『ものがたりいちば』

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「スーパーサイズミー」の感想

リアルなゲロを目撃しろ!

 

2004年アメリカ映画。ドキュメンタリー作品。
監督脚本主演モーガン・スパーロック

 

続編の「スーパーサイズミーホーリーチキン」を観たので、十数年ぶりに観てみました。
やっぱりゲロでした!

 

・かんたんなあらすじ
肥満大国アメリカで、ある肥満少女たちが「自分たちの肥満の原因は不健康な食品を売っているマクドナルドにある」とマクドナルド社を訴えました。


その訴訟は結局棄却されるのですが「毎日食べ続ければ健康が悪化する」という証拠を示せば、再度審理するという条件が判事から示されます。


この判決に反応したのがスパーロック監督です。


彼は判事が示した条件を満たすために、30日間3食マクドナルドの食品を食べ続けるという実験を思いついたのです。


しかも期間中に全メニュー制覇、店員から勧められればスーパーサイズセットを注文しなければならないという過酷な条件つきです。


スーパーサイズというのは1リットル超えの清涼飲料水を誇るおバカメニューです。


スパーロックは事前に栄養士や医師の協力を取り付けて、定期的に健康診断を受けるという周到な用意をしたあとに自らの体で人体実験を開始します。


この無謀で結果のわかりきっている実験の行方はどうなってしまうのでしょうか!?
とりあえず初日にゲロ吐きます(笑)

 

 

セットメニューの納得いかない度☆☆☆☆☆
個人的な感覚なんですけど、ファストフード店のSMLのセットサイズって、サイドメニューのポテトとか飲み物が大容量化するだけなのが、ずっと謎です。

メインのハンバーガーは一グラムも増えない。


わたしも若いときはよくファストフード店を利用していましたが、セットメニューはあまり頼みませんでした。

 

ハンバーガーを食いたいから行ったのに、ポテトとか飲料に金払うのは納得がいきません。その予算があればもう一個ハンバーガー頼めるやん?
ということで、ハンバーガーだけ3個とか頼んでました。


「ごいっしょにポテトはいかがですかぁ?」とかニコニコ笑顔で店員さんおすすめしてきましたけど、そんなのガン無視です。


今はどうかわかりませんが、昔のマクドナルドは「水」と「スマイル」がタダでしたので、バーガーでパサついてむせるという事故も避けられました。


レジで「お水くださーい」って頼むと他のお客さんが「えっ、そんなのあるの!?」ってびっくりしてました。
あぁ……セット商法に洗脳されていたんですね。


本作では、多数のファストフード愛好家が出てきますが、だいたい太ってます。だいたい数年で死にそうです。


そんななか、異色を放った人物がいます。
ビッグマックファン男です。


二十年近く毎日最低二個以上ビッグマックを食べている人なんですが、太ってません。健康にも問題なさそうです。


なんかもう答えが出た気がします。

悪いのはポテトとドリンクなんじゃね?


ていうかドリンクでしょ?コーラでしょ?


2020年現在では常識ですが、現代人の食生活において健康を害する最大の有害物質は「砂糖」です。

というか、そういうことになっています。

科学の常識はあっという間に変化するので、あくまでも2020年の時点の結論です。

 

 

描写がぶれている度☆☆☆★★
スパーロックは、事前の健康診断で完璧な健康体と診断されました。


恋人はヴィーガン(完全菜食主義)のシェフでしたし、あの時代としては健康意識も知識も相当高かったでしょうから、そもそもやる前から結論は予測していたはずです。


当然のようにみるみるうちに肥満化して、健康を害してしまいます。


いっぱい食べるだけだとただの大食い動画になってしまいますので、ちゃんといろんな人にインタビューをして、業界の問題点を探ろうとします。


そのなかでもっとも問題だと思われたのは、子どもの食生活の劣悪化です。


学校給食の現場で悲惨なものばかり食べる光景が描写されます。

チーズしか具のないピザやフライドポテト、クッキーしか食べない子どもたち。飲み物は炭酸飲料。

なぜそんなことになったのかというと、学校の契約業者がそういったものばかり提供するからです。


物語が進めば進むほど、ハンバーガーが最大の悪ではない感じが匂ってきます。


ハンバーガーショップをターゲットにしたのに、確実に健康を害しているのは砂糖たっぷりの炭酸飲料という結論に近づいてきてしまいます。


実際、実験の後半、スパーロックの健康状態が深刻な悪化をみせたとき、栄養士はコーラをやめて水を飲むようにアドバイスします。


糖分たっぷりの清涼飲料水が2020年の日本でもいまだに売られている理由ははっきりしています。
儲かるからです。利益率が高いからです。


客の健康を確実に害するとわかっているのに、有害物質を出荷し続けているのです。そのせいでユーザーが糖尿病になってもメーカーは責任を持ちません。


ということは、最大の悪は飲料メーカーでは?


スパさんは、マクドナルドにはしつこく電話しますが、飲料メーカーには一切コンタクトをとりません。
最後までバーガーを頬張る姿を映し続けます。

(あ、お察し……)


スパーロック監督は聡明な知識人ですから、取材の途中でビッグマックファンに会ったなら、ターゲットを変える姿勢はあってもよかったんじゃないでしょうか?

 

 

エンタメ度☆☆☆☆☆
続編の「スーパーサイズミーホーリーチキン」はドキュメンタリーとしては本作より明らかに優れていますが、エンタメとしては弱いです。

やっぱゲロに尽きます!!!

 

 

・まとめ
たぶん現代日本の消費者はタピオカドリンクはもう捨ててると思うので、今すぐ、その手に持っている清涼飲料水を捨てろ!