『ものがたりいちば』

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「アース」の感想

2030年までにホッキョクグマは絶滅するでしょう(!)。

 

2007年イギリス映画。
イギリスBBCの制作した自然ドキュメンタリーです。


監督は共同でアラステア・フォザーギルマーク・リンフィールド
主演はホッキョクグマ


ネタバレの心配はとくにありません。
ストーリーとかないので。

 

 

・序盤のかんたんなあらすじ
この作品は北極に住むホッキョクグマを映すところから始まります。


そこから地球をじょじょに下り、南極まで順番にスポットライトを変えていき、そこに住む多種多様な動植物や驚異的に美しい自然の風景を紹介します。


とんでもない水量で圧倒してくる大瀑布や見渡す限り緑のジャングルの風景は圧巻ですが、やはり面白いのは動物の描写。

 

とくに盛り上がるのは「狩り」シーンです。
飢えた肉食獣と必死で抵抗する草食獣。いくつかの生存競争の戦いが記録されています。


2007年と映像技術的には古いはずなのですが、画質は鮮明で古臭さは感じませんでした。

 

 

動物ストーキングへの執念を感じる度☆☆☆☆☆
何百キロも移動する象の群れや水牛の群れ、赤道近くから南極まで何千キロも移動するザトウクジラの親子など、とてつもない距離と時間をかけて追跡しています。


一つの集団や親子を追い続けることで、ただの自然の映像に物語性が加わり、より身近に感じることができます。

 

 

ライオンはやはり百獣の王度☆☆☆☆★
わたしはこの映画観るまで「百獣の王」とか言っといてアフリカ象の大人には手を出せないんだろ?などと高をくくっておりました。


要するに、自分より弱いやつにしか強気になれない雑魚狩り野郎だと思っていたのです。


完全に間違いでした。


ある象の群れに目を付けたライオンたちが小象を引き離すという作戦で狩りを始めるのですが、うまくいきません。


ライオンたちの狙いを察した大人の象たちが小象を集めて囲んで防御するという対策を実行してきたからです。


包囲網を崩そうと何度かアタックするのですが、ガードを固めた大人象の守りは崩れません。


おお、やっぱり象の勝ちか。
いつもガキばっかり襲いやがって百獣の王ざっこ!などと思ったわたしの目にとんでもないものが飛び込んできました。


数十頭のライオンが巨大な象にしがみついたりまとわりついたりしている衝撃の光景です。


ライオンたちは群れを攻撃することを諦め、群れから離れた大人を狩る方針に切り替えたのです。


ライオンが勝ち目のない戦いはしないでしょうから、現実的に大人の象を狩ることもあるのでしょう。
マジか……。


ただし、狩りの結果は示されませんでした。


あれーなんでかな?
失敗したのかな?


無謀な作戦に出て失敗したの恥ずかしいからBBCに賄賂渡してカットしてもらったのかな、ライオンく~ん?


軽くググってみたところ、大人の象のメスを襲う例はときどきあるそうです。

 

 

セイウチでかすぎ無理ゲー度☆☆☆☆☆
最後のエピソードに出てくる痩せたホッキョクグマは餓死寸前。
一刻もはやく餌を口にしないと危険な状態です。


そこで幸運にもある動物の群れと出くわすことができたのですが、これが最悪の相手でした。


分厚い皮膚、巨大な牙、ホッキョクグマの倍もありそうな巨体の怪物――セイウチの群れです。


いまさら移動している余裕はないので、クマはいつもの野生作戦に出ます。
はい、子どもを狙うやつです。


それに対してセイウチ側もいつもの防御作戦をとります。
はい、子どもを囲んで防御陣形を作るあれです。
(なんか野生ワンパターンだな……)


いくら陸上最強の肉食獣とはいえ、疲弊したクマは狩りに失敗してしまいます。
しかもただの失敗ではありません。
牙で反撃をくらったのか、後ろ脚を引きずっているのです。


体力を使い果たしたうえに、怪我まで……歩くこともできなくなったクマはその場にへたり込んでしまうのでした。
もう脅威は去ったとばかりにセイウチも警戒を解きます。


生存競争の決着はつきました。
運命が決したのです。

 

 

このまま北極圏の氷が減り続ければ2030年までにホッキョクグマは絶滅する――という衝撃的なテロップが出ます。


いまもう2021年なんですけど、どうなっているんだ!?とググったら安心しました。


どうやら現状は2100年まで伸びているようです。京都議定書が役に立ったのでしょうか。
https://www.bbc.com/japanese/53481987


同じBBCがソースなので、確度は高いでしょう。
2007年よりは人類は前に進めているようです。