再会したノーマンのアジトでエマとレイが話をした前回の続きです。
目次です。好きなところから読めます。
ムジカの正体
ノーマンはムジカの名を聞いて「『邪血の少女』が生きていたのか!?」と激しく動揺します。
ムジカは700年前に突然現れた特異体質の鬼で、鬼がその血をすこし飲むだけで人間を食べなくてもクリーチャーにならない体質を得られるそうです。
今も昔も貧乏人鬼はなかなか高級品の人間を食べることができないので、いくつかの貧しい集落はムジカのおかげでクリーチャー化の恐怖から解放されたのです。
ところが食用児の供給をコントロールすることで下々の鬼たちを支配していた王侯貴族がムジカたちをみんな食い殺してしまいました。
こうして人間を食べなくても済む鬼は歴史から姿を消したはずだったのです。
しかしムジカは生きていました。
しかもムジカの血には、いったん低脳クリーチャー化した鬼を元に戻す効果まであるのです。
鬼たちの知能を低下させてクリーチャー化させ、絶滅に追いこむつもりのノーマンとしてみたら確かに邪魔な存在でしょう。
怪獣みたいな化け物クリーチャーもいたので、あんなのがぽんぽん生まれてきたらむしろ絶滅させられるのは人間になりそうなんですけど(笑)
それにしてもこの数か月で鬼の生態から歴史まで、ノーマンとエマたちにずいぶん差がついたものです……。
前回わたしはノーマンが嘘をついているんだと思いました。
『人間を食べないと鬼は知能が低下、クリーチャー化する』
『鬼たちは食用児の一部をラムダ農場で人体実験して強化している』
『ノーマンたちは都合よく鬼の知能を低下させる薬を開発した』
このへんを全部嘘扱いしました。
ですが、今回の雰囲気を見ているとどうやら全部本当のことっぽいので謝ります。
ごめんなさいノーマン先輩!
てきとーに展開予想をぶっ放して外したくらいでは謝りませんが、嘘つき扱いしたことは深く謝罪申し上げます。
あれ……?
なんかヘンですね。
ノーマンの話が本当だとすると『人間』を食べないと鬼が実質的に死ぬというのは、動物としておかしいです。
もし感染症や災害で農園の食用児が全滅してしまった場合、あっという間に絶滅してしまいます。
一部の王侯貴族やムジカたちだけが生き残れるとしても、あまりにリスクが大きいです。
というかそもそも『特定の生物を食べなければ生きていけない動物』というのは単純に種として弱すぎます。
草食動物にしろ肉食動物にしろ、好物はあっても、基本的には栄養素が摂取できれば食べる対象を選びません。
いま世界を混沌の渦に叩きこんでいるコロナウイルスだって、たまたま野生動物から人間に感染したおかげで活動の場を広げただけで、べつに人間専門で商売をやっているわけではありませんから。
人間を食べないと死んでしまう弱い種……人間に遺伝子をいじられて誕生したとかそういうオチっすかねー。
てきとーな予想をぶっ放すのはやめません!
さて、絶滅計画の完遂のためにはムジカ(とソンジュ)は邪魔になります。
当然ノーマンは「殺そう」と言うのですが、エマが「ムジカたちは友だちだから殺したくない」と反対しました。
友だちというか、命を救ってくれて生き抜くためのサバイバル技術を教えてくれた大恩人ですから。
議論白熱
そこでエマはムジカの力を借りて、鬼たちが人間を食べなくても済むようにすれば、絶滅なんてさせなくてもよくなるのではないかと提案するのですが、ノーマンに論破されます。
鬼にとって人間は食べるとおいしい極上の食材でもあり、そもそも『食べていい』ものなのです。
たとえ食べなくても済むようになっても食べる動機があることに変わりはありません。
それにたとえムジカの力を借りるにしてもちょっと無茶があります。
この大陸に生息するすべての鬼にムジカの血液ワクチンを行き渡らせることがどれほど困難か、考えなくてもわかります。
ましてやワクチンを投与する相手は人間を見れば襲ってくる鬼です。
生存が明らかになればムジカたちは支配者たちから命を狙われることになるでしょうし、現実的じゃありません。
論破されてぐぬぬったエマは「それなら人間の世界に脱出すればいい」と当初の計画を発案します。
ダメでした。
ノーマンいわく、エマたちが知っている座標にあるワープポイントはすでに農園側に潰されていて、残ったワープポイントはグレイスフィールドの本部地下深くにあるただ1つだそうです。
ついでにシーズン1から引っ張ってきたウィリアム・ミネルバなどの協力者はもう皆殺しにされているそうです。
急に伏線を全部ぶっ潰してルートを固定しにかかってきたなwww
グレイスフィールドに突っ込むのは危険すぎるし、たとえ人間の世界に逃れても歓迎されるとは限らないので、ノーマンはより確実性の高い絶滅作戦にこだわります。
あ、自分ノーマン先輩に賛成でいいすか?
部分的にっすけど。
ムジカたちには手を出さずに食人鬼だけ絶滅させればいいと思います。
ノーマンは「もし鬼を絶滅させようとしたときに、同族を殺されるムジカたちが黙って見ているはずがないから、ムジカたちを殺すべきだ」と主張してましたけど、何百年も命をつけ狙われたらそんな同胞意識なくなると思います。
実際、ソンジュはエマたちを追跡したきた鬼を躊躇なく斬り殺してましたし。
なのでサクッと食人鬼だけぶっ殺して平和を手に入れましょう!
しかしエマは納得しません。
鬼を絶滅させて手に入れた平和な世界では、もう笑えないと甘っちょろいことをぬかしやがるのです。
……まあそれはいいでしょう。
この甘っちょろさがエマのいいところですから。
しかし、このあと提案したことは甘っちょろいを通り越して意味不明です。
「ムジカたちを探して連れてきたら、鬼を絶滅させるのをやめて」
という、わけのわからん取引をノーマンに持ちかけたのです。
??????
ノーマン先輩は、ムジカを絶滅計画最大の障害と認識しています。
ですから、ムジカを連れてくるのが取引材料になるというのは理解できます。
だけど、絶滅計画を中止するというのが条件ならばノーマン先輩にメリットは一切ありません。
相手にメリットのない条件を出しておいて、よく取引がまとまると思ったもんだなwww
これが名門グレイスフィールドの誇るフルスコアwww
などと草を生やしていたら、なんとノーマン先輩が5日の期限付きで了承しました。
まあ、これはノーマン先輩の策略でしょう。
成功確実だと思っていた作戦にムジカというイレギュラーが発生したので「とりあえずエマに連れてきてもらえればかんたんに排除できてラッキー」程度の判断だと思います。
やっぱり嘘つきやんけw
先輩呼びや~めた!
なぜエマがこんな提案をしたのかよくわかりません。
『鬼を絶滅させず、かつ仲間たちを救う』というがめつい願いを叶えるためには、ノーマンたちを説得してみんなでグレイスフィールドを襲撃してワープポイントから逃げだす、というルートが正解のはずです。
フルスコアにしかわからない深い計略でもあるのでしょう、きっと(笑)
というわけで、エマとレイは兄弟たちの待つ寺院廃墟にいったん戻りました。
ラムダ勢の焦り
グレイスフィールド勢とラムダ勢のリーダー同士の会談が終わり、手下と合流したノーマンは会談の結果を聞かれます。
エマが鬼の絶滅に反対していると聞いたラムダ勢の女子が激怒しました。
すると、血圧が上がりすぎたのかその女子が突然発作を起こして苦しみだします。
どうやらラムダ農園で体を改造された後遺症のようです。
他のラムダ勢の発作の間隔も日に日に短くなっており、残された時間は短いということでした。
鬼を絶滅させようがさせなかろうがどうせ近いうちに死ぬというのなら、ラムダ勢の動機は2つで成り立つことでしょう。
1つは復讐、言わずもがなです。
もう1つはいまだに農園で調理される日を待っている同胞を救うため。
あ、自分いいすか?
前言撤回してノーマンの案に反対します。
ラムダ勢には時間がありません。
鬼の絶滅を急ぐ理由はこれでわかりましたが、どうせ成功しても自分はすぐ死ぬのです。
だったら、グレイスフィールドを襲撃して人間の世界にワープして、発達した科学で治療してもらえるワンチャンスを追うべきだと思います。
本部には鬼がうようよしているでしょうから、戦闘力皆無のエマたちでは襲撃の成功率はほとんどありませんが、鬼を瞬殺できるラムダ勢がいれば話はべつです。
ムジカ探しに無駄な時間を使うより、一刻も早くワープ作戦を実行するべきです。
さらに安定を求めるなら、とっとと鬼の絶滅作戦を遂行したうえでグレイスフィールドに行けば、たとえワープポイントが潰されていても、残された食用児たちが平和な世界を手に入れられるのですが、さすがに主人公の意向を無視するわけにはいきません(笑)
ラストでノーマンの過去回想がまたまた流れましたが、とくに情報をすくいあげられなかったので割愛します。
わたしからは以上です!