『ものがたりいちば』

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ドキュメンタリー映画「フード・インク」ネタバレあり、感想

まさかDNAに著作権があったとは……!

 

2008年アメリカ映画。アメリカの食品業界の闇を描いたドキュメンタリー。
監督ロバート・ケナー。米アカデミー賞にノミネートされたそうです。

この記事の内容には科学的、医学的な正確性はありませんのでご留意ください。

また、筆者の偏った見解が混入していますので、一切信用しないでください。

 

目次です。

 

【マジメ度☆☆☆☆☆】


スーパーサイズミー」のようなおもしろ人体実験はありません。ゲロも吐きません。
まあ、なんていうか、あれっすね、おもしろおかしくはないです。
インテリ寄りです。
デブとゲロを期待してきた頭悪い輩はくるっと帰ってどうぞ!


有識者や企業の被害者のインタビューを流しながら、ごく一握りの巨大企業に支配されているアメリカ人の食生活の問題点を洗い出していきます。
食に関するドキュメンタリーでもとくにマジメな部類です。

 

 

【圧倒的アメリカ度☆☆☆☆☆】


「ほほうなるほど……」と、ちょっと賢くなった気分にはなりますが、明日からの自分の食生活にいかせるタイプの情報はあまりありません。
ほぼアメリカの国内問題ムービーです。


日本人に関係があることは一部あります。
病原性大腸菌O-157の話題です。
毎年夏にときどき発生して、話題になりますね。
非常に毒性の強いベロ毒素を放出しやがる、致死性の高い大腸菌です。

 

動物学者いわく、昔ながらの牧草を食べている牛の糞には悪性の細菌がほとんどいないらしいのです。
いっぽう、大量生産のためにコーンを食べさせられている牛の体内では毒性の高い細菌が育ちやすいそうです。
また、密集して飼育される牛はクソまみれになりやすく、一頭の体内でO-157が発生すると、とんでもない数の食肉が汚染されるとのことです。


O-157が初めて確認されたのは1982年。
工業制畜産業が拡大しつつあった時期とたしかに一致します。
牛が草ではなく、安価に大量生産された穀物を餌として与えられ始めた時期と一致します。
もしかしてO-157って、人間が――大企業が作ったんじゃね?

 

 

アメリカの大企業ワンパターン度☆☆☆☆☆】


アメリカの大豆はこの映画の製作時点で90%が遺伝子組み換えだったそうです。
問題なのは、健康被害というよりは大企業による農家支配のやり口です。
大豆は収穫後洗浄すれば、つぎの作付けの種子として使えるそうです。
つまり農家は収穫と作付けを自給自足でサイクルできます。

 

当たり前ですよねぇ。
江戸時代の農民だって収穫した米の一部を種もみとして残して、翌年の作付けに使っていたんですから。
が、現代は違います。
資本主義は非情です、異常です。

 

遺伝子組み換え大豆は大企業側が「DNAの著作権をもっているので、農家に再利用の権利はない」と企業側が主張します。
えええええ……。自分の持ち物なのに~。
つまり毎回新しい種子を企業側から買わなければならないのです。
経費がバカになりません。
というか、種子の購入費用で借金しなきゃいけないレベルです。

 

でも、勝手に再利用すると訴えられてしまいます。
自分で育てた大豆なのに。
大企業は反抗する農家には新しい種子を送りません。
詰みです……。
なんかどっかで聞いたことあるやり口ですね~。

 

スーパーサイズミーホーリーチキン」でも大企業がまったく同じ手口で農家を搾取して支配している実態が明らかにされています。
養鶏農家は自分で鶏を生産することが許されていません。
企業から送りつけられるヒヨコを飼育して企業の言い値で買い取ってもらうのです。


ただの育て業者です。
生産してないのですでに農家じゃありません。
反抗的だとヒヨコが送られてきません。
詰みです……。
業界が違うのに、ワンパターン。効果的なんでしょう。

ホーリーチキンの記事はこちらからどうぞ。

 

zwigani.hatenablog.com

 

【ここから熱烈な砂糖アンチによる個人的な見解】

※信頼度:低

(あくまで個人研究を根拠とした憶測的意見なので、ぜったいに信じないでください!!!)

アメリカの食品大企業の悪事に共通しているのが、原材料や成分表示を隠したがる、という点です。
まあ日本も大差ないんですけど……。
加工食品に砂糖が何グラム使われているか表示されていませんから。


私が思うに、食品産業は基本的に「利潤>ユーザーの健康」です。
というか、「健康的!」という宣伝文句をみたら、基本嘘だと思っています。
ほんの10年ほど前までは「動物性脂肪は健康に悪い」などとデマを流しまくり、「植物性油は健康にいい」などと吹聴していたやべえ連中ですから。

 

さすがに監督省庁から「ウソの広告はやめろ」と怒られたので、「体に脂肪のつきにくい油」とか「善玉コレステロール」とか、醜いにもほどのある造語を連発してなんとか有害物質を売りつけようとしていましたが、さすがにそれも怒られたのか「植物油が健康にいい」という宣伝はやめたようです。

 

なぜコレステロールを「善」とか「悪」とかいい始めたかというと、食品産業業界の苦しい事情があると思います。
20世紀末期には「コレステロールは健康を害するもの」という常識が広く信じられていました。


コレステロールは食肉や鶏卵、バターやチーズなどの動物食に多く含まれる成分です。
鶏卵を一日何個まで食べていいか、という話題ではたいがいコレステロールがやり玉にあがっていました。

 

そのコレステロールが健康に悪いものだと断定し「植物油はコレステロールの排出を助長する健康にいい食品だ」という宣伝をうっていたのです。
しかも安い!
ラードやバターなどの動物油は生産コストが高いですから、値段が高くなってしまうのです。


おかげで70年代以降、サラダ油とかいう原材料のよくわからない物質が家庭に侵入し、定着しました。
たしかに、植物油の多くはコレステロールの排出を促す効果があるようです。

 

ところが、近年では「コレステロールは血管や心臓の疾患を予防する」という科学的トレンドが浮上してきました。


あれー?いい人のコレステロールを追放しちゃうってことはー、悪い人じゃないのー?


なお、あくまでトレンドです。
健康に関することは、全人類が興味があって金になりすぎるので、つねに諸派の主張が入り乱れて、数年でメインストリームが真逆になったりするので、自分で取捨選択しなきゃいけないのがやっかいですね。


でも、メーカーが「植物油は健康的!」と主張するのをやめたので、たぶんそういうことだと思います。

バターやラードなどの動物油はコストが高いです。
それに対して植物油は圧倒的に安いコストで作り出せます。


だから、植物油が有害物質であっては困ったのです!
だって儲からなくなるでしょ!?
というわけで、「善玉」とか「悪玉」とか言い始めたようです。
善玉コレステロールに関してはいまだにちらほら聞きます……。

 

アホくさっ……。コレステロールコレステロールでしょ?
悪玉ビタミンCとか悪玉ナイアシンとか悪玉カルシウムとかあるのっ!?
まあ、食品メーカーや御用学者はようするに消費者のことを「バカ」だと思ってるんでしょうね~。


私たち消費者が身を守るためには、やるべきことがあります。
砂糖と植物油。
これを使わない食品メーカー、料理人を探すことです。
え?いない?
じゃあ自分がなるしかないな!

以上ですが、くれぐれも言っておきますが、あくまで私の信じる世界観からの見解です。