『ものがたりいちば』

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映画「高地戦」の感想 最高にアホらしい12時間の戦闘

2011年韓国映画
監督:チャン・フン
主演:シン・ハギュン

 

 

序盤のかんたんなあらすじ


朝鮮戦争末期の1953年朝鮮半島
韓国軍防諜隊に属するカン・ウンピョ中尉は2つの疑惑を調査するためにエアロK高地、通称エロックという激戦地に派遣される。


1つ目の疑惑は北朝鮮兵士の手紙が韓国軍の郵便網で韓国の領土に送られていること。
もう1つは中隊長戦死の謎である。


中隊長は韓国軍将校の銃で射殺されていたのだ。
カン中尉の任務は、内通者と裏切り者の将校を特定することである。


新任の中隊長とともにエロックに赴いたカン中尉はそこで中隊に所属し、激戦に身を投じる。
エロックは両軍が何度も奪い合う泥沼の戦場と化しており、死体を踏まねば移動できないほどの激戦地だった。


激戦を戦ってきた中隊、通称ワニ中隊の隊員は強者揃いだが、どこか様子がおかしい。
カン中尉は生き別れた親友のキム・スヒョク中尉と再会を果たすが、調査を進めるうちに疑惑の焦点はスヒョクに集中していくのだった……。


激戦地に潜む内通者と中隊長殺しの謎は、解けるのであろうか?

 

 

――ネタバレ注意!――

 

 

 

クリスマスまでには帰れる度☆☆☆☆☆


第一次世界大戦時が始まった1914年、多くの兵士たちはそう思っていたそうです。
ところが大戦はそれから4年も続き、多くの兵士が帰還できませんでした。


この映画でも冒頭で北朝鮮の将校が「1週間で終わる」と予想していましたが、結局地獄の内戦は3年も続きました。
開戦直後は北朝鮮軍が圧倒的に優勢で、ものすごい勢いで支配領域を拡大していたそうなので、北の将校は楽観視していたのでしょう。


この映画は戦争勃発から2年半ほど経過したところで始まっていますが、その時点で停戦協議が開始してから2年も経過していました。


戦争開始から半年で始まった停戦協議がなんで2年もかかってるんだよwww
やめる気あんのか!?


劇中でも描かれていましたが、両軍ともできるだけ領土を拡張した有利状態で停戦したいため、不利になった側がごねて話がまとまらなかったのでしょう。
現場の兵士はやってらんねぇわ……。

 

 

内戦地獄度☆☆☆☆☆


そもそも中尉がワニ中隊に派遣されたきっかけは北朝鮮兵士の手紙が南の家族に届けられたことです。
家族が敵側に住んでいるというのはどういう気持ちになるんでしょうか……。


どちらが勝っても戦後には同胞になる相手を殺すことになるわけです。
敵が死ねば朝鮮人が1人減り、味方が死んでも朝鮮人が1人減ります。
家やインフラ施設を破壊すれば、それは後々自国の損害となって返ってきます。


劇中には韓国軍が韓国軍を殺しまくるシーンがありましたが、もうなにがなんだかわからん悲惨さでした。
こんなのやってらんねぇわ……。

 

 

戦闘の迫真度☆☆☆☆☆


狙撃手が対象をわざと即死させずに助けに来た兵士を狙おうとするシーンがありました。
スヒョク中尉が味方を助けようともせずにわざと次の弾を撃たせて狙撃手の潜伏場所を特定する冷徹さに震えました。


部下の兵士たちもそれを当然のように受け止め、戦場にきたばかりのウンピョだけが取り乱してしまうなど、戦場の過酷さと狂気に取りつかれていく様子がよく伝わってきました。


死体などのグロ描写もすばらしかったと思います。
たしかにグロいんですけど、やりすぎてはおらず、必要な描写に思えました。


まあ人間関係はちょっと運命的な偶然が多いなーと感じましたが、実話ではなくフィクションですから許容範囲内です。
おもしろくて悲惨な、いい戦争映画でした!