『ものがたりいちば』

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「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」の感想

前作にあったハンパない緊☆張☆感はどこに……?

 

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2018年アメリカ映画。麻薬戦争ものです。


監督はステファノ・ソリマ。

よく知りません。イタリア人監督らしいっす。


主演はベニチオ・デル・トロ

前作「ボーダーライン(2015)」では助演でしたが、めでたく主演に昇格です。

といっても、前作でも主演みたいなものでしたけど。


助演は前作でチームリーダーのマットを演じたジョシュ・ブローリンが続投。


さらに超絶美少女のイザベラ・モナーがマフィアの娘として出演しています。


本作は前作の続編というよりはスピンオフという位置づけだそうです。
まあ、たしかに「ボーダーライン」とはいろいろ違います。


アメリカとメキシコの国境で繰り広げられる麻薬戦争を題材にしているし、登場人物も多くが一致しているとはいえ、雰囲気はぜんぜん別物。

もはやジャンルすら違う感があります。


共通しているのは「よくわからない……」と困惑する点です。

ただその理由は大きく異なります。


ネタバレの影響度は極めて低いです。なので、ネタバレ全開でいきます。ご注意ください!

 

 

 

・序盤のかんたんなあらすじ


アメリカ国内のスーパーマーケットで自爆テロ事件が発生し、子どもを含む十数人が犠牲になった。
自爆したのは3、4人の集団で、イスラム系過激主義者と思われる。


犯人たちの身元は現時点では不明だが、おそらくISISの関係者であろうということと、探知されにくい海路でアフリカからメキシコに入り、陸路で国境線を越えアメリカに密入国したであろうというのが、事件発生直後の政府機関の予想だった。


テロリストの入国を手引きしたのがメキシコの麻薬カルテルだったと予想した国防長官は、麻薬カルテルの壊滅を決意する。

巨大カルテル同士を混乱させて戦争状態に追いこみ勢力を弱めることで、密入国者をシャットアウトしようと目論んだのだ。


というのも、20世紀末期にはコカイン密輸がカルテルの資金源だったが、現在ではもっとも儲かる密輸品は「密入国者」。

カルテルを弱らせない限り、テロリストの国境越えは止められない。


CIAの暗部を請け負うマット(ジョシュ・ブローリン)は、極秘の命令を受けてカルテルかく乱作戦のために信頼するチームを招集する。

そこにはかつてカルテルのボスをたった一人で暗殺した盟友アレハンドロの姿もあった。


チームは手始めに最大カルテルと敵対する組織の顧問弁護士を襲撃する。カルテルのフリをして。


その後、カルテルのボスの娘の女子高生を拉致してアメリカに移送した。
こうして戦争の火種をばらまき、準備は整った。
はたして、チームはカルテルをどうやって倒すのであろうか!?

 

 

 

イザベラ・イザベラかわいい度☆☆☆☆☆
メインヒロインである、カルテルのボスの娘役のイザベラ、ほんとに美少女です。

役名もイザベラです。


この女優だけで一見の価値ありです。同級生を殴り倒すパンチのモーションもかなりかっこいいので、運動能力高そうです。

今後アクション映画も期待できそうです。


ごましお程度に覚えていただけるとうれしいのですが、だれかが映画を評価するとき、最初に「女優がキュート」とか、「男優がイケメン」とか言い始めたら、映画の内容はお察しください。
哀れな美少女を守る、そのためなら国家を裏切ってもしかたがない!

 

 

現代の西部劇度☆☆☆☆☆
前作のシリアスなサスペンス感はもう霧散しちまっています。
よくわからない……と困惑するのは前作と同じですが、本作のは単純に展開がてきとーだからです。


シリアスな国際サスペンスと思わずに、エンタメに振り切った現代西部劇として観れば腹も立ちません。
哀れな美少女を守る、そのためなら国家を裏切ってもしかたがない!(二回目)

 

 

ガバガバ度☆☆☆☆☆
・冒頭の自爆テロ

数人のテロリストが夜のスーパーマーケットで自爆します。

お客さんがあんまりいませんので、数人自爆して十数人しか道連れにできてません。

テロの恐怖はソフトターゲット(無抵抗の民間人)を無差別に殺すことにあるのですが、殺傷する人数も重要のようです。インパクトを与えたいのですから。

 

数人で十数人を殺傷するのなら、ライフルでも事足りたと思うんですが、なぜ自爆を選んだんでしょうか?

なんでもっと人の多いところでやらなかったんでしょうか?

よくわかりません。

 


・上述したあらすじで、「政府機関の予想」「国防長官の予想」と書きました。

マジでただの予想なんです。

なんの証拠もなく予想にもとづいて違法な作戦に着手して他国の未成年者を拉致してくるのです。

で、予想ミスってたから、てきとーにメキシコ人とドンパチして皆殺しにしたあと作戦は全面中止。

メキシコ政府との関係悪化を防ぐために、目撃者であるイザベラを抹殺しろー!みたいな流れになります。

アメリカの政府機関の知能の低下が本気で心配になります……。

 


・急に真昼間!?
深夜、現場に急行していたアメリカ軍のヘリ部隊、「あと五分で現地につく」と言っていたのに、つぎのシーンでは真昼間になっていました。


メキシコのことはよくわからないのですけれど、真っ暗な深夜から朝明けをすっ飛ばして昼間みたいに明るくなるのでしょうか?

地球のことがよくわからなくなって困惑します。


映画製作は協同作業です。

多くのスタッフが時間も場所もバラバラに作業します。なのでまれによくこのようなことが起こるようです。


前のシーンを撮ったつぎのシーンを撮るのが数週間後ということはよくあるそうです。役者の髪型が二秒後には変わっていたり、一瞬で服を着替えていたりとかいう謎現象がまれによくあります。


だいたい、てきとーに作ってそうな映画で発生する現象です。
スタッフのみなさんの記憶力、だいじょうぶでしょうか?不安になります……。

 


・全員ポンコツ化。
手段を問わないとはいえ、冷静なCIAリーダーだった戦略家のマットはどこにもいません。

なんか上司っぽいやつにパワハラされてる情けない姿を見せてくれるだけです。
冷徹な暗殺者だったアレハンドロもどっか行っちまいました。

そもそも暗殺しません(!)。

 

あ、いちおう原題は「Sicario(暗殺者)」を引き継いでます。

暗殺者のひとどこですかー?

怒らないからでてきてくださーい!


前作との落差レベルでいえば、超名作シリーズである旧ボーン三部作と新「ジェイソン・ボーン」くらいの差があります。

 

なんかラストでさらに続編作ろうという色気を見せてましたが、「ジェイソン・ボーン」の続編はいまだに聞きません。

この作品の続編は作れるのでしょうか!?

 

緊張感なんてどうでもいんだよ!ドンパチ見せろや!
っていうひとにはおすすめかも?