『ものがたりいちば』

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映画『透明人間』ネタバレあり、あらすじ感想

2020年アメリカ・オーストラリア映画
監督:リー・ワネル
主演:エリザベス・モス

ジャンルがギャグなのかホラーなのか、判定できない映画の感想です。

 目次です。好きなところから読めます。

 

 

【序盤のあらすじ】


真夜中、セシリアという女性が家からこっそり逃げだそうとしています。
室内に監視カメラが10台もある、ものすごい豪邸です。
「屋外」ではなく「室内」ですから、防犯目的ではありません。
飼い犬にも電気首輪がつけられていて、家主の支配的な性格がわかります。


セシリアはどうやらこの支配的な夫エイドリアンから逃れたいようです。
車の防犯アラームを鳴らしてしまうというヘマをしてエイドリアンに追いつかれそうになったものの、迎えに来た妹のエミリーの車で逃げることができました。


それから2週間後。
妹の家はエイドリアンに知られているので、セシリアは友人の警官ジェームズの家にお世話になっています。
エイドリアンに見つかることを恐れて家から出ることもできません。
ところがある日、エミリーが訪ねてきて「エイドリアンが死んだ」と告げました。


ニュースサイトの記事によると「光学分野の先駆者、自殺」とのことです。
これでセシリアはエイドリアンの呪縛から解き放たれたのです!
しかも豪邸と500万ドルの遺産のおまけつきです。


さっそくセシリアは景気づけに、ジェームズの娘シドニーに名門大学に通うための資金援助を申し出ました。
援助の申し出をサプライズで伝えるためにと、なぜか大きな脚立を買うという謎のイベントがありますが、これはただの伏線です(笑)
翌朝フライパンを火にかけたままキッチンから離れて火事になりかけるという謎のイベントがありますが、これも消火器を出すためのただの伏線です(笑)


自由と金を手に入れてハッピータイムの始まりかと思いきや、夜中、寝ているセシリアは何者かにちょっかいを出されます。
何者、というかタイトルどおり透明人間です。


その夜のことは気のせいと思いこむことにしたセシリアは、翌日就職の面接に向かいますが、面接中に体調を崩してぶっ倒れてしまいました。
検査の結果、大量の薬物を服用したせいだとわかりました。
そんなことをした覚えはないので、セシリアはエイドリアンが生きていることを確信します。
なにしろエイドリアンは光学の専門家ですから、SFによく出てくる光学迷彩を完成させたのだと推測したのです。

 

【追いつめられるセシリア】


セシリアはエイドリアンの兄で弁護士のトムに「彼につきまとうのをやめさせて」と苦情を申し立てに行きます。
しかし、トムがエイドリアンの死体の写真を見せて「弟は死んだんだ」と言うので困惑するだけに終わりました。


さらに相談するために妹のエミリーの家に行くと、なぜかエミリーがめちゃくちゃ怒っています。
今朝「セシリアから悪口だらけのメールが届いた」とのことですが、もちろんセシリアには覚えがありません。
「エイドリアンがやったのよ!」と説明しますが、エミリーからすれば「なに死人のせいにしてるんだこいつ……」としか思えないので、信じてもらえません。


ジェームズの家に帰って泣いていたところ、シドニーが慰めてくれようとします。
そこに透明人間のパンチがヒット!
シドニーはセシリアに殴られたと思って怯えます。


匿ってやって泊めてやってるのに大事な娘を殴られたジェームズも「(頭のおかしなやつには)もううんざりだ!ここにいてほしくない!」とシドニーを連れて家から出て行きました。
セシリアを追い出すのではなく、自分たちが出て行くあたり、ジェームズの人の良さがわかります。


1人きりになったので、セシリアはこのときのために用意しておいた脚立で屋根裏に登り、さっそく透明のエイドリアンとバトルを開始しました。
まあバトルというか一方的に殴られたり投げ飛ばされたりするだけなんですけど……。
見えない相手と戦うためにコーヒー粉を床にばらまいて対抗しようとしますが、うまくいきませんでした。


やはり見えない相手と戦うのは無理、ということでセシリアは家から逃げだします。
あわれにもジェームズの家はめちゃくちゃに荒らされて汚れてしまいました(笑)
戦っても勝てない、ということでセシリアは「エイドリアンが生きている証拠」をつかむために、自宅の豪邸に帰ることにします。


豪邸の研究室みたいなところで、光学迷彩のスーツを発見しました。
これは「エイドリアンが生きている証拠」にはなりませんが「透明になれる証拠」にはなります。
というわけで「警官のジェームズ」ではなく、なぜか「一般人の妹エミリーに相談」することにして、レストランで待ち合わせました。


エミリーに助けを求める理由は「強いから」だそうです。
姉に持ち上げられて気持ちよくなったエミリーも「エイドリアンなんか目じゃないね」などとイキりはじめます(笑)
すると、急に空中にナイフが現れてスパッ!とエミリーの喉をかっ切ってしまいました。
ポイっと手渡されたので、セシリアはなんとなくそのナイフを受け取ってしまいます。
受け取るなよw


これにてセシリアは妹殺しの容疑者として逮捕され「エイドリアンがやった!」とわめき散らした結果、精神病棟にぶち込まれてしまったのです。

 

【透明人間無双】


精神病棟に入ったセシリアは「彼がそこにいる!私を見張ってる!」と自ら精神病を裏付けていきます。
しばらくしてからセシリアは医師から血液検査の結果、妊娠していることを告げられました。
これはありえないことです。


なぜなら、子どもなんか産んだらいよいよエイドリアンから逃げられなくなるため、ずっと避妊薬を飲んでいたからです。


接見にきたトム(エイドリアンの兄、弁護士)が「刑事事件の被疑者になったこと」「精神疾患の疑いがあること」で遺産の支払い停止を告げました。
さらにトムは「それを避ける方法がある」とささやき、「彼の子どもを産んで彼との暮らしに戻れ」と条件を出したのです。


なんとエイドリアンはセシリアの避妊薬をすり替えていたのです。
しかもトムはセシリアの妊娠も、エイドリアンが生きていることも知っていて、それどころか弟の言いなりになっているのです。


セシリアにしてやったりと意気揚々引き上げていくトムですが、自分もエイドリアンに騙されていることには気づいていません。
現行犯で捕まったセシリアの殺人罪を晴らすのは「正当な司法手続きでは不可能」という点を見落としていたのです。


ともかく、追いつめられたセシリアは言いなりになることを拒否して万年筆で手首の動脈を切って自殺しようとしましたが、やはり透明状態で見張っていたエイドリアンに手をつかまれ阻止されます。


それこそがセシリアの狙いでした。


セシリアはエイドリアンのどこか(見えない……)にザクザク万年筆を突き立てます。
このことで光学迷彩スーツが損傷したのか、黒いスーツが見えたり消えたりと不安定になりました。
騒ぎを聞きつけてかけつけてきた警備の警官たちを透明人間が次々に倒していきます。
ほとんどワンパンで気絶させていくので、エイドリアンはただの透明人間ではなく、格闘技の達人でもあるようです。


エイドリアンは「君が反抗しても君を傷つけない。そのかわりに、罪もない少女が死ぬことになった」とシドニー殺害をほのめかし、精神病棟から出て行きました。
セシリアはエイドリアンを追って混乱する精神病棟から抜け出しました。
すぐにジェームズに連絡して「シドニーを助けに行って!」と言うと、自分もジェームズの家に向かいます。

 

【決着】


家で寝ていたシドニーは透明人間の気配を察して起き、防犯スプレーをぶっかけます。
逃げだそうとしますが、つかまれて引きずり倒されて今いました。
そこへジェームズが駆けつけますが、いかんせん相手が見えないのでボコボコにされてしまいます。
しかもこの透明人間は格闘技の達人ですから。


首を絞められ、ジェームズが殺されそうになったとき、セシリアが現れて消火器で透明人間に白い色をつけて、拳銃で何発も撃ちました。
これにてエイドリアン討伐完了!
と思いきや、スーツのマスクを脱がせてみると、中の人はトムでした……。


光学迷彩スーツの存在を知った警察がエイドリアンの家にSWATチームを突入させたところ、なんと自殺したはずのエイドリアンが監禁されていました。
「すべてはトムがやったことだ。これで終わったんだ」
と言うジェームズに、セシリアは「なにも終わってない。すべてはエイドリアンの計画だ」と反論します。


セシリアはエイドリアンに連絡して、家に会いに行きました。
近くではジェームズが待機していて、2人の会話を盗聴器で聞いています。
セシリアが自白を引き出そうとしますが、さすがエイドリアン、しっぽを見せません。
もう諦めたのか、涙を流したセシリアがメイクを直すためにトイレに立ちます。


すると、どうしたことでしょう、エイドリアンが突然ナイフで喉をかっ切って自殺したではありませんか!
光学迷彩スーツを脱いだトイレから戻ってきたセシリアも驚いております(笑)


セシリアはわざとらしく911に電話して救急車を呼びました。
してやられたと気づいたエイドリアンは満足気な顔をして死にました。
エイドリアンがセシリアに執着したのは自分と真剣に戦ってくれる唯一の女だったからなんですね~。


セシリアは今度こそ自由と莫大な遺産を手に入れたのです。
とはいえもう警察も光学迷彩スーツの存在を知っているので、そう簡単に自殺と断定して捜査を打ち切ったりはしないでしょう。
というわけでセシリアは警察が来る前に光学迷彩スーツを持って、証拠隠滅しに行きます。


その姿を見たジェームズは、自分が呼ばれたのは「エイドリアンから自白を引き出すため」ではなく、「エイドリアンの自殺を証言させるため」だったのだと気づきました。
ジェームズは「エイドリアンが自殺したと証言する」とセシリアに約束して、その背中を見送ります。
なにしろ相手は好きな時に相手を自殺させられる無敵の光学迷彩スーツを持っているのですから。


こうしてセシリアは透明人間になったのでした……。

 

透明人間に誰かがやられるときに流れる「ギュオーンジュワー!」みたいな音楽がうるさかったですが、緊張感のある展開がおもしろかったです。

ただ、エイドリアンだかトムだかわからない透明人間が格闘技の達人すぎたり、なぜトムが濡れ衣を着せられて殺されることをわかっていて光学迷彩スーツを着たのかわからなかったり、シナリオはご都合主義だらけだと思いました。

え、ホラーってそういうもの?

やっぱこれホラーだったんですね!


以上です。