『ものがたりいちば』

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「ケミカル・ハーツ」の感想


2020年アメリカ映画。ジャンルは青春恋愛映画。アマゾンオリジナルビデオです。
監督はリチャード・タンネ。
主演はオースティン・エイブラムズ

 

・序盤のかんたんなあらすじ
高校の新聞部に所属するヘンリーは、新学期に念願だった編集長に指名された。
それと同時に転校生のグレイスと出会う。


自分のことを語らないミステリアスなグレイスに一目ぼれしたヘンリーは、ストーカーまがいの行動をしてまで彼女のことを知ろうとする。

こっそり尾行という古典的ストーキングから、SNSを駆使する現代的なストーキングまで。


そうしてグレイスが過去に交通事故に遭って、同乗者が死亡、自らも足に障害を負ってしまったということを知る。


ヘンリーの好き好き光線をうざがっていたグレースも新聞部での活動などを通じて少しずつ好意を受け入れるようになっていくのだが……。

 

――ネタバレ注意!――

 

 

 

なんか惜しい度☆☆☆☆★
序盤は、誰もが通過する「青春の痛み」を描いた普遍的な青春映画かと思ったのですが、途中からイチャイチャしたり揉めたりする普通の青春恋愛映画になってしまいます。


事故前のグレースは陸上部のスターで、事故死した恋人もアメフト部。ということで、アメリカのスクールカーストでは上位勢です。


いっぽうヘンリーは成績優秀の優等生ですが、カースト的にはあまり高くありません。
事故がなければ付き合うことのなかった2人を結びつける共通点は「文章」でした。


しかしグレースは事故のショックで文章が書けなくなってしまっています。
そして、文章を書けるようにならないまま、終わってしまうのです。


青春の痛みを乗り越える「答え」とまでいいませんが、せめてヒントくらいは持って帰りたいと青春映画ファンは思うものですが、残念ながらこの映画にはないです。


「精神的ショックを受けたらカウンセリングを受けよう!」じゃ、当たり前すぎんよ~。

 

 

なんとなく進みすぎ度☆☆☆☆★
いろいろあって中盤から2人は付き合い始めるのですが、一目ぼれしたヘンリー側はともかく、最初は煙たがっていたグレースがヘンリーに好意を抱くきっかけがいまいちわからないのです。


まあティーンエイジャーの恋愛なんてそんなもんだ、と言われてしまえばそうなのかもしれませんが、グレースは子どもの頃からずっといっしょだった恋人を亡くし、深く傷ついているわけですからふつうのティーンエイジャーと同じにはできないと思うんですけど……。


ヘンリーはすごく優しく接しているので、ぜんぜん納得できないというほどではありませんが。

 

 

なんとなくのわりには楽しめた度☆☆☆☆★
「なんか」とか「なんとなく」とか連発していて恥ずかしいのですが、グレースの描写が中途半端なだけで、そこそこおもしろい恋愛映画だと思います。


ただ、新聞部ならではの描写があんまりなかったよな~とか、グレースの異常行動とか母親との確執とかも中途半端だよな~とか、もうちょっとそこ煮詰めてほしかったな~というなんか惜しい感が正直な感想です。


この映画でいちばんしっくりきたのは、幼なじみと付き合ってそのまま結婚して幸せな生活を送ってきたやつには、大多数の人間が経験する失恋の痛み――ふつうのクソな経験――は理解できないという主張です。

まあ、だからなに?なんですけど……!

 

以上です!