ロシア版「300」。
(「300」は古代ギリシア、たった300人で10万人のペルシア帝国軍と戦って全滅したスパルタ人部隊をテーマにしたかっこいい戦士映画です)
2018年ロシア映画。
監督はイワン・シャーコベツスキ。
主演はアレクセイ・セレブリャコフ。
剣戟アクション映画なのでネタバレは影響しないでしょう。グロ描写は多少あります。
キャッチコピーの1人vs15万人はだいぶ誇張です。だいたいの時間24人vs1万人くらいです。
・序盤のかんたんなあらすじ
13世紀ロシア。
当時のロシアは諸侯が乱立しており、1つ1つの国は小国で軍事力も低かった。
そんな小国の1つリャザン公国にモンゴル帝国の大軍団が侵攻してきた。
あちらは万を超える軍勢、率いているのは戦争の天才バトゥ・ハーン。
対してこちらの兵士はせいぜい数百人、戦っても勝てないことは誰の目にも明らかだ。
住人たちはパニックになり、一目散に逃げだそうとする。
領主のユーリ大公は息子のフョードルに貢物を持たせて和平の使者として送り出すことに決めた。
その護衛として選ばれたのが、両手大剣を片手で2本同時に振るう最強の戦士コロブラート衛兵長だった。
ところがバトゥとの謁見の場でフョードルとコロブラートは服従を拒否してしまう。
フョードルはその場で殺されたが、コロブラートと数人の部下は命からがら逃げだし、森で身を隠した。
数日後、リャザンの都に帰りついたコロブラートたちが目にしたのは破壊されつくした廃墟だった。
コロブラートたちは生き残りを集め、モンゴル軍の残党を始末した。
家族を殺され家を破壊されても、コロブラートたち戦士の心はくじけていなかった。
諸国に援軍を求める使者を送り、自分たちは援軍が終結するまでの時間稼ぎをするために、世界最強のモンゴル軍に戦いをしかけるのだった。
たった24人の戦士で……。
――いちおうネタバレ注意!――
ロシアのCGなめてた度☆☆☆☆★
途中からありえないくらいデカい熊がでてくるのですが、これがかなりよくできてます。
毛皮の質感や筋肉の躍動感がいいです。モーションも違和感ありません。
いっぽう、中世の街並みのCGはひと昔前のファンタジーゲームみたいな質感で多少違和感がありました。
モンゴル帝国に中途半端な抵抗しちゃダメ度☆☆☆☆☆
もしみなさんが暮らす国がモンゴル軍に包囲されたら、選ぶ道は2つしかありません。
1、徹底抗戦。文字通り国民全員が死ぬまで戦い続ける。勝利か死か。間はありません。
2、速攻ジャンピング土下座。降伏して、服従を誓う。
かつてモンゴル軍が恐れられたのは、少しでも抵抗すれば徹底的な虐殺と略奪が待っていたからです。
もしかしたらワンチャンあるかも?なんて様子見で戦ったら最後、降伏しても無駄。死あるのみです。
世界一美しい都と謳われたホラズム朝シャーの都市サマルカンドは抵抗したせいで更地にされたそうです。腕のいい建設業者です。
ある敵国の指導者は体中の穴に溶かした鉛を流し込まれて死んだそうです。前衛芸術家ですね。
残虐さはピカイチの野蛮軍団ですが、抵抗せずに服従を申し出れば意外にも寛大だったという説があるそうです。
十分の一税を払うだけで、宗教や政体は自由だったとか。
中世で十分の一税はふつうです。重税ではありません。むしろ現代の税金の高さやばすぎません……?
というわけで、劇中でリャザンが滅びたのはユーリ大公とフョードルとコロブラートのせいです。
跪いて服従を誓えば……しかしそれができないのが戦士のサガなんですね~。
「300」でもそうでしたね。
ディス・イズ・スパルタァァァ!!!!!!!!!!!!!!
衣装美術が目新しい度☆☆☆☆☆
西欧とちがって中世ロシアを舞台にした映画を観た記憶がほとんどないので、街並みや民族衣装が新鮮に映りました。
冬のロシアなので当然クッソ寒いに決まっています。なのでみんな厚着です。
とくに女子の衣装はかわいかったと思います。
「300」ほどアクションに振っていませんが、ロシア人対モンゴル人という題材がレアなので新鮮な楽しさがありました。おすすめです!