「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」の感想
特撮ファンのあいだでは超有名作らしいっすよ。
1966年日米合作映画。ジャンルは怪獣特撮。
監督は「ゴジラ」(1954年)などの本多猪四郎。
主演は佐原健二。
・序盤のかんたんなあらすじ
夜、沿岸を航行する漁船が巨大な怪物に襲われ沈没した。
唯一生き残った船員は、仲間がフランケンシュタインみたいな怪物に食われたと供述を繰り返し、海上保安庁の職員を困惑させた。
対応に困った海上保安庁はフランケンシュタインの専門家であるスチュアート博士に連絡を取るのだが、博士は「フランケンシュタインは死んだ」と断言した。
しかし、その後も巨大な怪物による被害は続き、ついに白昼羽田空港が襲撃を受けてしまった。
スチュワート博士は本格的に調査に乗り出し、いっぽう政府は自衛隊に駆除を命令するのであった。
―――ネタバレ注意!――
博士適当すぎ度☆☆☆☆☆
序盤でスチュアート博士は「フランケンシュタインは富士山で死んだ」と断言していたのに、当然生きています。
死亡を確認したんじゃないんですか!?
死体を回収しなかったんですか!?
あなたそれでも科学者ですか!?
本作に登場する2体のフランケンシュタインのうちガイラ(悪い怪獣)はサンダ(いい怪獣)の細胞が海に流れ込んで生まれた怪獣です。
つまり2体を駆除して完全に細胞を焼却してしまわないといくらでも危険な怪獣が増殖してしまうというのに、博士一派はサンダの殺害に反対するのです。
あんなのが何万体も出てきたら人類滅亡してまうで……。
なんか進撃の巨人の作者がこの映画好きみたいですね。
説明なさすぎて潔い度☆☆☆☆☆
先述したように「ガイラはサンダの細胞から生まれた」という説明だけは劇中でされているのですが、そもそもフランケンシュタインという怪獣がなぜ存在しているのか、という説明は一切されません。
当然の権利のようにフランケンシュタインという生物が一般常識化しているのです。
本作にはメーサー殺獣光線車という東宝特撮映画おなじみの超兵器が初登場しているのですが、それがなんなのかの説明もぜんぜんしません。説明したくなっちゃうと思うんですけど恐れ入ったぜ……。
サンダとガイラの激しい戦いは、終盤海に移動して行われるのですが、いきなり隆起してきた海底火山に2体が飲み込まれて急に終わります。
海底火山が急に出てきた説明も一切なし!
海で暴れている2体に爆弾ぶちこみまくって体細胞がじゃんじゃん飛び散りまくってるので、映画の後日に無限増殖が始まって人類は滅亡することでしょう。
なんで自衛隊がそんなやべえことしてるのかも説明なし!
まあ怪獣が暴れてるのを観たいだけなので、説明なんてどうでもいいといえばどうでもいいんですけど。
作ってる側としてもそうだったんでしょう。
あまりに潔すぎてむしろ感銘を受けました。
サンダを見ていると泣きそうになる度☆☆☆☆☆
サンダはスチュアート博士たちに幼獣のころから育てられ教育されたせいか、人間を殺しません。むしろ守ろうとします。
しかしそのクローンであるガイラは自然に生まれて飢えと怒りしか知らない獣ですので、人間をエサとしか思ってません。
人間を食おうとするガイラとそれを止めようとするサンダ。
これが戦いの原因なのですが、人間側はガイラを止めようとしているサンダにもガンガン爆弾やメーサー光線をぶち込んでいきます……かなしい……。
べつにガイラも悪じゃないんですよね。
ゴジラみたいに気まぐれに街にやってきては建物ぶっ壊しまくって、食いもしないのに人間殺しまくって飽きたら海に帰っていく怪獣とちがって、ガイラにとって人間は食糧ですから。
サンダもガイラもしゃべらないのに、なにを思っているか伝わってくるのがすごいと思いました!
有名な「怪物フランケンシュタイン」ですけど、というかフランケンシュタインという名前だと勘違いされがちな怪物ですけど、あれはもともとフランケンシュタインという名前の博士が造った怪物らしいです。
つまり正式には「フランケンシュタイン博士の怪物」です。
豆知識です!
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他の昔の怪獣映画とちがって着ぐるみが軽いのか、バトルが俊敏で新鮮でした。