『ものがたりいちば』

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映画『AWAKE/アウェイク』ネタバレあり、あらすじと感想

2021年アメリカ映画(Netflix
監督:マーク・ラソ
主演:ジーナ・ロドリゲス

この映画はパンデミックものではなく、宗教ものです。

目次です。好きなところから読めます。

 

【序盤のあらすじ】

元衛生兵のジルは警備員として勤める大学から薬を盗んで売人に売りつけて金を得ています。
なんでそんな犯罪に手を染めていたのかは、最後まで不明です(笑)
かつて薬物中毒者だったため親権を停止され、2人の子どもは母のドリスに引き取られています。


夜勤明けのある朝、ジルはドリスの家に行き、子どもたちと面会して車でドライブに出ました。
ところが急に車が故障してしまいます。
しかも他の車も挙動がおかしく、事故になって湖に落ちてしまいました。


ジルはシートベルトが引っかかって動けなかった息子のノアをなんとか助け出しますが、岸では娘のマチルダが心肺停止状態に陥っており、通りすがりの警官に蘇生されていました。


「先に浮上したほうがなぜか溺死している」というミステリーが生まれましたが、きっとマチルダは泳げなかったので警官に引き上げられるまでに素早く水を飲みまくって溺死したんでしょう。


そういうことにしておきます。
このあと起こる恐ろしい異変よりもこの高速溺死のほうが謎です(笑)


さて、すべての車が壊れていただけでなく、なぜか町中が停電していました。
ジル親子はとりあえずドリスの家に戻り、夜を過ごしますが、マチルダ以外眠れません。


翌朝、当面の食料品を買うための現金を得るために、ジルはふたたび薬を盗みに大学へ行きました。
するとそこにかつての上官マーフィー少佐率いる軍が乗りこんできて様々な資料を運び出していきます。


少佐はジルに「1人の女性以外だれも眠れなくなったから、このままだと数日で人類はみな死ぬ」と恐ろしい事態を告げて、去っていきました。

 

【マチルダだけが眠れる】

「マチルダも眠れる」と聞いた研究者がマチルダを研究施設に連れて行くようにジルを説得します。
しかしジルは部下だったときに「マーフィーが冷徹な人体実験を行っていた」ことを知っているため、拒否気味です。
ともかく家に帰ると息子のノアしかいません。
ドリスがマチルダを連れて教会に行ってしまったのです。


教会に行くと、不安に駆られたひとびとが集結して牧師の説教を聞いておりました。
「マチルダが眠れる」と聞いた警官が「神の子だ」と決めつけます。
他にも「生贄に捧げろ!」と言いだす人もいます。


まだたった1日徹夜しただけなのですが、すでに頭がおかしくなっているようです。
最初からかな?(笑)


研究者がマチルダを連れ出そうと説得を始めるのですが「その子は連れて行かせない」と警官に撃ち殺されてしまいます。
やっぱり最初からだな!


わちゃわちゃっとしますがなんとかマチルダを外に連れ出したジルは、車を手に入れるために自動車整備工場に行きます。
すると、整備工がチンピラに殺されていました。
チンピラたちが他の車を略奪するために出て行ったので、車をゲットして2人のもとに戻ります。


夜通し少佐たちのいる施設に車を走らせます。
翌朝、図書館があったので地図を探すのですが、夜勤明けのため他の人より1日長く起きているジルにはすでに思考力や記憶力の低下が表れています。
このあと刑務所から出てきたダッジという囚人と合流し、4人で北を目指しました。

 

【研究所へ】

この頃になると、もはやジルは自分とノアの生存を絶望視しています。
というか、ほぼ全人類が死ぬだろうと思っているので、マチルダに1人で生きていけるようにいろいろなことを教え始めます。
本を読んで知識を得ること、銃の撃ち方、ガソリンをタンクから抜き取る方法、そして車の運転などです。


チルダは10歳の子どもなので、もちろん運転は初めてなのですが、なぜか夜に練習させるというスパルタ教育です(笑)
「せめて昼にやったれよ……」と素人は思いがちですが、覚悟を決めているジルは崩壊後のハードな世界を見越して、娘から甘えを取り除きたいのです。


途中、狂人たちの襲撃を受けたりしましたが、無事、研究所の近くまでたどり着きました。
ダッジと別れたあと、食糧のある民家に子どもたちを残し、ジルは単身研究所へ赴きます。
ノアには「安全かどうか確かめてくる」と言い残しましたが、これは嘘で、真の目的はべつにありました。


研究所では兵士たちが警備を固めていますが、信じられないくらいガバガバ警備なのでかんたんに侵入できます。
兵士たちはなにやら症状を遅らせるっぽい薬を打ったりしてますが、すでに全員ポンコツ化しているので無意味なようです(笑)


研究所に忍びこんだジルは眠れる女性に近づき「みんなが死んだあと私の娘を育てて」と頼みます。
「女性を連れ出しマチルダを託す」これこそがジルの目的だったのです。
ところが、残念ながらその女性は「ほんとなら数か月前に死んでいるはずだった」ほどの重病人でした……。

 

【不眠病の真相】

ジルはマーフィー少佐に見つかってしまい、協力しに来たフリをします。
そのときなぜかダッジの運転する車が研究所にやってくるのですが、ノアとマチルダも乗っています。
たぶんダッジは「ジルがマチルダを研究所に引き渡すつもりがない」ことを見抜いたため、自分で連れてきたものと思われますが、結局ようわかりません。


3人は兵士に捕まり、しかもマチルダが眠れることもバレてしまいました。
さっそくマチルダは家族から引き離され、少佐たちにいろいろと検査されます。
もう1人の眠れる女性が病気で息を引き取ったため、マチルダは近辺最後の希望となりました。
ほんとうなら「人類最後の」と言いたい場面ですが、たぶんもう真相に気づいている地域はたくさんあると思います(笑)


1人の兵士が松ぼっくりを手りゅう弾と見間違えて発砲したことをきっかけに、所内で兵士たちが撃ち合いをおっぱじめてしまいました。
やはりあの薬は意味がなかったようです(笑)


少佐もおかしくなっちまっていて、マチルダを切り刻もうとするので、他の医師がわざと空気を入れて注射して殺害しました。
撃ち合いがつづくなか、ジルはマチルダとノアと合流して脱出しようとしますが、おかしくなったノアが電気ケーブルをメスで刺して感電死してしまいます。


先ほど女性が息を引き取ったときに除細動器で蘇生させようとしていたのを見ていたマチルダが、除細動器を持ってきました。
しかし、意識が朦朧としたジルが使い方を誤ったため、マチルダは吹っ飛ばされて意識を失います。


そして夜が明けました。


ノアが死んだと思ったマチルダは嘆きますが、なんとノアは寝ていただけで蘇生に成功していたのです!
このことをきっかけにマチルダは「1回死ねば眠れるようになる」と気づきました。
物語冒頭でマチルダは高速溺死して心肺停止からの蘇生を経験しているので、眠れたのです。
原理はわかりません(笑)


2人は瀕死のジルを川に連れて行き、洗礼っぽいやり方で溺死させ、蘇生させるのでした……。
おしまい。

 

【まとめ感想】

高速溺死の謎度☆☆☆☆☆
いろいろと気になるポイントはあるんですけど、やっぱりこれ!
なんでたいして水を飲んでないマチルダが高速溺死しとんねん(笑)


溺死させたいなら、「座席に引っかかって浮上できない」のをノアではなくマチルダにすればいいのに、なぜそうしなかったのかが謎です。


まあね~アメリカ映画ということを考慮すると「小さな子どもが溺れて苦しんでいるところ」を製作者が描写したくなかったんでしょう。
あっちの人はそういう描写にうるさいようですから……。
だったらシナリオを変えるべきではないでしょうか(無慈悲な正論)


だいたいマチルダが浮上してから、ジルがノアを救出して浮上し、岸で倒れているマチルダを発見するまでのタイムラグは数十秒からせいぜい1、2分ですよ?
浮上できたのになぜか高速溺死していたマチルダを高速発見した警官が高速水泳で岸に高速で引き上げたようにしか見えません(笑)

 

 

なぜジルが薬を横流ししていたのか謎度☆☆☆☆☆
大学の医局?で少佐と出会わせるための設定でしょうけど、そもそもジルはそこに勤めているので、べつに薬を盗ませなくても出会うルートを作れそうなものです。
あと、少佐がやたらとジルを見込んでいましたが、医者でもない研究者でもない元衛生兵になんでそんなに期待をかけるんですかね……。


「バッテリー駆動式の除細動器がなぜ壊れてなかったのか」とかはどうでもいいです。
たぶんたまたまバッテリーを外していたんでしょう。
でもなぜ横流しをしていたのかはどうでもよくありません!
母ドリスの薬代のためですかね?
まあ、高速溺死の謎よりはだいぶどうでもいいんですけど。


さて、ここまでのしょうもないツッコミは忘れてください。
こっからが本番です。

 

 

少佐の正体にびっくり度☆☆☆☆☆
あのですね~根本的な問題として少佐が「眠れる人」を研究対象にするのは変だと思うんです。
だってあの女性もマチルダも見かけ上は「ただ今までどおり眠れていた」だけなんですから。


1度眠れなくなったのに、なぜか再び眠れるようになった(つまり治った)のを知っていたのならわかるんですけど。


というかむしろ、知らなかったなら「眠れなくなった大勢の病人に原因がある」と考えて、病人から調べるのがふつうだと思います。
サンプルもいっぱいいるから検査とかやりたい放題ですし。
コロナの治療法を研究したいのに、コロナにかかっていない人を調べてもしょうがないじゃないですか。


ただ、実際には「マチルダも眠れなくなる病気に1度かかっていた」ので、結果的に少佐の着目点は正しかったわけです。
すごすぎです。
天才です。


「大勢が不眠を発症したことが判明した日」にもうピンポイントで見抜いたわけですからね。


もし、少佐が「女性が1度死んで蘇生された経験を持つ」ということを知っていたなら理解できます。
しかしその場合「治った原因っぽいものをスルーしていた」ことになるので、変です。


それに、知っていたのなら、チンパンジーを開頭して遊んでないで、とっとと蘇生実験して真相にたどり着いていたはずですから。
「女性が心停止したことがある」と知らないのも変ですし、「知っていたならそっちの路線を詰めなかった」のも変です。


どの角度から考えても少佐の挙動は変です。
だって、初日に正解にたどり着いた天才科学者ですよ?


はっ……もしや……少佐は最初から治し方を知っていたのに、わざと黙っていた……!?
ヒントを持つ女性を手元に拉致監禁して他の科学者から遠ざけていた……!?
だとしたらなぜ!?


さあ最後に新たな謎が生まれてしまいました。
この謎の答えは、「病気が科学的な原因じゃなくて、宗教的な原因によるものだから」です。


だって「溺死したあと警官の心肺蘇生法で蘇ったマチルダ」と、「感電死したあと除細動器で蘇ったノア」が同じように病気が治るのはおかしいじゃないですか。
しかもマチルダと重病人の女性は状況がだいぶ異なります。


チルダは異変直後に死亡+蘇生を経験したので「治った」と言えますが、重病人の女性は「ほんとうなら何か月も前に死んでいたはず」と自己申告していましたので、心肺停止に陥って蘇生されたのは「みんなが眠れなくなってしまった異変のだいぶ前」のことになります。


つまり、病気になって治ったわけじゃなくて、そもそも病気にならなかったのです。
その理由は「死亡+蘇生」を経験したことがあったから……。
てことは科学的な理由じゃないんですよ。
「死から復活した」という宗教的な理由で病気――いや、呪いをはねのけたんです。


序盤に教会で宗教問答があったり、中盤には裸で祈る謎集団がいたり、最後のジルが洗礼っぽく沈んでいったりとあからさまに宗教っぽい匂わせがいくつもありました。
ようするにパンデミックじゃなくて最後の審判だったのです。
宗教的理由で起こったことだから科学的な理由がないんですよ。


そして、「最初から治し方を知っていたのになにもしなかった」少佐は、神と敵対するディーモン(悪魔)だったんです!!!


神の国・天国に連れて行かれる人間の数を減らして神にダメージを与えようとしていたわけです。
だからこそ、少佐は「初日に正解の女性をピンポイントで見つけたにもかかわらず、それでいて有効な手を打たない」という不可解な行動で時間を浪費したのでした。


おそらく少佐だけじゃなくて、世界中あらゆるところで悪魔による妨害活動が行われていたことでしょう。
というわけで、「神と悪魔の戦いなので、科学的な根拠がなかった」という内容でした。


書いている途中で「最後の審判説」を思いついたため話の路線がガラッと変わってしまいましたが、上のほうは直しませんでした。
キリスト教的なメッセージをちりばめられていても無教養な私にはわからないからであって、けしてめんどくさいからではありません!
ほ、ほんとです!


もう1回観れば「最後の審判説」の裏付けになるものを発見できるかもしれませんけど、めんどくさいのでやりません(笑)

以上です。