『ものがたりいちば』

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Netflix映画『アーミー・オブ・ザ・デッド』ネタバレあり、あらすじと感想

2021年アメリカ映画
監督:ザック・スナイダー
主演:デイブ・バウティスタ
走るゾンビを流行らせやがった張本人が17年ぶりに撮ったゾンビ映画の感想です!(走るゾンビアンチ勢です)

 目次です。好きなところから読めます。

 

【序盤のあらすじ】


米国ネバダ州空軍基地、通称エリア51から極秘貨物が輸送されていますが、浮かれた新婚夫婦の車と衝突してしまいます。
運転中の性行為は危険なので絶対ダメ!!!


衝撃でコンテナが開いてしまい、中から当然の権利のようにゾンビが出てきます。
飛んで走るゾンビ、通称『強ゾンビ』です。
強ゾンビは輸送隊の兵士を全滅させて、大都市ラスベガスを襲いました。


オープニングクレジットのあいだに映画1本分くらいありそうなストーリーが展開されます。
さすがザック、詰め込みが半端じゃありません。
感染爆発によってラスベガスは壊滅し、軍に封鎖されました。


それからしばらく経って、ラスベガスの生き残りで元軍人のスコットのもとにタナカという富豪が訪れます。
タナカは「自分の所有するカジノの地下に残された2億ドルを回収してきてほしい」とスコットに依頼します。
5000万ドルという巨額の報酬につられたスコットは、さっそく回収チームを編成しました。


ところで、タナカのバックには国防総省の幹部がついているので、「本当の目的は2億ドルじゃない感」がぷんぷん匂っています。


回収チームのメンバーは鍵師のディータ、ヘリ操縦士のピーターズ、スコットの元恋人のマリア、タナカの部下のマーティン、屈強な軍人ヴァンデルローエ、それから現地協力者として市内に詳しいコヨーテ、そしてスコットの娘ケイトです。


他にも何人かいますが、どうせすぐ死ぬので覚えなくてだいじょうぶです(笑)


作戦概要は「徒歩で封鎖地区内のカジノから金を持ちだし、動くかどうかもわからない屋上のヘリで脱出する」ことです。
なお、ラスベガスは2日後に核ミサイルで焼却処分されることが決定しています。
ケイトとコヨーテの手引きで封鎖地域に侵入したチームはゾンビ虎と遭遇しました。


つぎに遭遇したのは強ゾンビ(アルファゾンビ)の女王です。
なんとアルファゾンビは高い知能を有し、群れを作る社会性もあります。
人間を捕食するのではなく、さらってアルファゾンビに変えて仲間を増やしているのです。
さらに群れを束ねる王まで存在しています(!?)


「これもうゾンビじゃねぇな感」がすごいですが、ゾンビ映画です。
どちらかというと『アイ・アム・レジェンド』の新人類っぽいですが、ゾンビ映画です。


チームは王のテリトリーを侵害しないように、建物内を移動することにしました。
大量のゾンビが冬眠しています。
「眠るってこれもうゾンビじゃねぇな感」がすごいですが、ゾンビ映画です。
一行はゾンビを撃ち殺しながら目的地のカジノに到着しました。

 

 

【手間取る金庫破りとタナカの真の目的】


ディータは鍵開け、ピーターズはヘリの修理に向かい、他のみなさんは思い思い時間を潰します。
電気を復旧させたので、テレビのニュースで「核攻撃が早まった」と知りました。
イムリミットは1時間とすこし……いきなり大ピンチです。


ここでマーティンとコヨーテがアルファゾンビの女王を捕らえて、クビチョンパしました。
タナカの真の目的は「アルファゾンビの血液サンプルの入手」だったのです。


ろくでもない連中(国防総省)がゾンビアーミーを量産しようとしているようです。
なぜ自分のとこの優秀な特殊部隊にやらせずに、寄せ集めの素人集団にやらせるのかは最後まで不明です。


女王のクビが切られたことを知った王は激怒します。
ちなみに王は威圧感と威厳を出すためにゾンビ馬に乗ってます。
「これもう絶対ゾンビじゃねぇな感」がマックスになりますが、ゾンビ映画です。
ホワイトウォーカー(ゲームオブスローンズのゾンビ)ではありません、ゾンビです。


しかも遺体を解剖すると、なんと、女王はご懐妊されていました。
妊娠するゾンビはさすがに新しいwww
未来の王子を奪われたことを知った民衆は猛り狂って、王の号令のもとカジノへ突撃を敢行します。


ようやく金庫を破って大金をせしめたチームですが、大群に襲われたため屋上に向かえません。
いっぽう、チームを見捨てて1人で逃げようとしたマーティンはゾンビ虎にボコボコにされて死にました。
チームも1人また1人と倒れ、屋上にたどり着けたのはスコットとコヨーテだけです。
しかも王に追いつかれてしまいました。


コヨーテが女王のクビを囮にして、スコットを逃がします。
一攫千金を求めてきたゴロツキどもなのに、やたらと自己犠牲したがります。

 

 

【勝手に動くケイト】


ケイトは早々にチームから離脱して友人のギータを助けるために様子を窺っていましたが、「アルファの群れが巣くうオリンポスホテルが、総出撃してがら空きになった」ので潜入しました。


無事ギータを発見しましたが、スコットを取り逃した王がご帰還あそばされ、ピンチに陥ります。
弾も切れてもうダメだ、というところでスコットが助けに来て、3人でヘリに向かいました。
しかし、愛する王妃と未来の我が子を殺されて怒り狂っている王が追ってきています。


余談ですが、ウィキペディアによると王はゼウスという名のようです。
ホテルオリンポスに住んでいるからですかね。


話を戻します。
王がヘリに飛び乗ってきて、スコットと格闘になります。
スコットが銃をてきとうに撃ったため、ピーターズに流れ弾が当たってヘリが不安定になってしまいました。


ケイトとスコットのコンビプレイでなんとか王を倒せましたが、スコットは王に噛まれてしまったのです……。


負傷しながらもピーターズが超人的な操縦能力を発揮し、封鎖地区から脱出するのですが、核ミサイルとすれちがいます。
直後、核爆発が起こるのですが、このヘリは時速2000キロくらいでる超高速ヘリなのでなんとか爆発には巻き込まれずに済みました。


アメリカ人がいちばん核兵器の威力を舐めてる説」がたびたび噴出する、アメリカ映画定番の核爆発描写です。


爆発の直撃は免れたものの、衝撃波をくらってヘリは墜落してしまい、ピーターズとギータはお亡くなりになりました。
生き残ったのは親子だけです。
スコットがすぐにアルファになったので、ケイトは泣く泣く撃ち殺しました。


2時間20分以上ある長い映画なのに文章にしたら短くて笑えます(笑)

 

 

【もう1人の生き残り】


核爆発で焼却洗浄されたラスベガスですが、もう1人生き残りがいました。
金庫室に隠れていたおかげで助かったヴァンデルローエです。
助かったように見えますが、間近で放射線被ばくしているので、もって数週間の命でしょう。


ヴァンデルローエは大量の金を持って飛行場に行き、プラベートジェットをチャーターしてメキシコシティへ飛びました。
しかし、じつはヴァンデルローエはゾンビに噛まれていました。
数週間どころか数十分の命だったのです。
こうしてゾンビがアメリカ国外にも広がってしまうのでした……。
おしまい。

 

 

【まとめ感想】


さすがに長いよ度☆☆☆☆☆
どうせすぐ死ぬ連中のキャラクター性の掘り下げに何十分つかっとるねん(笑)
序盤、恐ろしいスピードでゾンビパンデミックの初期を鮮やかに描き切ったのに、なんでこんなに長くなるんですか!?


同じザック・スナイダー監督の『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』も2時間30分を超える長さでした。
あの映画もアクション描写はめちゃくちゃかっこよかったですが、ストーリーが複雑なうえに納得性が低かったです。
納得性の低いストーリー描写に時間をかけたせいで上映時間が長くなり、極上のアクションパートがくるまでがまんを強いられました。


長さに対する納得性の低さが似てます。
ザックさん、あなた昔はすっきりとまとまった映画撮ってましたよね?


初期作品群の『ドーン・オブ・ザ・デッド』も『300』も「ストーリーなんてどうでもいいんじゃい!映画は絵がかっこよければそれでええんじゃい!」という割り切った姿勢が好きでした。


スナイダー監督が諸事情で途中降板してしまったせいで個人的に期待外れに終わった『ジャスティス・リーグ』のスナイダー・カットがいよいよ日本でも配信開始されるようですが、4時間らしいですね(笑)


長い長いと文句を言いましたが、前の『ジャスティス・リーグ』は薄味すぎ、短すぎで拍子抜けしたので大歓迎です!
オラすっげえ楽しみだぞ!


好きな映画監督ですし、10年後には上映時間10時間くらいになっていそうでわくわくします。
回転効率を求められる劇場公開前提じゃなければ、「上映時間を2時間縛りにして映画を作る理由はない」と、そういう時代になってきたのかなと思っています。
ただ、今作の長さは「ただなげぇだけ……」って感じです。

 

 

もう絶対ゾンビじゃない度☆☆☆☆☆
生殖能力があるゾンビはさすがに受け入れがたいです!
ゾンビがセックスしてるの想像しただけで笑えます。
コメディゾンビものだとゾンビの性描写ギャグはけっこうありますが、シリアスゾンビものではちょっと記憶にないです。


ていうか「馬に乗る」までやられると、さすがにホワイトウォーカーにしか見えないです……。


ザック・スナイダーの『ドーン・オブ・ザ・デッド』、ダニー・ボイルの『28日後…』、この2作品がそれ以後のゾンビを走らせるようになった戦犯だと思っているのですが、困ったことにどっちもおもしろいという……。
ひょっとして、ゾンビって走ってもいいの……?

 

 

ふつうに頼めばよかったんじゃね?度☆☆☆☆☆
国防総省の幹部が「アルファゾンビの回収」のために、なぜ自前の特殊部隊を送らなかったのかよくわかりませんが、それができない事情があったのかもしれません。
たとえば、「危険な封鎖地区に兵士を送りこんだことが後でバレる」と議会でぶっ叩かれるからかもしれません。


しかも目的が「ゾンビを軍事に転用する」とかいう大失敗するに決まっているアホな計画ですから。


というか、「ゾンビを世に放ったのが軍であることがすでにバレてしまい、さんざんぶっ叩かれた」ので、あまり表立った活動にしたくなかったのかもしれません。
そこでタナカを通じて退役軍人のスコットたちに依頼を出したと仮定します。


富豪のタナカはなにか弱みを握られて国防総省に脅されていたのでしょう。
じゃないと、こんな陰謀の片棒を担ぐ理由がありませんから。


それでも、ふつうに「報酬やるからアルファゾンビとっ捕まえてこい」と依頼すればよかったんじゃないでしょうか。
事情を把握しているのがマーティンとコヨーテの2人しかいなかったので、その2人が事故って死んだら絶対に計画が失敗するわけです。


スコットたちに事情を話し、チームで目的意識を共有すれば、成功確率は上がったはずです。
国防総省がバックについてるんだから、高額の報酬くらい用意できるでしょう。
このストーリー展開は、納得性の低いサプライズだったと思います。


え?
「ゾンビアーミーを作ること自体が極秘計画だったから、あまり多くの人数に真相を知らせたくなかったんじゃないか?」って?
そんなもん、アルファをとっ捕まえさせたあと、スコットたちを口封じすりゃいいだけです。
いつもアメリカ映画がやってるやつです。


マーティンとかいうマヌケ野郎1人に国防総省の計画の可否を託すよりはぜんぜんマシです。
こんな感じで、ストーリーにはあまり納得できませんでしたが、まあ、しょせんゾンビ映画ですしね……。

 

 

文句多めに見えてしまうでしょうけど、大作ゾンビ映画を作ってくれることにはゾンビファンとしてありがたいと思っています。
一応ゾンビが走ったらかならず文句を言うようにはしてますけど、いつも楽しませていただいて感謝してます。
以上です。