「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」の感想
マクドナルド“創業者”に隠された謎とは!?
2016年アメリカ映画。
実話をもとにしたストーリーです(実話とは言ってない)。
監督は「しあわせの隠れ場所」などのジョン・リー・ハンコック。
主演は「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」で知られるマイケル・キートン。
マクドナルドの“創業者”が地方のハンバーガー店を世界的企業に成長させていく過程が描かれます。
ネタバレでつまらなくなる要素は低めです。
とくに問題ないでしょう。
映画から1つでもなにかを持ち帰って実生活に生かしたい、という方におすすめです。
・序盤のかんたんなあらすじ
1954年ミルクシェイクの製造機を販売しているレイ・クロックは、ある日聞いたこともない大量の注文をたった一軒のレストランから受けます。
「いったいどんなレストランなのか」と気になったレイは、直接店舗を見てみるためにカリフォルニアへ向かいます。
店舗に到着したレイが見たのは驚きの光景でした。
当時のレストランといえば、ドライブインのハンバーガー店のような軽食の店でも陶器の皿で料理を提供していたのです。
またウェイトレスが車に近寄って注文を聞き、料理を車まで運ぶ、それが常識でした。
ところがその店にはウェイトレスがいません。
客は車を降りて窓口に自分で注文するのです。
レイは戸惑いつつもさっそく長蛇の列に自分も並び、ハンバーガーセットを購入します。
皿は出てこず、紙包みに包まれたバーガーを渡されます。
食べ終わったら客が自分で包装をゴミ箱に捨てれば、終わりです。
皿を下げるウェイトレスはいりませんし、洗い物もでません。
ミスで皿が割れて損をすることもありません。
非常に合理的です。
なによりも驚いたのはハンバーガーの提供の早さです。
注文から30秒で出てきたのです。
あまりの早さにレイは自分の分だと思わなかったほどです。
なお、味についてのコメントはとくにありませんでした(!)。
感銘をうけたレイは店の経営者に話を聞くことにします。
経営者はディックとマックという兄弟で、彼らはレイに喜んでスピード提供の秘密を教えてくれました。
レイは、兄弟の開発した合理的なシステムは必ず当たると確信して、フランチャイズチェーン化を持ちかけます。
当初、難色を示していた兄弟でしたが、レイの熱心さに根負けしてフランチャイズ化を承諾します。
その店の名は――マクドナルド。
のちに世界一有名なハンバーガーチェーンとなるマクドナルドの幕開けでした。
――以下ネタバレ注意――
どっちの言い分もわかる度☆☆☆☆★
品質にこだわるマクドナルド兄弟と利潤を追求するレイ。
フランチャイズ化当初から両者の意見は対立しがちです。
レイの読み通り、マクドナルドのフランチャイズ店は全米各地で大ヒットします。
しかし、性急な店舗数拡大を推し進めるレイにとって誤算だったのは、契約上の取り分のパーセンテージが低く、運転資金が底を尽き始めたことです。
フランチャイズ店の各オーナーも兄弟が求める商品水準を保つための設備や光熱費が高くつき、客は大入りで繁盛しているのに儲からないという問題に悩まされます。
というのも、兄弟はフランチャイズ契約に際して「兄弟の許可なく経営内容を変えてはいけない」という条項を設定していたのです。
コストカットのために勝手に原材料などを変えられないのです。
オーナーたちにいっしょに儲けようと誘った手前、そもそもこのままだとレイ自身も破産してしまうので、なんとかしなければなりません。
ですが、兄弟は頑固、あまりにも頑固です。
困り果てたレイのもとにある人物が現れ、助言を与えます。
それは店舗経営を変えることなく、レイが儲ける構造を生み出すというある意味で抜け穴のようなものでした。
結果的にこれを裏切り行為と取った兄弟とレイの亀裂は決定的なものになります。
激怒した兄弟でしたが、新たな構造のなかでボロ儲けしていくレイと訴訟で争える金銭的余裕は片田舎のハンバーガー店のオーナーにはありません。
結局、兄弟は多額の金銭と引き換えに、マクドナルドの権利を売り渡してしまいます。
兄弟のこだわりもわかりますし、もともと儲けたい一心で始めたのに破産寸前まで追いこまれたレイの言い分もわかります。
ただ、兄弟を経営から追い出したあと、レイは彼らの店を歴史から消して自らを“創業者”と名乗るのです。
そこは、ね?納得いかないですね。
というのがこの映画の趣旨です。
ファストフードの語源感☆☆☆☆☆
この映画では「ファストフード」という単語は出てきません。
その言葉を生み出すほど、マクドナルド兄弟のスピード提供システムが画期的だったのでしょう。
今ではハンバーガーチェーンの提供が早いのは当たり前ですが、最初からそうだったのではありません。
店員が客に注文を取りに行き、厨房にそれを伝える。
料理人はそれから調理を始めて、店員が客に料理を運んでいく。現在でも一般的なレストランではこのスタイルですが、やはり提供までの時間がかかってしまいます。
注文から30秒で提供。
当然のことのように思っていたシステムが、誰かの偉大な発明品だったということを知れたのは勉強になりました。
自分たちの名前を冠した店から追い出されたマクドナルド兄弟ですが、世界を変えた人物ということに変わりはありません。
そのシステムをレイが(やや汚い手段とはいえ)世界に広めなければ、「ファストフード」という言葉も生まれてなかったかもしれません。
その世界線では吉野家も松屋もココイチも存在しなかったかもしれませんね。
考えてみれば現在の社会というのは、こういう世界を変えた人物たちの画期的な発明の積み重ねで成り立っているんですね~。
先人への敬意を思い出させてもらいました。
ビッグマック食べたくなる度★★★★★
ビッグマックは出てきません。
ざんねん……。
当時のマクドナルドのメニューは、ハンバーガーとフライドポテト(ワンサイズ)とシェイクだけだったそうです。
それもスピード提供システムを実現するためだったのでしょう。
ちなみにわたしはマクドナルドに何年も行ってません。
メニューの改変もよくわかってなかったので、この感想を書くためにマックのサイト見てみたら吹きましたw
倍ビッグマックだ!どーん!
倍てりやきマックバーガーだ!どーん!!
倍ハンバーガーだ!どーん!!!!
全部パテ(肉)が2倍になっているようですね。
はえー今こんなことになってるんですね。
ところで食材のバランスとか味のハーモニーはいったいどこに……?
マックが時々陥りがちな「やらかし迷走期」なのか、近年の肉ブーム需要をうまくすくい取った良策なのかよくわかりませんが、このコロナ禍で外食産業が軒並み厳しい状況のなか、まずまずの業績で踏みとどまっているようですね。
でも倍ハンバーガーって、ただのダブルチーズバーガーチーズ抜きやんけ!
亡きレイ・クロックが、頑固な兄弟から経営権を乗っ取った甲斐がありましたね!
マクドナルド兄弟なら倍戦略を絶対にゆるさないでしょう。
いっそ、千倍ビッグマックだ!