『ものがたりいちば』

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「あまくない砂糖の話」の感想


いますぐ砂糖を捨てろ!めんどくさがるな!

 

2014年オーストラリア映画。やってみた系のドキュメンタリー作品。
監督主演デーモン・ガモー。

 

スーパーサイズミー」系の人体実験ドキュメンタリーです。
監督自身が参考にしたと説明しているように、話の展開もほとんど同じです。


健康体の人間がわざと偏った食生活をしてみたら体はどう変化するか?という経過と結果の記録になっております。


こちらのターゲットはファストフードではなく、タイトル通り砂糖です。
よりターゲットを絞った実験です。

 

(※なお、わたしは科学者でも医学者でもないので、この映画の内容の真偽はつきかねます。この感想文も科学的な正確性の保証はできかねます!)

 

 

日本人安心度☆☆☆☆★
ストーリーの展開は監督のデーモンが医師や専門家のアドバイスを受けながら60日間の砂糖漬け生活を送るというものですが、悪い結果がでるに決まっている無茶なレギュレーションにはしません。


オーストラリア人の1日の平均摂取量がスプーンで40杯(160グラム)なので、それに合わせるのです。


スーパーサイズミー」は前まで取り組んでいた運動をやめるというインチキくさいことをやってまで悪い結果を出そうとしていましたが、「あま話」ではちゃんと運動も続けます。

zwigani.hatenablog.com

 


いいですね。フェアです。
でも160グラムとはすごい量ですね。


日本人がどれくらい摂取しているのか調べてみたのですが、いまいち公式的な統計データを見つけられませんでした。


朝日新聞のサイトにだいたい50グラムと記されていました。
https://www.asahi.com/articles/SDI201705125520.html(2017年5月の記事)
日本人の3倍以上とか、オーストラリアの人砂糖摂りすぎでしょ……。


2016年のWHOの調査だと、オーストラリアは肥満率30.4%でなんと10人に3人は肥満の患者ということです。
ところが世界順位は24位と比較的低いです。


世界、なかなか狂ってますね。


ちなみにデブ大国というイメージの強いアメリカは肥満率37.3%で3人に1人以上が肥満の患者です。
狂っとる……。


けど、それでも世界順位は11位です(!?)。
(参考)http://www.scn-net.ne.jp/~chisato/obesity.pdf


一桁ランカーの国は聞いたこともないような小国がずらり。
どうせ貧しいのでしょう。
貧しい国はコーラ漬けにされる運命です。


国、というか、人ですね。
貧しい地域ほど生鮮食品の摂取量が少なく、加工食品の摂取量が多いのです。
加工食品には、もれなく砂糖がぶっかけられてます。


これはオーストラリアやアメリカだけの話ではありません。
日本も例外ではありません。


清涼飲料水やスイーツやお菓子は言うまでもなく、コンビニの弁当、スーパーの総菜、これらには砂糖が使われています。


とはいえ我が国がマシなことも間違いありません。
肥満率は4.4%で世界186位。


ただ、WHOは一日の砂糖摂取量を25グラム以下に抑えるよう推奨しているそうですので、日本人も完全に安心はできません。

 

 

啓発度☆☆☆☆★
ドキュメンタリーを2種類にわけてみます。


ひとつは啓発系。
世の中にあまり知られていないことを広める教育目的のものです。
本作はこちらに分類されます。


もうひとつは告発系。
マイケル・ムーアが作る作品はだいたい個人や組織を告発して責任を問うてます。
本作は一応ペプシやコカコーラの名前は出てきますが、企業の責任を問う姿勢は弱めです。
純粋に啓発したい、ということでしょう。


砂糖を控えたほうがいいのは、カロリー過多になってしまうから、だと管理人は思っていました。
しかし、それはとんでもない思い違いでした!


実験前とほぼ同じカロリーを摂取していたにもかかわらず、デーモンは体重が増え、内臓脂肪レベルが増加して肝機能障害に陥ります。
太る原因はカロリー、ではなかったのです。


目からうろこです。
先進国で肥満が問題になってから数十年というもの、犯人探しとなすり付け合いが続いてきました。


70年代には油がやり玉にあげられ、低脂肪食品が健康食品としてブームになりました。
しかし、肥満は減るどころか増加したのです。


原因は脂肪分のカットによって減ったカロリーとうまみを補うために投入された大量の砂糖でした。


ですが、食品業界はそれを認めたがらず、顧客の運動不足のせいにしました。
80年代にフィットネスブームが発生したのは砂糖の責任逃れのせいだったというわけです。


しかし、というか当然、肥満は減りません。
砂糖が減っていないからです。


近年では体にいいと謳ったスムージーなどが人気です。
ですが、砂糖の含有量はなんとコーラと同じです(!)。
健康的でもなんでもありません。
相変わらず食品産業は邪悪な嘘をつくのをやめていません。


砂糖を食べると太りやすくなる科学的な理由、砂糖に含まれる麻薬的な中毒性などについてわかりやすく解説されているので、この映画を見た後は成分表を見たくなること請け合いです。

 

 

「炭水化物」とか「糖質」じゃなくて「砂糖」の含有量を表示してほしい件☆☆☆☆☆
映画を観ればわかるのですが、米などの炭水化物に含まれる糖質の「ブドウ糖」と「果糖」が健康に与える悪影響はまったくレベルが違うらしいのです。


もちろんこの映画で連呼される砂糖の真の悪は「果糖」です。
1グラムでも砂糖の摂取を減らしたいと思いました。


試しにセブンイレブンマクドナルドのサイトで成分表を見てみましたが、糖質という表示があるだけです。


これじゃ、おにぎりとかバーガーにどれくらい砂糖が使われているかわかるわけがないぜよ~!
米もパンも糖質なんですから!


食品業界から身を守るかんたんな方法を考えてみました。
減砂糖度が高いと思われる順です。


・清涼飲料水を飲まない
説明不要。砂糖の王様です。
スムージーとか乳酸菌飲料とか健康っぽいものもドバーっと砂糖が入ってますね。

 


・加工食品を買わない(弁当、総菜、スイーツ、缶詰、レトルトのパスタソースなど)
味付けに醤油を使った料理はだいたいみりん(砂糖入り)と砂糖を加えてます。
これは料理番組やレシピサイトをちょろっと見ればわかります。


てりやきとか生姜焼きにみりんも砂糖も使ってなければたいしたものです。
食べるひとの健康を気づかっている本物の料理人でしょう。

 


・外食をしない
さあ息苦しくなってきました。
これはいくらなんでもきついっす……。
仙人になってしまいます。

 

常識的な範囲内でできるのは、ジュースを飲まず、家では加工食品を食べない、くらいですかねぇ。


出先でコンビニ食や外食をするのはこれはしょうがないですね。

せめて家で食事をするときは、肉や魚、野菜や果物を買い、砂糖を使わずに調理して食べたいものです。


弁当を買ってきて家で食べるのも、生鮮食品を買ってきて自炊するのもたいして変わらんでしょう。


値段や時間をいいわけにしてしまうパターンが多そうですが、慣れてきたら値段はたいして変わりませんし、そんなに手の込んだものを作らない限り時間もそんなに変わりません(たぶん!)。


幸いいまは健康ブームですし、安い食材でおいしいものを簡単に作れるレシピはググればいくらでも出てくるでしょう。


現代人である私たちはインターネットという最強の武器をもっているのです。
あとはそのチート武器で「めんどくさい」←こいつを倒せば勝ちの楽なゲームです。

 

 

まあ、めんどくさいのでわたしはコンビニ弁当で済ませますけど(!?)。