『ものがたりいちば』

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「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の感想

ひとは、なかなか素直になれない。

 

2020年日本映画。アニメ。ジャンルはファンタジー
監督は石立太一
主演は石川由依

 

2018年にテレビ放送されたアニメシリーズの続編となる新作映画作品です。
ふだんはアマゾンビデオなどの配信サービスで観た作品ばかりレビューしてますが、久々に劇場で観てきました。


たぶん一見さんお断り案件ですが、だいじょうぶ!
この記事を読めば、あなたも今日からヴァイオレットちゃん博士!
問題なく劇場にいけます(宣伝)。
いきましょう(懇願)。

まだ間に合います!

いまさらネタバレを気にするものか、でしょ?

 

 

・「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」シリーズのテーマ
遠く離れたところにいて、お互いの気持ちがわからない。
たとえ近くにいても、面と向かってはなかなか本音をぶつけられないもの。
照れ臭さから思ってもいないことを言ってしまったり、つい反発してしまって暴言を吐いたり。
そうしてほんとうは思い合っている、愛し合っているひとたちがすれ違っていく。
素直になれないひとたちの心をつなぐためのツールが「手紙」なのです。

 

とはいえ、心のこもった文章というものは誰でも書けるものではありません。
文字が書けない、手が動かない、うまく文章にできない。

 

主人公のヴァイオレットは、そういう事情で文章を書けないひとのために手紙を代筆する「ドール」という職業についています。
ただ口述筆記をするだけのこともありますが、依頼人の意図をくみ取って自ら文章を作るのが主な仕事です。
なかなか素直になれないひとの手助けをする職業だと思ってもらえば、間違いはないと思います。

 

 


・テレビシリーズのかんたんなおさらい
戦争により両手を失った元少女兵のヴァイオレットは一命を取り止めたあと精巧な義手を装着し、戦後、後見人のホッジンズが経営する郵便社で働き始めた。
だが、ヴァイオレットが戦争で失ったのは両手だけではなかった。


身よりもなく幼いころから兵士として戦場で育ったヴァイオレットは、敵を殺す術以外なにも知らなかった。
他国に殺人マシーンとして恐れられていた彼女を引き取り、文字の読み書きや人として生きる常識、そして「ヴァイオレット」という名前を与えたギルバート少佐をも戦争で失っていたのだ。

 

戦場で瀕死になった少佐は、ヴァイオレットに「あいしている」と伝えていなくなった。
軍のなかでは戦闘中行方不明という扱いだが、彼を知るほとんどひとは死亡したと確信している。


すべてを失ったヴァイオレットに残されたのは「あいしている」という少佐の最後の言葉だけだが、子どものころから殺し合いしかしらない彼女には、その言葉の意味がわからない。

その意味を知るためにヴァイオレットは郵便社で自動書記人形として働くことを決意する。


自動書記人形とは、字の書けないひとや伝えたいことをうまく言葉にできないひとのかわりに手紙を書く代筆屋のことである。
言葉たらずの依頼人の感情をくみ取って、言葉にするという困難な仕事だ。
いわば感情のプロフェッショナル。


人間としての感情を持たなかったヴァイオレットは依頼人や同僚たちとの交流を通じて、じょじょに感情を知っていく。
そして「あいしている」の意味を少しずつ理解するとともに、自分も少佐を「あいしている」ことに気づく。
同時に多くの「あいされている」であろうひとを殺めてしまった過去の罪に苛まれるようになる。
少佐を失った過去、多数のひとを殺戮した罪悪感に、心が炎上していくヴァイオレットを救ったのは、また、依頼人や同僚たちであった……。

 

 

 

・本作のかんたんなあらすじ
テレビシリーズで成長を重ねたヴァイオレットは、とても有能な自動書記人形として諸国で有名になります。
指名が相次ぎ、予約は三か月待ちで大忙し。
当代きっての人気自動書記人形です。

 

少佐と生き別れになってから数年がたっていますが、まだ彼の生存を信じ続けています。
それでも、死を受け入れる心の準備はできていました。
なぜなら、多くの依頼人の感情をくみ取ってきた経験で、叶わぬ望みという概念を理解していたからです。
そんなとき、死亡したと正式に認定されたはずの少佐が生きているかもしれないという知らせが入るのでした……。

 

 


顔のドアップ多い度☆☆☆☆☆
劇場のスクリーンで観たからなおさらかもしれませんけど、登場人物の顔面ドアップがカメラ目線が多かったように感じました。
テレビシリーズからもともとエモーショナルな作品でしたが、キャラの顔が歪み、目頭や目じりに涙液がたまり、そして号泣へ。
この一連の描写がめちゃくちゃ多かったです。

 

 


最終回度☆☆☆☆★
わたしは原作を読んでいないのですが、断言します。(原作者の方ごめんなさい)
本作でこの物語はフィナーレです。
物語の結末です。
シリーズのファンならぜひ目撃しましょう。


というわけで、テレビシリーズでおなじみの同僚たちや、かつて交流した依頼人たちもチョイ役で出てきます。
ファンサービスでしょう。
まさに最終回って感じです。

でもさぁ……なんでルクリア出てこなかったんですかっ!?
ヴァイオレットが感情のこもった手紙を書けるようになる最初のきっかけになった友だちでしょう?
なぜ……なぜじゃ……。

 

 

 

え、そうなっちゃうの?度☆☆☆★★
ネタバレになっちゃうので言えませぇん!
でも、今回で最終回にするとスタジオが決めたなら、まあそうなってもしかたないかなと思いました。
「あいしている」ってそういうことだったんですか?
うーん。
少佐さん、ロリコン
まあ、たしかにヴァイオレットちゃん、成長したもんね……。
あのときの「あいしている」と数年後の「あいしている」は意味がかわったんですよね。

 

 


・かんそう
レイトショーで観て、帰ってきてすぐに感想を書きました。
観賞後の感想は、ビタースイートって感じでした。

 

アップするのが遅くなりましたが今ならまだ間に合います!
劇場にGO!

 

ひとつの物語の終わりは、さみしいけれども、始まりでもあります。
また別の作品と出会うきっかけと考えましょう。

なお、優れた作品と出会いたいなら、アマゾンプライムビデオがおすすめです!
(ひでえオチ……)