ネタバレあります!ご注意を!
孤児院仲間のジョリーンが来訪した理由は、シャイベルさんの訃報を伝えるためでした。
近々葬儀があるのでいっしょに行こうと誘われたベスはジョリーンと昔懐かしの孤児院に向かいます。
ジョリーンは大学を卒業し、法律事務所でパラリーガルとして働きながらロースクール進学を目指しているようです。
ベスは孤児院には立ち寄らず、直接葬儀会場に行きました。
ジョリーンにシャイベルさんとの思い出を語りますが「10ドル踏み倒したことを後悔してる」と言います。
10ドル送ってなかったのかよw
それで申し訳なくなったのか、やっぱり孤児院を訪れることにしました。
かつて暮らした大部屋の寝室やチャペルを見て回ったあと、シャイベルさんの地下室を訪ねます。
昔と同じ暗い部屋には、昔とちがう部分が1つだけありました。
壁のボードに新聞や雑誌の記事の切り抜きがたくさん貼ってあったのです。
もちろんすべてベスの活躍を報じた記事です。
シャイベルさんはベスが去ってからもずっと遠くで見守ってくれていたのです……。
そもそもベスがチェスプレイヤーとして活躍できたのは、チェスを教えてくれて出場費の5ドルを送ってくれたシャイベルさんのおかげです。
その恩あるシャイベルさんにあれ以来手紙の1つも送らなかったわけです。
さきほどは冗談めかして10ドル送らなかったことを後悔していましたが、こんどは長年の不義理に対する後悔が押し寄せてきてベスは泣き崩れてしまいました。
ソ連遠征について打ち合わせするためにクリスチャン・クルセイダーズのひとたちと話し合いを持ちます。
共産主義は無神論を採用しているので、クルセーダーズ側はベスにソ連を非難する声明を出すように迫ってきます。
しかし、ベスは「政治に利用されたくない!」とかっこよくこれをつっぱね、遠征費用も返すと言ってのけました。
とはいえベスは遠征には3000ドルという莫大な費用が必要なことを知りませんでした。
手持ちが2000しかないのでベニー・ワッツに「1000ドル貸して~あと怖いからついてきて~」と助けを求めますが「アホちゃうか?」と断られました。
これはやっちゃいましたね~。
ベスはかっこつけてクルセイダーズの申し出を断ったことを後悔します。
今回後悔してばかりです(笑)。
全米チェス協会に頼んでもダメ~!
国務省に頼んでも「安全のために随行員を送ります。でも費用は出せません」と渋い返答。
困ったベスはジョリーンと気晴らしにスカッシュをやりながら愚痴りました。
すると、ジョリーンが「わたしが出す」と申し出たのです。
「なぜ?進学費用でしょ?」と驚くベスにジョリーンは「シャイベルさんだけじゃない。わたしもずっと見守ってきた。わたしたちは家族でしょ?」と語ります。
ジョリーンの援助を受けたベスは国務省の随行員とともにソ連に飛びました。
飛行機の機内で随行員はソ連における注意点を説明し、だれとも接触しないようにと釘をさしました。
なんかCIAくせ~w
ベスは諜報部員ではないか疑っていますが、実際そのとおりでしょう。
モスクワに集った8人の世界的プレイヤー総当たりによる世界チャンピオン決定大会が始まります。
ベスは当初8人のなかで格下と思われていましたが、初戦から強さを見せて相手を撃破します。
初戦、2戦目と危なげなく勝つと地元モスクワにもベスの活躍がとどろき、会場外の出待ちファンの数が日増しになっていきます。
街を散歩したベスは、広場で野良チェスに興じる大勢の民衆を見て圧倒されます。
ロシア人はチェスが好きなんですね~。
やはり草の根レベルのプレイヤー数が強さの理由でしょう。
快進撃を続けるベスを最初の強敵が待ち受けていました。
元世界チャンピオンのルシュチェンコです。
ルシュチェンコはベスの祖父ほどの年ですがまだまだチェス力は衰えず、戦いが長引いたため、ルシュチェンコが中断を申し出ました。
でた!
封じ手!
かつてベニー・ワッツはソ連人の強さの秘訣が「封じ手」にあると分析していました。
ソ連人は封じ手のあと、夜に仲間たちでよってたかって対策を行うから強い、という分析です。
チームプレイで勝ちにくるソ連人に対して個人主義のアメリカ人はずっと負けてきたそうです。
翌日の試合、ベスは粘りをみせてルシュチェンコを負かしました。
ルシュチェンコは「世界最強のプレイヤーとやれて光栄だ」と賛辞を送ります。
おや、世界最強はボルゴフでは?
ルシュチェンコはあまりボルゴフを評価していないのでしょうか?
それともすでにベスの強さはボルゴフを超えていると判断したのかもしれません。
とはいえベスの技術や知識は前回ボルゴフに敗れてから更新されていません。
なにしろその間ほぼ酒飲んでただけですからw
変わっていることといえば、ジョリーンと再会して心の滋養を得たことと、それ以来酒をやめたことです。
これがはたしてどうでるでしょうか?
優勝決定戦はやはりボルゴフとの対戦になりました。
お互いに手堅い立ち回りをして戦いが長引き、ボルゴフが中断を申し出ました。
お得意の封じ手です!
勝負は翌日に持ち越しとなりました。
ルシュチェンコのときはなんとか1人で跳ね返せましたが、相手は世界最強のボルゴフです。
かなり不利な状況と言わざるを得ません。
強豪を次々に撃破したベスの人気はうなぎのぼりで、世界各国からメディアが押し寄せていました。
国務省の随行員がベスにロシアの悪口を言わせようと画策しますが、ベスは無視します(笑)。
メディアのなかにレキシントンプレスの記者がいました。
懐かしのタウンズです。
ホテルの部屋で夜遅くまでタウンズと2人で封じ手対策をしていたためか、翌日ベスは昼過ぎまでぐっすり眠りました。
そのとき、部屋に電話がかかってきました。
電話の相手はベニー・ワッツです!
それにハリー・ベルディックやほかのチェス仲間たちもいっしょにいます。
新聞の朝刊に棋譜?チェス譜?が載っていたので、朝からみんなで3時間も検討会をしていたそうです。
これでアメリカもチームプレイになりました!
熱いですねー、少年漫画ですねー!
ベニーから対策を聞いたベスはボルゴフとの決戦に戻りました。
しかし、ボルゴフはやはり一枚上手……ベニーたちとの対策にあがっていなかった想定外の一手を打ってきたのです。
もはやベスに打つ手はなし……。
ベスは天井を見上げました。
観客や実況解説のみなさんもつられて天井を見上げます(笑)。
いわゆる天を仰ぐ――お手上げ状態でしょうか?
ちがいます。
じつはベスにはもう1つ今までと違う部分があったのです!
それは――クスリを飲んでいないということです。
酒を飲み、クスリをやるのは「そうすると頭がぼーっとしてチェスのことを考えやすいから」などとアル中丸出しジャンキー丸出しのいいわけをベスはかましてましたが、そんなわけねーだろw
十数年ぶりにクスリが抜けてクリーンな頭脳になったベスは、天井に高速シミュレーションの盤面を描き出します。
ひょっとしてチェスを始めてから初めてクリーンな状態になったのではないでしょうか?
ずーっとぼーっとしながら打っててこの強さかよw
クスリを抜いてシラフになっていたので、昨夜は母が事故死したときのことを鮮明に思い出すこともできました。
じつはあれはただの交通事故ではなかったのです。
離婚後困窮した母はベスを養っていくことができなくなり、自ら車でトラックに突っ込んだのでした。
交通事故、ではなく無理心中だったのです。
自分のルーツを思い出し、見えすぎるくらい盤面が見えてきたベスの猛烈な反撃が始まります。
押し返されたボルゴフがたまらず「ドロー」を提案しました。
しかしエリザベス・ハーモンは生粋の勝ちたがり……もちろん断ります。
一度ついた勢いは止まらず、ボルゴフは負けを認めました。
新世界チャンピオンの誕生です!
なぜかルシュチェンコも満足そうに頷いています(笑)。
やはりボルゴフが嫌いなんですね~。
ベス優勝の知らせがタウンズによってベニー・ワッツやジョリーンたちにもたらされます。
翌日、空港へと向かう社内で国務省の随行員があれこれ言ってますが、ベスはウザかったのか車を降りてしまいました(笑)。
ベスの目的はこの前のチェス広場でした。
野良チェスに興じていた大勢のひとがベスに気づいて場が一気にわきます。
自分たちのチャンピオンボルゴフが負けたのに、ロシアのみなさんはベスの勝利を喜んでいるみたいですね。
ひょっとしてボルゴフけっこう嫌われてるの?w
みなさんベスに握手を求めてきます。
クルセイダーズや国務省の随行員がさんざんロシアの悪口を言わそうとしてきましたが、ベスはチェスが盛んなロシアを気に入ってるんじゃないですかねー。
さて、ロシアのみなさんの中にいた1人のおじいさんがベスに対面の席に座るように促しました。
チェスプレイヤーが集えばやることといえば……そうです、チェスしかありません。
ベスはおじいさんの対面に座り、プレイを開始しました!
まさか勝因がクスリを抜いたことだったとは……(笑)。
というか、今までの敗因がクスリのせいだったってところですかね。
おもしろいシリーズでしたが、よもや薬物追放キャンペーンドラマだったというのがいちばん意外な結末でした!
(冗談です)
いままでは知識を重ねたり、修行を積んだりして強くなってきました。
最後になってなにかを「足す」ことで勝利を得るのではなく「引く」ことで勝つというのは、ひねりが効いたラストですね~。
おもしろかった!!!