の家に引き返してから車で帰らないと!


強姦魔としてはまさかコリーのような追跡のプロが出てくるとは思ってなかったのかもしれませんが……。
殺人事件なんだから出てくると想定したほうがいいでしょw


そもそもあの売人はスノーモービルなんて持ってたんですかね?
持ってないならますます有効性が低くなる気が……。


もしかしたらその当時、吹雪が激しかったからすぐに痕跡が消えると思ったのかな、とも考えましたが違いますね。
吹雪いてたら木だらけの山を突っ切って帰るわけがないです(笑)
ばっちり視界が開けていたことでしょう。


まあ酔っぱらって勢いで同僚の恋人をレイプしたり、勢いで殴り殺したりする連中ですから、あまり深くは考えないのかもしれないですね。
「あ、殺っちまった。そうだ!インディアンのせいにすればいいんだ(名案)」


こういうなにも考えずに犯罪を行う人物のことをFBIでは『無秩序型』と定義するそうです。
いっぽう、計画を練ってちゃんと証拠の隠滅なども行ういわゆる知能犯のことを『秩序型』と定義するそうです。


公式文書に『バカ』とは書けないので変わった言い回しになってるんだと思います(笑)
なにも悪いことをしてないのに(麻薬を売ってるんですけど!?)、FBIが来ただけで急にビビっちまって銃をぶっ放したせいで死んじまった売人のサムも確実に『無秩序型』でしょう。

 

 

アメリカ社会に根強く残る差別度☆☆☆☆☆


「あ、そうだやつらの仕業に見せかければバレないっしょ」
と思いつくくらい、現地の司法制度がネイティブアメリカンにとって不利なのかもしれません。


そもそも逃げたナタリーを追わなかったのも「インディアンのガキがなにを言ってもごまかせる」くらいに考えていたのでしょう。


勢いでレイプし始めたのも差別感情があったからで、勢いで罪を着せようとしたのも差別感情のせいなんでしょうか……?
アメリカ社会のことなんてぜんぜん知りませんけど。


ナタリーを追わなかったのは、ただ単にマットを殴り殺すのに夢中すぎて忘れてた可能性が大ですが(笑)
やっぱ『無秩序型』だな!

 

 

スナイパーかっこいい度☆☆☆☆☆


雪山で真っ白な防寒着を着ているやつに会ったら諦めます(即死)。
クソどもが見えないところから撃たれてバンバン吹っ飛んでいくのは最高にスカっとしました!


レイプしたやつをナタリーと同じ目にあわせて死なせるのも素晴らしかったです。
あ、これ殺人事件じゃないんで。
雪山に連れてきたら勝手に死んだだけなんで(すっとぼけ)。


にしてもおめー500メートルも持たねーじゃねーか弱すぎるんだけどマジでwww
マジレスすると強姦魔はジェーンに足を撃たれてたんで、同じ条件ではなかったんですけど(笑)

 

観る前は犯人探しをする王道のサスペンスかと思っていたんですが、ちょっと(ぜんぜん)違いました。
このシェリダン監督は『ボーダーライン』の脚本を担当した人だそうなので、納得しました。

 

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あの映画も途中から方向性というか雰囲気が変わっていくのがスリリングでよかったですから。
この監督は『秩序型』だと思うので(笑)今後も注目したいです!