『ものがたりいちば』

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映画「マチネの終わりに」 ネタバレ感想 1人の女の機転が生む奇跡のラブストーリー

2019年日本映画
監督:西谷弘
主演:福山雅治

マチネとはフランス語で『昼の公演』という意味だそうです。
見どころが前半に集約されていて後半はひたすら失速あるのみのラブストーリーの感想はっじまっるよ~!

この記事は4500字以上あります。

目次です。好きなところから読めます。

 

序盤のかんたんなあらすじ


有名なクラシックギタリスト蒔野は音楽への情熱を失いつつありました。
これを最後にあらゆる音楽活動を休止すると決めたコンサートで、ひどい演奏をしてしまいます


ひどく落ちこんだ蒔野は参加した打ち上げで洋子という女性と出会いました。
洋子はパリのRFPという通信社でジャーナリストとして働いていますが、祖母の葬儀のためにたまたま帰国したところに、蒔野が所属するレコード会社の友人に誘われてコンサートにきました。


蒔野は洋子との出会いに運命的なものを感じます。
けれども2人が住む東京とパリという距離の隔たりのこともあって、その夜の後はとくに進展しません。


ところがある日パリで同時多発テロが発生します。
(この映画では2013年ということになっていますが、現実では2015年です)
蒔野は洋子の身を案じてメールを送りますが、返信はありません。


さらに洋子の勤めるRFP通信社がテロの標的にされてしまい、洋子自身はからくも無事だったのですが、同僚が犠牲になり精神的なショックを受けてしまいます。
そのため休職することになり、ふと蒔野からのメールに気づいた洋子は電話をかけました。


ちょうどそのとき蒔野はギターの師匠祖父江に誘われてスペインのマドリードで開催される音楽イベントに参加することになっていたので、その前にパリで会うことになりました。
突っ走る若者とはちがって中年2人の恋はどうなっていくのでしょうか?

 

 

―――ネタバレ注意!―――

 

 

 

ここからストーリーネタバレ感想です。

 

パリに吹き荒れる狂気


おしゃれなレストランで再会した蒔野は洋子への気持ちを確信したのか、食事もそこそこにさっそく口説きはじめますが、その口説き文句が狂ってます。


「君が死んだらぼくも自殺する」


ふえええええ……こわいよぅ……。
ぜんぜん口説き文句に聞こえない脅迫のようなセリフです。
ちなみにこの2人が会うのはまだ2回目です(笑)


洋子には学生時代から20年付き合っている婚約者がいて、近々結婚する予定になっているので口説くのを急ぐ気持ちはわかります。
しかし、そのテンションを受け入れられるやつはいないでしょう(笑)


と思ったら洋子にはバッチリ刺さっていました。
ええ?(困惑)
マドリードでのコンサートまでに気持ちを決めるとのことです。

 

 

蒔野フラれちゃったの……?

 

あの反応は手ごたえあり、と感じていた蒔野は張り切ってコンサートに臨むのですが、来るはずだった洋子の姿がなぜかありません。
それでやる気をなくしてひどい演奏をしてしまい、客からブーイングを浴びます。


フラれたと思った蒔野はホテルでふて寝をしていたのですが、洋子から連絡が入りました。
じつは洋子の同僚ジャリーンが取材中に暴漢に襲撃されてケガをしてしまったので、その面倒を見るためにコンサートに行けなかったのです。


洋子はちゃんとそのことをメッセージで伝えていたのですが、ずぼらな蒔野が携帯を見てなかったのです(笑)
蒔野はすぐに駆けつけます。


ケガをしたジャリーンは興奮していて、なぜか現れた蒔野に「見世物じゃないよ!」と怒ります。
たしかに、なにしに来たの?(笑)

医療関係者でもカウンセラーでもない、見知らぬ一般人が現れたら腹が立つわなw


蒔野自身も洋子会いたさにケガ人の気持ちを考えなかったことを反省して、苦し紛れに料理を作りますが、相手はケガ人なので食欲がなくますます気を損ねてしまいます。


得意の料理が通用せず打つ手がなくなったので、もっと得意な演奏でなだめることにしました。
そこはさすがに世界的な演奏家、ジャリーンはみるみるうちに平静を取り戻し、スヤスヤと安らかな眠りにつきました。


邪魔者がいなくなったので2人は熱烈なチューをします。
まあまあ長めの尺をとってチュッチュチュッチュしました(笑)。
見世物どころか邪魔者だったんだよなぁ……。


めでたく気持ちの通じ合った2人ですが、洋子には婚約者がいます。

ということで「すべてのことにケリをつけてから今度はわたしが東京に行く」と約束して2人は別れました。

 

 

東京ラブストーリー(三谷覚醒編)


というわけで、洋子は一瞬で東京にきます(笑)
20年以上の付き合いがあった婚約者リチャードは別れのシーンすら与えられずに処理されました(笑)
婚約者役の伊勢谷友介もこの扱いにはがっかりしたことでしょう……。

その落胆のせいでハッピーな気分になる草がほしくなったのかな?


成田からの高速バスターミナル発着場に迎えに行くと約束をしていたのですが、師匠の祖父江が急病で倒れてしまったので、蒔野は急遽病院へ向かいました。
ピンポイントやな~(笑)


おまけに携帯をタクシーに忘れてしまいます。
ほんまずぼらやな~。
まあ慌てていたから多少はね?


祖父江の手術がいつ終わるかわからないので蒔野は病院を離れられません。
そこでマネージャーの三谷が気を利かせてタクシー会社に携帯を取りに行ってくれます。
じつは蒔野に惚れている三谷はついつい携帯を盗み見てしまい、蒔野と洋子の関係を知りました。


すると今まで影の薄かった三谷が突如として覚醒します。


蒔野の携帯から洋子に身勝手な別れのメッセージを送りつけたのです!
さらに携帯を水没させて証拠隠滅をはかると同時にリカバリーの機会を奪うという巧妙な破壊工作も行います。
おもしろいけど急にどしたん?(笑)


携帯が壊れてしまって困った蒔野は三谷に、洋子の友人であるレコード会社プロデューサーから洋子の連絡先を聞いてくれるように頼みました。
快諾する三谷でしたが、すでに破壊工作を始めてしまった以上、嘘をつきとおさなければ即死する立場です(笑)


そこで仕事用の携帯を蒔野に渡しましたが、そこに登録されている洋子の番号は三谷の私用の携帯でした。
蒔野の謝罪メッセージは洋子には届かないのでした……。


翌日、新しい携帯を手に入れた蒔野はさっそく洋子に連絡するのですが、うまく話がかみ合わず、関係を修復することができませんでした。
このくだりでの2人の会話は、真相に気づかないように必死ですれちがいを続けるさまがもはやコメディになっていました(笑)


ともあれ三谷の作戦勝ちです!
この三谷の破壊工作の内情、このタイミングで見せちゃってよかったんでしょうか?
見せないほうが、急に洋子の態度が硬化して別れがくるという謎が生まれると思うんですけど。


三谷覚醒が急すぎてよくわからん流れになってますが、きっと原作小説では丁寧に心情が描写されていることでしょう。
パリでの昼食時に蒔野から唐突に飛び出した自殺発言もね……。


個人的に、この映画がおもしろいのはここまででした(笑)
ということで流していきます。

 

 

4年後……


祖父江が長患いのすえに亡くなったようで、葬儀がしめやかに行われています。
そこには蒔野と三谷、そして幼い子供の姿が!
どうやら三谷は破壊工作をやりきった甲斐があって、愛しの蒔野と結婚できたようです。


蒔野は4年間ずっと音楽活動をサボっていたそうですが、師匠を追悼するトリビュートアルバムをリリースすることになって、さすがに参加することにします。


ひさびさにアルバム作りをやってみたら思いのほか楽しかったようで、音楽への情熱を取り戻しました。
休むって大事なんすね~。


世間的には蒔野はマドリードでの失敗で『終わった人』扱いです。
そこで復帰にあたって一発デカいのを決めたい、ということで20年前デビューしたニューヨークの権威あるコンサートホールで再デビューコンサートをすることにします。
(たぶんカーネギーホールだったと思います)

 

 

洋子、蒔野と再会する(三谷再覚醒編)


再デビューコンサートのために段取りをつけにNYへ飛んだのは三谷でした。
三谷はなんと洋子に会いに行くという荒業を繰りだします。
恋に破れた(と思っている)相手からしたら死体蹴りでしかありません(笑)


洋子は蒔野と別れてから元カレのリチャードと結婚してニューヨークで暮らしていましたが、リチャードの浮気が発覚して離婚調停中です。
というか、20年付き合った相手を描写もなく一瞬でフっておきながら出戻りしたのかよwww


リチャードは「きみを憎んでいる……!」と申しておりましたが、そりゃそうだわなー。
むしろなんで結婚したwww


都合よくフリーになったタイミングで、洋子は蒔野の来訪を告げられます。
まあ三谷なんですけどね(笑)
洋子もなんでこいつが会いに来たのかぜんぜんわからず、死体蹴りを警戒しています(笑)


すると三谷が4年前の破壊工作をあらいざらい暴露しました!
え、なんで?
おそらく、他人の幸せを奪ったことへの罪悪感に耐え切れなくなったのでしょう。


と思ったら「わたしは正しいことをしたいわけじゃないんです」などと本人が言っておりますので、違うみたいです……。
じゃあこうです。


きっと三谷は略奪して手に入れた蒔野が4年間音楽活動をサボっている姿を見て、自分が惚れていたのは蒔野の音楽だと気づいたのでしょう。
とはいえ、すでに蒔野は音楽への情熱を取り戻してじゃんじゃんギターを弾いてますから、理屈に合いません。


えーと、じゃあ、たぶん4年間結婚生活を送った結果「あ、なんかこの人思ってたのと違ったわ」と気づいて冷めるというよくあるパターンでしょう。
物語でそのリアル感強めの理由やめろw


それは冗談として、たぶん蒔野のことをほんとうに愛していたので、蒔野のためを思って自白したのでしょう。
わからんけど(笑)


今回も結局、三谷の心境変化の理由は原作小説を読まなきゃわからんやつでした(笑)
三谷は破壊工作の真相を蒔野にもバラしていました。


蒔野と洋子は真相に衝撃を受けていましたが、視聴者はもう知ってることなのでなんの驚きもありません。
やっぱり三谷が工作する様子をリアルタイムで見せるのはやめといたほうがよかったんじゃないですかね~?

 

 

洋子、蒔野と再会する2


終わった天才が4年間の沈黙を破って開催した単独コンサートは見事に成功を収めました!
観客総立ちのスタンディングオベーションで拍手の嵐です。


「コンサートが終わったらセントラルパークを散歩するんだ……」
と観客にわざとらしい「誉めに来い」アピールをしてから(笑)蒔野はセントラルパークに行きます。

すると、コンサートに来ていた観客がほんとに誉めに来てくれました(笑)


もちろん会場に来ていた洋子も行きます。
2人が再会するところで終幕となりました。


洋子はどフリーですけど、蒔野は三谷の自白を受けたあとも良好な夫婦関係を続けているように見えたので、どうなるんでしょうかね?

 

 

 

まとめ感想

会話シャレオツ度☆☆☆☆☆


全体的に会話がシャレオツで違和感がありました。
小説は文字だからいいんですけど、実際の人間にああいう高尚な会話をされると急にコメディっぽくなるんですね。

 

 

 

テロいらない度☆☆☆☆☆


美男美女がイチャイチャしたりすれちがうだけの映画だと志が低くみられるちゃうから、シャレオツな会話で深みがあるフリをしてみて、それがバレるとますます志が低くみられちゃうからテロという深刻で現代的なエッセンスを盛り込んでみました。
そういうふうに見えてしまいました。


劇中でリチャードが「テロを利用するつもりはない」と言った直後にテロを利用して結婚を急がせようとしていましたが、この映画自体もテロを利用しています(笑)

 

 

 

三谷度☆☆☆☆☆


この物語は三谷の存在がすべてでした。


もし三谷がいなければ、美男美女が出会ってチュッチュしてめでたしめでたしの『新婚さんいらっしゃい』みたいになってしまってなんもおもしろくなかったはずなので、三谷はまさに救世主です!


まあ行動原理は理解できなかったんですけど(笑)

 

 

三谷がひっかきまわすのがおもしろかったです!
あと音楽もよかったです!