『ものがたりいちば』

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映画「イップ・マン 序章」ネタバレあらすじ感想 凡人には理解できぬイップの流儀!

2008年香港・中国映画
監督:ウィルソン・イップ
主演:ドニー・イェン

大ヒットシリーズみたいですが、今まで知りませんでした!

 目次です。好きなところから読めます。

 

序盤のあらすじ


1935年、中国佛山。
佛山は多くの武館が建ち並ぶ武術の街として栄えていました。


そんななか武館も持たず弟子も取らないのに、街一番の達人として知られている葉問(イップ・マン)のもとに武名を上げたいリュウという師匠がやってきて試合を申しこみます。
イップは家族と食事中だったため、ただ待たせるのもなんだと思って食事に誘うと、リュウはがっつりデザートまで食べました(笑)


食後、イップは家人を下がらせてドアを閉めて目撃者のいない密室にしたあと、ボコボコにします。
ボコボコにはしますが、相手が傷つかないように強い打撃は寸止めにしています。
見方によっては舐めプレイにも映ります(笑)


試合後、2人はこのことは秘密にしようと約束をして別れました。
武館を開いたばかりのリュウの名誉を配慮しての行動でしたが、悪いことに凧を取るために木に登っていたユンという若者が窓からその試合を見ていました。
ユンくん凧で遊ぶような年齢には見えないんですけど(笑)


さっそくユンはこの一戦のことを街で話しまくります。
それを聞きつけたリュウが血相を変えてユンに詰め寄りますが、近くにいたイップが止めに入ります。
イップは親友のチンチュンが綿花工場を作るというので、それに出資する打ち合わせをしていたのです。


騒ぎを聞きつけた警察署長のリーがやってきて、武術なんて時代遅れだ、と銃をちらつかせました。
するとイップは華麗な手さばきで銃をつかみ、撃てないようにしてしまうのでした。


ある日、佛山にカムという流れ者の武術家が現れ、つぎつぎに武館の師匠たちを打ち破っていきます。
「佛山もたいしたことねぇな、ガハハ!」
と天狗になるカムに街の住人が「あんたはまだ本物を倒してない」とイップの存在を告げるのでした。


流れ者に負けたとなれば武術の街の名折れです。
住人たちがカムとともにイップの家に押しかけました。
また騒ぎを聞きつけたリー署長がやってきましたが、今度はイップに「街の名誉を守ってくれ」と戦うように頼みました。


イップはカムと試合をしますが、もう始めからボコボコにします。
致命的な打撃が入らないように寸止めするという舐めプレイをしているので、試合というよりむしろ稽古です。


実力差に気づいたカムは真剣を持ちだして切りつけますが、イップは掃除用のはたきで斬撃をしのぎ、勝利しました。
今回も最後まで舐めプレイでした(笑)


武術の街佛山の名誉を守ったヒーローとして住人たちはイップを称賛して弟子になりたがりますが、やはりイップは弟子を取るつもりも武館を開くつもりもないと固辞しました。

 

 

――ネタバレ注意!――

 

 

 

日本軍佛山に来る


1938年、前年に日中戦争が勃発して、佛山も日本軍に占領されてしまいます。
人口は30万人から7万人に激減、経済が悪化して民衆は飢えています。
イップの一家も邸宅を日本軍の司令部として接収されたため、食うや食わずの極貧生活を送っています。


戦前から頑なに弟子を取らず、仕事もせずに稽古ばかりしていたので、収入がないからです。
きっとチンチュンの工場に出資していたように、親の遺産を投資して暮らしていたのでしょう。
働いて稼ぐ、と告げると奥さんは「あなたが働くの!?」と驚きました(笑)
やっぱり武術ニートだったwww


親友の窮状を見かねたチンチュンが工場の共同経営者にならないかと誘ってくれるのですが、イップは謎のプライドを発揮してこの誘いを断ります。


あの~奥さん栄養失調で病気なんですけど~。
だが、これがイップの流儀――達人のプライド!
たとえ友であっても施しは受けぬ!


石炭工場に働きに出たイップは懐かしい顔と再会します。
かつてイップの強さを街に宣伝して回ったユンの兄ラムです。
ラムは戦前から弟子になりたくてしょっちゅうイップの家を訪れていました。
旧交を温めあう2人でしたが、そこに日本軍の車両がやってきます。


車から降りてきたのは佐藤という大佐とそして――今は通訳として日本軍で働くリー元署長でした。
なんでも日本軍の将軍がたいへんな武術マニアで、佛山の武術家と試合をしたいのだそうです。
労働者にはイップをはじめとする武術家が何人もいましたが「めんどくせー」「動いたら腹が減るじゃねーか」とだれも名乗りをあげません。


ところが佐藤大佐が「勝った者には米を1袋やる」と言うとみんなが名乗りを上げました(笑)
日本軍に搾取されているせいで飢えてるんすね~(他人事)
イップは手を上げませんでしたが、ラムは日本軍の空手道場に行きました。


空手道場はなぜか入り口が鍵付きの鉄格子です(笑)
コロシアムかな?
明らかに勝っても生きて出られなそうなオーラがぷんぷんしていますが、そうでもありませんでした。


日本兵に圧勝して米袋を受け取り、意気揚々と出ていくのは懐かしのリュウ師匠です。
最強イップには負けましたが、そのへんの軟弱な日本兵には負けません!


リュウ師匠は去り際に弟子のラムに「ぶちかませ!」とエールを送りました。
まあラムはイップが弟子にしてくれなかったからしぶしぶリュウ師匠に弟子になったんですけどね(笑)


この空手道場の主催者である三浦将軍が登場して「3人同時に来い!日本の空手を見せてやる!」と強者の覇気を見せつけます。
ラムは3人の中の1人として三浦将軍と戦うことになりました。
三浦は言うだけのことはあって、あっという間に2人をぶちのめしてしまいます。


しかし、リュウ師匠に直接応援の言葉をいただいたラムは降参できません。
必死に食い下がり、口の中の血を吹きかけるという挑発行為に及んだため、三浦の強烈な蹴りを食らって心臓が停止、お亡くなりになってしまいました……。

 

 

怒りのイップ


イップは翌日も石炭工場で働くのですが、ラムの姿がないことを不思議がります。
また佐藤とリー通訳がやってきて、暗黒武術会空手道場に行く武術家を募りました。
ラムの所在を聞いてもリーがすっとぼけたので、イップは空手道場に乗りこむことを決心します。


道場にはまーたリュウ師匠がいました。
リュウ師匠は日本兵空手家を1人叩きのめして米袋をゲットするのですが、それでは満足できなかったようで「3人同時にこい!」などと三浦みたいなことを言いだしました。
すっかり味をしめてるぞこいつwww


真似されてムカついているはずの三浦は「勝っても負けても米をやる」と寛大さを見せます。
そんでリュウ師匠は3人にボコボコにされて降参しました(笑)


最初にゲットした米袋を持ってすごすごと退散しようとするのですが、そのとき1発の銃弾がリュウ師匠の頭をぶち抜いてしまいました。
やったのは佐藤大佐でした。
この佐藤、ただのサディストです。
おのれ日本軍め卑劣な!!!


佐藤はリュウ師匠が負けたのに米を持って帰ろうとしたから撃ち殺したと自己弁護しました。
いやいやおめーの上官が負けても米くれるって言ったじゃねーかよ!
これだから日本軍は邪悪でいやだわ~。


意外にもスポーツマンシップに溢れる三浦は神聖な道場で銃を使ったことで佐藤を叱責しました。
その光景を見ていたイップは「ラムもここで死んだんだな?」とリー通訳に尋ねます。
目の前でかつてのライバル(?)リュウ師匠を撃ち殺され、そして今ラムの死を知ったイップは日本人への憎しみに燃えました。


道場に入ると「10人まとめてかかってこい!」と桁外れの強者の覇気を見せつけてやります。
中国人ごときが調子に乗っていることに腹を立てたサディスト佐藤は、日本兵空手家のなかから精鋭の10人を選びだし、イップにぶつけました。


1対10の無謀な試合は、始まるとすぐに凄惨な光景が繰り広げられます。
イップは日本兵どもの骨をベッキベキ折りまくり、強烈な打撃を容赦なく急所にぶちこんでいきます。
おらー死ねー邪悪な日本人どもが!!!


そこにはかつて対戦相手を傷つけぬように舐めプレイをしていたいたわっていた優しき武術家イップの姿はありません。
友を殺された憎しみに取りつかれた復讐の鬼がいたのです。
あっという間にピクピク蠢く10個の肉の塊が道場に転がっていました。


三浦は何個もの米袋を与えましたが、イップは「米のためにやったんじゃない」と受け取りを拒否します。
あの~家ではひもじい思いをしている妻子が待ってるんですけど~。
だが、これがイップの流儀――中国人のプライド!
敵からの施しは受けぬ!


イップはリュウ師匠の正当な戦利品である血染めの米袋を拾い上げ、それをリュウ師匠の家族に届けました。
せめてきれいな米袋を持ってったれよwww
だが、これがイップの流儀――これはフォローできん!

 

 

野盗と化したカム


チンチュンの綿花工場から綿花を運搬するトラックが野党の群れに襲われます。
率いているのはかつてイップに敗れ、佛山で武館を開くという夢に破れたカムです。
野盗には懐かしのユンの姿もあります。


カムたちはその勢いで工場にやってくるとチンチュンに暴行をくわえ「綿花を返してほしければ金を出せ」と脅して去りました。
チンチュンはイップに工員の安全のために武術を教えてやってくれと懇願します。


これまで弟子の申し出をすべて断っていたイップも今回ばかりはさすがに引き受けました。
弟子が一気に何十人もできました(笑)


弟子を取らずにひたすら自己の功夫クンフー)に精進するというイップの流儀はどこにいったのかという疑問もありましょうが、たぶん空手道場でやりすぎたせいで石炭工場の職を失ったんだと思います(笑)


あと自分もろくに稽古してないし(笑)
信念を曲げる――それもイップの流儀


工員たちは仕事の合間にイップの指導を受けることになりました。
工場専属の武術指南役に就任したイップが石炭工場にこなくなったので、三浦閣下がご立腹です。


道場に連れてこいと命じられたリー通訳は佐藤大佐とともにイップの家を訪れました。
するとサディスト佐藤がイップの美人奥さんを見てエロ気づいたので、イップが即ぶちのめしました(笑)


日本軍の大佐をぶちのめしたら殺されるに決まっているのでリー通訳はイップたちを自宅に匿いましたが、イップを逃がしたことでサディスト佐藤にめちゃくちゃに殴られました。
血だらけになってもイップのことをしゃべらなかったし、やはりリーの魂は立派な中国人です!


修練を積んだ工員たちの前に、ふたたびカム一党が現れました。
リーの指導で自信をつけた工員たちは怯まずに詠春拳の構えを見せます。
詠春拳は女性が創始者だそうなので、女性や老人にも向いている武術かもしれません。


とはいえ敵はかつて武術の街佛山の師匠たちを連破した強者ですので、はたして付け焼刃で通用するのでしょうか?


ダメでした(笑)


中国武術にとって功夫を積み上げることは根本中の根本、たとえフィクションであっても素人がいきなり強くなってはならないのです。
結局、駆けつけたイップが敵のザコを蹴散らし、カムと一騎打ちになりますが、さくっとボコって追い返しました。
勝利にわく工員たちはイップをヒーローとして称えるのでした。

 

 

仁義をかけた最終試合


日本軍にイップが工場にいるとバレてしまいました。
負けた腹いせにカムがチクったのです。
あの野郎……同胞を売るなんて中国人の風上にもおけねえ卑劣漢め!!!


工員たち――いや、弟子たちを人質に取られたイップは妻子をチンチュンに託して、日本軍に出頭しました。
サディスト佐藤は即座に射殺するべきだと主張するのですが、イップの腕前に惚れこんだ三浦は渋ります。


もしイップが日本軍で武術教官をやるのなら命を助けると提案しますが、イップは「教えない。だが戦って見せてやることはできる」と挑発的に返答しました。
イップを殺されたくないリー通訳は「前向きに善処すると言っています」と胃が痛そうな嘘通訳をします(笑)


佐藤は「もし負けたら日本のメンツが潰れる」と試合に反対しますが、空手家として強者に挑みたい気持ちを抑えきれない三浦は試合をやることにしました。
イップと三浦の試合は佛山の街の広場で観客を入れて大々的に行われることになりました。


あー三浦閣下わかってない!
それじゃ武術家じゃなくてスポーツマンだよ!


かつてイップが実力のわからないリュウ師匠とやったときのように、本物の達人は負けたときのために目撃者のいない密室でやるんですよ!
公開の場で自分に勝った相手を殺したらそれこそ日本軍の名誉が丸つぶれになるから、イップの思うつぼです。


試合前イップは中国武術の神髄は儒教の『仁』にあり、それを理解できない邪悪な日本人に負けることはないと確信しています。
おっしゃるとおり、三浦はボコボコにされます(笑)


イップはもはや舐めプレイもなしで、徹底的に痛めつけていきます。
考えてみれば三浦は師匠クラスの武術家とやってないんですね。
もしリュウ師匠と戦っていれば、負けていたかもしれません――それはないか!


三浦に完勝し、中国武術の威信を守ったイップを詰めかけた中国人民がヒーローとしてほめたたえます。
ところが、1発の凶弾がイップを撃ち抜いたのです。
ま~たサディスト佐藤の仕業です。


だから負けたあとに殺しても意味がないんだってば!
負けたあとには勝者を称え厚く遇する、これ以外に体面を保つ手段はないんですってば!
三浦がみょうに人間味のあるキャラクターとして描かれてしまっているので、日本人の邪悪性が佐藤にすべて押し付けられてますね(笑)


佐藤はリーに撃たれてさらっと死にました


傷つき倒れるイップを、駆けつけたチンチュンと奥さんが助けて佛山を逃げだしました。
幸い命に別状はなく、その後香港に渡ったイップは詠春拳を広め、なんとあのブルース・リーにも伝授したそうです。


実在の人物がモデルだったんですねー。
でもタイトルに『序章』とついているので、続編やる気まんまんだったなら『その後』の話をナレーションでネタバレするのはやめてほしかったです(笑)
以上でネタバレあらすじは終わりです!

 

 

まとめ感想

 

抗日感足りない度☆☆☆☆☆


三浦はスポーツマンシップのあるフェアな人物だし、他の日本兵は空気だし、サディスト佐藤くらいしか悪い日本人がでてきませんでした。
佐藤にしてもすぐ殴ったり銃を撃ったりするだけで、悪事の種類が少なすぎます。


せっかく中国人になったつもりで観ていたので、イップが極悪日本人をこらしめるときにもっと喜びたかったです。
佛山占領やイップ一家が家を接収されるのをナレーションでさらっと済ませずに極悪日本兵の蛮行を見せてくれれば「おらー日本兵死ねー!」という気分にもなれたと思います。


なんか日本人の悪事の描写が遠慮がちでした。
もっとえぐい極悪日本兵を見たいんですけど、そういうのはこっちに入ってこれないのかな?(笑)

 

 

ライバル不足度☆☆☆☆☆


イップ強すぎ(笑)
他の師匠たち弱すぎ(笑)

 

 

奥さん都合よすぎ度☆☆☆☆☆


武術ばかりでかまってくれなくても、極貧生活に陥っても変わらぬ愛!
でもイップがプライドのために綿花工場の共同経営者の座を捨てたと病床で知ったらどうだったでしょうか?(笑)
きっとそれでも変わらずに愛し抜きそうです。
都合のいい女だぜ(笑)

 

続編ではどんなイップの流儀がみられるか楽しみです!!!

シリーズの他の作品の感想もあるので、よろしければどうぞ!

 

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