『ものがたりいちば』

映画観賞歴5000本以上なりに映画ドラマアニメの感想を書いてます。ゲーム関連はhttps://zwigani.comに移転中です。

「今からちょっと仕事やめてくる」の感想

こんな吉田鋼太郎にあったら、すぐ警察なり労働基準監督署なりに通報しよう!

 

 

 

2017年日本映画。ブラック企業ものです。
監督は「八日目の蝉」などの成島出
主演は人気俳優の福士蒼汰。助演は工藤阿須加黒木華吉田鋼太郎
ネタバレはけっこうアカンと思います。されたら恨んでいいレベルです。

 

・かんたんなあらすじ(ネタバレなし)
題名まんまです。おわりっ!
くぅ~疲れましたw


……冗談っす。


主人公の青山(工藤)は、典型的なブラック企業に勤めています。
新卒就活のときになかなか内定がもらえず、初めてもらえた会社に飛びついてしまったのが運の尽き。
パワハラ部長(吉田鋼太郎)の存在が日々を絶望のものとしていました。


あ、このパワハラ野郎ふっつうに恒常的な暴力を振るいやがります。

管理人ならすぐ警察いきます。なんなら昇竜拳パナして三日くらい固形物食えなくしてやりますとも。ええ。


……ごめんなさい強がりました!


警察のお世話にはなりたくありません。殴り返すなんてできません。
これがパワハラやる側の強みで、パワハラできる理由です。理不尽に痛めつけても射殺されないからですね。


毎月150時間以上の残業、残業代ゼロ、交通費自腹、有給を取らせない、仕事上のミスで発生した損失を給料から天引きする、そして暴力。

なかなかのこってりしたブラック特盛りです。

というか違法行為のオンパレードです。

暴力はパワハラじゃないと思います。ふつうに刑事事件でしょ……。


先輩の五十嵐さん(黒木華)は優しいのですが、部長が切れたときは庇ってくれません。

というか、部長はほぼ毎日切れているのでみんなそのたびに硬直してしまいます。


長時間労働パワハラのストレスで心底疲れ切った青山は、帰りの駅のホームで自殺しようとします。
今まさにレールの上に落ちようとしていた青山を、誰かが引っ張りあげます。
アロハシャツを着た、怪しい青年です。


その青年は小学生のときの同級生「山本」だと主張します。
青山はぜんぜん覚えていませんが、押し切られる形で飲みにいくことになりました。


山本は大阪弁で押しが強くて、おまけになんかオーラがハッピーです。
お互いぜんぜん小学生のときの記憶がない同士ですが、なんとなく意気投合して携帯番号を交換します。
そのあとすぐに、山本はストーカーと化します(!?)。


教えてもいない自宅をどういうわけか調べあげて押しかけてきたり、会社帰りに強引に飲みに誘ったりとなかなかの迷惑プレイをして付きまとってくるのです。

こういうやつ、うぜ~。


意外なことに、もう死のうと思っていた青山は山本との強引な交流を通じて、仕事への意欲を取り戻し、なにより生きる気力がわいてきます。
そんなある日、青山はある事実を知ってしまいます。


それは――「山本」が三年前に自殺していたということです。しかも、その動機はブラック企業で心身ともに痛めつけられたからです……。


ブラック自殺した幽霊が、同じ境遇の自分を救いにきた!?と青山は困惑します。


さて、山本の正体は何者なんでしょうか?本当に幽霊なのでしょうか?
そして、ブラック企業での不毛な日々から解放されるのでしょうか?

 

 

――ネタバレ注意!――

 

 

 

吉田鋼太郎パワハラ感すごい度☆☆☆☆☆
すごい圧でした。
もし自分があの立場に置かれたとしたら、無敵技ぶっぱなして窓から投げ捨てかねないくらいムカつきました。

他人ごとだから殴り返せばいいじゃんとか辞めればいいじゃんとか言えますけど、強い抑圧下にある人間はそういう発想すらできなくなるみたいですね。

 

 

ゆるふわファンタジーじゃなくてよかった度☆☆☆☆☆
縁もゆかりもない幽霊がブラック自殺しようとする青山を止めに現れた、という展開を匂わせるのですが、そうじゃなくて本当によかったです。

たぶん多くのひとがあの瞬間にがっかりしてもう観るのやめよっかな~と思うでしょうが、安心してください。

管理人も一瞬ビデオ停止押しかけましたけど、さすがにそれはないだろうと思いなおしました。
べつの種類のファンタジーが始まりますけど、筋が通っていたので納得できました。


あとバヌアツの風景がすごくきれいだったので、目の保養になります。
まあ、途上国を楽園のように描くのはちょっと、あれですけど。あっちはあっちで日本よりもっと深刻な問題があると思いますよ……。

 

 

自殺するくらいなら……度☆☆☆☆☆
あの会社が年収数億円くれる超エリート企業ならじっとがまんするってのを考えなくもないですが、交通費ケチるくらいのしょぼい企業ならどうせ給料も安いはずです。
 
A:自殺 B:殺傷および略奪行為 C:仕事をやめて逃げる
この選択肢、択になってますかね……C一択ですよね。

ちょっと人生やめてくるくらいなら仕事やめてきます。

たまにAを選ぶフィクションがありますけど、あれ誰が得するんですかね……?


というわけで、ストーリー展開に意外性はありませんが、観る前にぜんぜん期待してなかったのですごく楽しめました!
吉田鋼太郎のクソパワハラ演技と工藤阿須加のダメ社員っぽい演技は一見の価値ありです!