『ものがたりいちば』

映画観賞歴5000本以上なりに映画ドラマアニメの感想を書いてます。ゲーム関連はhttps://zwigani.comに移転中です。

映画「明日への地図を探して」ネタバレあらすじ感想

アマゾンプライムオリジナルビデオです。

2021年アメリカ映画
監督:イアン・サミュエルズ
主演:キャスリン・ニュートン

邦題が内容にバシッとハマっているSFファンタジー映画の感想です!

 目次です。好きなところから読めます。

 

序盤のあらすじ


17歳の高校生マークは、これから起こることがわかるエスパー能力者です。
鳥のフンを頭に浴びてしまう人を助けたり、道に迷っている人に行く先を告げられてもいないのに道順を教えたり、プールでビーチボールをぶつけられてしまう人を助けたりと、小さな人助けをしています。


多くの人をちょっとずつ助けるマークですが、親友のヘンリーがゲームで失敗してやられることは助けられません(笑)
ヘンリーがマークのアドバイスをまるで聞かず、ロケットランチャーではなくショットガンにこだわるからです。


先読み能力を使って人助けをしたり、ちょっと自分に得なことをした1日が終わりました。
すると翌日、昨日と同じ朝が始まります。
じつはマークは先読み能力を持っているのではなく、同じ1日を繰り返すタイムループにはまっているのでした。


これから起こることがわかっていたのは、すでに経験したことだったからです。
街で起こることをだいぶ把握しているので、2、3回繰り返した程度ではなく、かなりの回数繰り返しているようです。


ヘンリーが同じところでゲームオーバーになる光景も幾度となく見ているようで、もはやアドバイスも投げやりです(笑)
2人用でプレイしても同じところでやられるので、単純に2人のゲーム技術が低いだけかもしれません。


万能感に浸りつつも、変わり映えしない毎日にすこし退屈し始めているマークは、ある変化に驚きました。
プールでビーチボールをぶつけられるはずの人を、ある少女が助けたのです。
自分以外はすべて同じ行動を取るはずの世界ではあり得ない出来事でした。


マークはその少女も自分と同じでループ世界で自由に動けると確信し、探します。
手間取りつつも発見した少女マーガレットはやはりマークと同じルーパーでした。
2人はお互いがこれまでのループで見つけた街で起こる『小さな奇跡』を見せっこします。


鳥が魚を捕食する瞬間、楽器店の客が見事な演奏をする瞬間、テニスボールがパチンコ玉みたいに跳ね回って後頭部にぶつかる瞬間。
すると、小さな街の出来事をほとんど知っていると思っていたのにまだまだ知らないことに気づきました。


どうせ毎日暇なので(笑)2人は手を組んで、新しい『小さな奇跡』探しをすることにするのでした。

 

 

―――ネタバレ注意!―――

 

 

 

惹かれあいつつ反発する2人


詳しく話してみると、マーガレットは学校で飛び級進学するほど優秀で、子どもの頃から「4次元を探している」という変わり者でもありました。
マークは自然と惹かれていくのですが、マーガレットには秘密があります。


毎日18時になると、ジャレッドという男から電話がかかってきて、どこかに去ってしまうのです。
探りを入れてもマーガレットにはぐらかされてしまうので、悶々とするマークはヘンリーに相談しました。


ゲームばっかりやってるうえに事情など把握していないわりにヘンリーはまあまあ的確なアドバイスをくれます。
「とにかくいい雰囲気に持ちこんでキスしちゃえ!」
という雑なアドバイスが的確かどうかは知りませんけど(笑)


そこで宇宙オタクのマークはアポロが月面着陸したときのセットを体育館に再現し、マーガレットを招待しました。
なに考えてるのこの子?w
楽しい雰囲気にはなりましたが、到底キスに発展するムードになるわけがないので、当然この作戦は失敗します(笑)


そこで次の手として自宅に招くことにしました。
機を窺うために『べつに観たくもない映画を観る』というデートにありがちな無駄な時間を過ごしたあと、本命の作戦に移ります。
それは街の奇跡を記した地図を見せることでした。


夜になるとリセットがかかって消えてしまうので、マークは毎朝この地図をいちいち作り直していることになります。
よっぽど暇なんだな!
その地図からなにか法則性を見いだせれば、このループから抜け出せるかもしれないとマークは考えています。


丁寧な地図には感心するマーガレットですが、その考えには同意できないようです。
しかもループから抜けたがっているマークと違って、マーガレットはこのままでいいと思っているのでした。
なんとなーくいい雰囲気をつくれたと勘違いしたマークはキスしようとしますが、マーガレットに拒否されます。


すっぱり関係を断ち切るか、友だち関係を続けるか2択を迫られたマークはお友だちでいることを選びました。
雑なアドバイスの末路はこんなもんですな(笑)

 

 

変化するマーク


マークは父から進路のことでお説教を受けます。
じつはマークがループを抜け出したがっているのは、毎晩繰り返されるこのお説教も一因でした。


「将来なんて来ないから考えてもしょうがない」
とループを知らない者からすればヤケクソにしか聞こえない発言を聞いた父が強めのお説教をすると、ただでさえフラれて落ちこんでるマークはつい言い返してしまいました。


じつは父は自費出版の小説を書くために仕事を辞めたのですが、そのせいでマークが希望していた美術学校への進学が経済的に難しくなってしまったのです。
そのことを言いだされるとぐうの音もでない父との会話を一方的に打ち切りました。


ところが、マークが父と衝突したことを察した妹から意外な事実を知らされるのです。
父は小説を書くために仕事を辞めたのではなく、単にクビにされたのでした。
どうしてそんなことがわかるのか驚くマークに妹は「周囲の人のことをちゃんと考えればわかるよ」と言いました。


ループしても記憶がリセットされない唯一の相手にフラれてしまったマークは、いよいよ本気で脱出したくなり、方法を模索することにしました。
学校でなぜか『数学』の先生にいろいろとSF的な質問をして変人扱いされます。
そこは物理の先生のほうがよかったんでは……?


とはいえ飛行機で西に向かい、強引に日付変更線を超えるという作戦を思いつき、それをマーガレットに伝えました。
東京行きの飛行機に乗った2人でしたが、離陸の直前にマーガレットは降りてしまいます。


やはりマーガレットにはループを抜け出したくない理由があるのです。
1人で飛行機に残ったマークは日付変更線を超え――る直前でループが発動してしまいました。


この失敗でループからの脱出をあきらめたマークはせめて有意義に過ごそうと心を入れ替えて、積極的に行動するようになります。
授業に出て積極的に解答したり、父に書いている小説の内容を尋ねたり、今までスルーしていた妹のサッカーの試合を応援しに行ったりします。


すると世界に変化が起こりました。
これまで0対3で完封負けしていた妹が得点したのです。
ループして閉じているように見える世界でも、自分が関わることで結果が変わるのです。


さらにマークは今まで見ているだけだった小さな奇跡に参加することにしました。
スケートボーダーたちの集団に飛び込み、華麗なメイクを披露しようとしましたが、しょせんインドア派のオタクなので大失敗して骨折、病院送りになってしまいます(笑)


その病院で偶然見かけたマーガレットをこっそりつけると、もう余命いくばくもなさそうな病人がいました。
マーガレットがループを抜け出したがらない理由は、これでした。


病気の母親に死んでほしくない、別れたくないという気持ちだったのです。
毎日18時になると病室に来ていたため、街から消えていたのでした。
マーガレットの秘密を知ったマークはこのループが『自分が主役の恋愛物語』ではなく『マーガレットが主役の悲しい物語』なのだと納得するのでした。

 

 

マーガレットの変化


マーガレットは病床の母親にマークのことを気になる男の子がいると話しています。
気になっているのにキスを断ったのは『女の子の心が移ろいやすいから』では当然ありません。
おそらく、飛行機から降りたのと同じ理由です。
万が一にもループを終わらせかねない行動を避けているのでしょう。


しかし母親に「人生は望むものを手に入れてそれをすべて失うものだ」と前に進むことや取り返しのつかない一瞬一瞬の大切さを説かれて、ついに母との別れを決心しました。


とはいえ日付変更線の突破でもダメだったので、なにをすればいいのかわかりません。
マーガレットもマークと同じく自分が小さな奇跡に入っていくことを試しました。
するとやはり変化が起こります。
今までどれほど探しても見つからなかった迷い犬が現れたのです。


変化を起こすことに可能性を感じたマーガレットは、犬を連れてヘンリーの家を訪れました。
毎日のようにマークからマーガレットの話を聞かされているヘンリーですが、すべて忘れているのでマーガレットはまったく聞いたこともない人物です。


その初対面の見知らぬ女の子が「助けに来た!」と部屋に上がりこんでいきなりゲームを始めたのに、おとなしく隣で見守るヘンリーはいいやつですが、いずれ悪いやつにいいように利用されそうですね(笑)


ゲーマーではなさそうなのに、マーガレットは見事にヘンリーが行き詰っていた強敵を倒し、クリアしました。
ショットガンじゃなくてグレネードランチャーを使えばマジで一発です。
マークがヘンリーにしていたアドバイスは「ロケットランチャーを使え」でした。


2人用でやってもクリアできなかったのは、マークのアドバイスがそもそも間違っていたからでしょう。
マークからその話を聞いて間違いに気づいていたマーガレットは、手っ取り早く変化を起こせるヘンリーを助けに来たのです。


ゲーム内ではステージクリアの報酬として新たなマップの3DCGが表示されました。
その立体的なマップを見てマーガレットは閃きます。


小さな奇跡の地図を作って手がかりを得るというマークのアイディアは半分正解だったのですが、2D(平面)止まりだったのがダメだったのです。
さっそくマークの部屋に侵入し地図を拝借すると、マーガレットは発生時刻の概念を加えた立体マップを作りました。

 

 

ループからの脱出


場所と時間の概念を再現した立体マップを作ってみると、小さな奇跡が規則的に配置されていることがわかりました。
しかし、1つ奇跡が欠けていました。


その場所は公営プール――2人が出会った場所です。
時間は19時――2人が会ったことのない時刻です。


マーガレットは毎日18時になると必ず病院に行き、ループが発動するまで母に付き添っていましたから、その奇跡を目撃することは絶対にありませんでした。

つまり、このループはマーガレットが母と別れる心を決めないかぎり、脱出できないようにできているのです。


明日へ進む決意を固めているマーガレットは、母との最後の別れをすませてから19時にプールへ行きました。
そこにはマークがいました。


マーガレットはこれまでマークに話していなかった母のことを話し、最後の奇跡を起こすためにキスしました。
そのあと2人は0時を迎えてもループが発動しないのを確認し、翌朝、迷い犬を飼い主に届けるのでした。

 

 

オタクなのにゲームへたすぎ度☆☆☆☆☆


記憶をリセットされて毎回初プレイになっているヘンリーはともかく、何度も何度も同じ敵を見ているマークが手伝ってクリアできないのではオタクの名折れです。
オタクなら数学よりまずゲームの腕を上げるべきです!

 

 

意外な展開度☆☆☆☆☆


マーガレットが重病の母と別れたくないためにループから抜け出せなかったのはまったく意外ではありませんでしたが、主人公がマークではなかったというのはひねりが効いていてよかったと思います。

 

 

上品度☆☆☆☆☆


イムループものは人の死の運命や不幸を変える(物質的に得をする)ものが多いと思いますが、この映画では2人は心が前向きになっただけで物質的に得たものがありません。


あいかわらずマーガレットの母は瀕死ですし、マークは美術学校に行けなさそうです。
序盤こそロト6を当てて大喜びしていたマークですが、それも小さな奇跡を増やすために他人に譲ってしまいました。
上品~!