『ものがたりいちば』

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映画「ザ・ハッスル」ネタバレあり、あらすじ感想

2019年アメリカ映画
監督:クリス・アディソン
主演:アン・ハサウェイレベル・ウィルソン

始めに申し上げておきますと、コメディは苦手です。
「苦手なのに、なぜ観るんだ?」と言えば、時間が短いからです。

 目次です。好きなところから読めます。

 

【序盤のあらすじ】

詐欺師の女ペニーは母国オーストラリアでなりすまし詐欺を繰り返し、逃げるように南仏へ飛びました。
いかにも富裕層が多そうな町でジョセフィーヌという女と出会います。


その町でも詐欺をしていたペニーは警官に逮捕され、牢屋から出してもらうためにジョセフィーヌに助けを求めました。
ジョセフィーヌが「ペニーが詐欺をした男はロシアンマフィアだから命が危ない」と言い、町から出て行くように忠告したので、ペニーは従って飛行機に乗ります。


しかし、じつはジョセフィーヌも詐欺師なのです。
それも、ペニーより凄腕です。


ジョセフィーヌは自分の町でペニーがセコイ詐欺を繰り返して狩場を荒らされることを懸念したため追い出したのでした。
そのことに気づいたペニーは町に戻ってきて、ジョセフィーヌに技術を教えてくれるように頼みます。
頼んでも断られたので「警察に通報する!」と脅します。


リスクを避けたいジョセフィーヌはしぶしぶ教えることを承諾しました。
レッスン内容は逃走技術、ナイフ投てき術、ダンス、そして立ちバック(笑)と多岐にわたりますが、ペニーはみるみるうちに成長を遂げていきます。


ペニーの成長を認めたジョセフィーヌは自分の詐欺チームに加え、頭のおかしな妹を演じさせて、金持ちからつぎつぎと高価な婚約指輪を巻き上げていきました。

 

【師弟対決】

これまでのセコイ詐欺とは一味違う、ラグジュアリーな詐欺ライフを歩むペニーでしたが、問題が起こります。
ジョセフィーヌが「生徒にお金を払う教師はいない」と言って分け前をくれないのです。
ごもっともです。


じつはジョセフィーヌはペニーに穏便に自分から町を出て行ってもらうために、この師弟関係を結んだのでした。
魂胆に気づいて腹を立てたペニーは「絶対出て行かない!むしろあんたが出て行け!」と駄々っ子モードに入ります。


するとジョセフィーヌは「同じ男に詐欺をしかけて、50万ドル巻き上げる競争をして負けたほうが町を出て行く」と対決を提案しました。
ペニーが勝負を受けたので、さっそくカモを選びます。
詐欺をしかけられる哀れな男は『悪口アプリ』で財産を築いた若きIT長者トーマスに決まりました。


さっそく2人はそれぞれトーマスにアプローチします。
ジョセフィーヌは美しさを生かしたお得意の「悲しい女」作戦です。
対するペニーは「失明したフリ」作戦に出ました。
どちらも人の善意につけこむ畜生以下のゲス作戦ですが、初戦の軍配はよりゲスいペニーに上がります。


ペニーはトーマスの同情を勝ち取り、距離を縮めることに成功しましたが、弟子にしてやられて黙っているジョセフィーヌではありません。


ジョセフィーヌは「ペニーが視力の治療費の名目で騙し取ろうとしていること」を逆手に取って、ペニーがでっちあげたシェフハイゼン医師になりすましたのです。
治療費を受け取るのは医者ですから、たとえペニーがトーマスを騙せても金を受け取るのはジョセフィーヌです。
さすが師匠、見事作戦の乗っ取りに成功しました。


ところがどっこい、ここからジョセフィーヌは1流の詐欺師らしからぬ不可解な行動に出始めます。


トーマスの目の前で「ペニーが見えていること」を明かそうと、あの手この手でペニーを驚かせようとするのです。

???
「ペニーが失明していないこと」がトーマスにバレたら治療費詐欺が失敗に終わるので、なにをやっているのかさっぱりわかりません。
「ほんとに1流の詐欺師なのこのひと?感」がぷんぷん漂ってまいりました。


謎に自ら作戦をぶち壊し始めた師匠に対して、弟子は作戦に真剣に向き合っています。
ペニーは「便器に入念にこすりつけた食べ物を食べてのける」ほど失明の演技をやり抜きました。
師匠のせいで危うくこの対決そのものがぶち壊しになるところを、見事乗り切ったのです。


でも演技をやり抜いてもお金を受け取るのはジョセフィーヌなので、本来ならペニーがこの捨てゲーをやるべきなのですが、根がマジメなのでしょう。


というわけで「成功したら勝てるジョセフィーヌがなぜかぶち壊しにしよう」として、「成功したら負けるペニーが真面目に作戦を完遂しようとする」という、擁護しようのないおバカな話が続きます。
これがコメディの流儀なんですかね?(笑)

 

【続くおバカ】

ジョセフィーヌ師匠の暴走はまだまだ止まりません。
北風作戦が失敗したので、お次は太陽作戦です。
というか、天岩戸作戦です。


トーマスと自分が楽しんでいる姿を見せつけて、我慢できなくなったペニーが思わず遊びに参加してしまうように仕向けます。
サイクリングを見せつけたりワインを飲んだりナイトクラブでトーマスに尻をこすりつけたりします。


もちろん、どれもたいして羨ましくないのでペニーは引っかかりません。
ジョセフィーヌから漂う3流詐欺師臭が臭くてたまりません。


こんどはペニーがこの作戦を逆手に取りました。
クラブにいた暇でしつこそうなおばちゃんたちに「失明したら親友に恋人を寝取られた」と告げたのです。
「サイテー!」と義憤に駆られたおばちゃんたちがジョセフィーヌに絡んで時間稼ぎをしてくれたので、ペニーはトーマスを連れ出して2人きりの時間を作りました。


この頃にはトーマスはすっかりペニーを信じ切っており、治療費を払う気まんまんです。
信じているどころか「君は美しい……」ともうペニーにぞっこんです。
今まで男どもから太い容姿で差別されてきたペニーは、容姿を気にせず人格を見てくれるトーマスに惹かれてしまいました。
急にいい話にしようとしています。


話しこむうちに「じつはトーマスが億万長者ではなく、資産は40万ドルで残りの10万はおばあちゃんに借りようとしていること」が判明しました。
すでにトーマスを好きになっているペニーはこのことに心を痛めます。

 

【どんでん返し?】

ペニーはジョセフィーヌの家に急行して「トーマスいいひとだから金を巻き上げるのはやめよ?」と提案します。
このままことが進めば勝者になるのはジョセフィーヌなので「負けてる側がなにを言ってるんだ?」という感じです。


しかしさすがは師匠、懐が広い。
「じゃあトーマスと寝たほうを勝ちにしましょう?」と勝利条件を変えてくれました。
トーマスはペニーに惚れているので、急に負け確定から勝ち確定になったペニーがこの提案に飛びつきます。


ですが、それは師匠の罠でした。
ジョセフィーヌはしつこいおばちゃんたちを連れ帰っており、騙されたことを知ったおばちゃんたちがペニーを拘束したのです。
どうやっても勝てる、圧倒的な力の差を弟子に見せつけてやりたかったのでしょう。


ジョセフィーヌはペニーを置き去りにしてホテルに向かい、セクシーなドレス姿でトーマスを誘惑します。
最初に「美しさでは稼げない」とペニーに伝授していたのに、結局色仕掛けです。
まあ、もう稼ぐ必要がなくなったからいいんですけど。
誘惑されたトーマスが部屋の電気を消し、そして夜が明けました。


接着剤で文字通り家に張り付けにされていたペニーは、2人が朝まで同じ部屋にいたことを知ります。
勝負にも負け、恋にも破れたペニーは町を去るために荷造りしますが、そこへトーマスがやってきて驚愕の事実を告げました。


「ジョセフィーヌとはなにもなかった。もう50万ドルも払った」
これを聞いてびっくりしたペニーは罪滅ぼしのために自分の全財産50万ドルをトーマスの口座にオンライン送金します。
しかしトーマスがペニーの口座に送金し返してきました。
2人の送金合戦が繰り広げられ、銀行が手数料を稼ぎます(笑)


結局、トーマスはペニーの金を受け取らず、プライベートジェットに乗りこみました。
まさにジェット機が滑走路を走り始めたとき、ジョセフィーヌが慌てた様子でやってきます。


ジョセフィーヌは「金を巻き上げたどころか、新しいアプリのプレゼンをされたから50万ドル投資した!」と驚愕の事実を明らかにしました。
さらに自分の口座に送り返されたと思っていたペニーの金もなくなっています。


5流の詐欺師2人が茫然としていると、トーマスからメッセージが届きました。
なんでもトーマスは伝説の詐欺師『メドューサ』の孫で、2人は完全にカモにされてしまったのです。
こうして勝負はドロー、というか2人とも負けたうえにそれぞれ50万ドルを失いました。


それから2週間後。
ジョセフィーヌの家に居候していたペニーが町を出て行こうとしていると、なんとトーマスが大勢のカモを連れて現れたのです。
今回の件で2人の腕前を認めたトーマスは「3人で組んでデカく儲けようぜ!」とチームになることを提案してきました。


いったいどこを見てトーマスが2人の腕を見こんだのか、素人ではわかりません。
玄人でもわからないかもしれません(笑)


ともかく、ジョセフィーヌとペニーはこの提案を承諾して、ペニーはトーマスと幸せなキスをします。
3人は詐欺チームとして世界を飛び回るのでした。
おしまい!

 

【まとめ】


短いことはいいこと度☆☆☆☆☆
本編88分程度で、ちゃちゃっと終わります。
すばらしい!(棒読み)

 

コメディなんてツッコミをいれながら観りゃいいんだね度☆☆☆☆☆
ふだんあまりコメディを観ないのですが、ここんところ観たコメディがぜんぶツッコミを入れざるを得ないようなストーリ不全なものばかりなので気づきました。
どうやらコメディ界では「製作サイドがわざとストーリーを不出来にすることで、客にツッコミの余地を与える」のが流儀のようです。


客と製作者の合意のもとに「不出来なストーリーが定着している」業界なのに、事情をよく知らないやつが外野から的外れな野次を飛ばして恥をかくところでした、危ない危ない……。
やっぱ自分はコメディ合わなそうっす(笑)
でも短いからついみちゃうくやしいびくんびくん!

 

アマゾンの紹介文さすがに盛りすぎ度☆☆☆☆☆
以下アマゾンビデオの紹介文の一部引用です。
レベル・ウィルソンアン・ハサウェイは、息がぴったりな女詐欺師コンビ』
!?

ペニーとジョセフィーヌが息ぴったりだったのはほんの5分ほどなんですけど!
この紹介文を読んで「ふむふむバディムービーか、よし観てみよう!」と思ってしまったひと、かわいそう……。

 

とにかく短かったのが最高でした。
以上です。