『ものがたりいちば』

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映画「愚行録」の感想 恐るべき血の宿命と偏見に満ちたストーリー展開

2017年日本映画
監督:石川慶
主演:妻夫木聡

 

なにが愚行だったのか、答えを出しました。

この記事はたぶん5分くらいで読めると思います。

 目次です。

 

 

序盤のかんたんなあらすじ


雑誌記者の田中は上司の反対を押し切って、1年前に発生した一家惨殺事件を調べはじめる。


被害者の田向一家の同僚や学生時代の友人たちに聞いて回っていくうちに、近所の住人から「人柄のよい幸せな家族」と思われていた田向家の意外な黒い一面が明らかになっていく。


はたして、田中の取材した人物のなかに殺すほどの恨みを抱いた者はいるのだろうか?

 

 

 

―――ネタバレ注意!―――

 

 

 

大学生に見えない度☆☆☆☆☆


学生時代の回想シーンがたくさん出てきますが、主要キャストの年齢が高すぎてまったく大学生に見えません(笑)


さすがに老けすぎなので、メイクとか編集ソフトとかでもうちょっとなんとかならなかったのでしょうか?


稲大とか文応大とか微妙な架空大学名がとびかってましたけど、どうせ早稲田と慶応ですよね。
それにしても慶応大が階級差別の横行する魔境だったとは……!

 

 

 

階級の壁に挑んだ戦士たちの末路哀れすぎ度☆☆☆☆☆


周囲からはエリートとして見られていた田向(被害者夫)も夏原(被害者妻)ももともとは持たざる者です。


劇中で「殿上人と庶民が結婚することなどありえない」というようなセリフがありました。


夏原は本来慶応のスーパーボンボンをつかまえたかったはずですが、どれほど美人で要領がよくても階級の壁でダメだったのでしょう。


あんなにがんばってボンボンに女を斡旋してまわったのに結婚してくれなかったのです……。
というか、そんなポン引きみたいな真似してる女と名家の息子が結婚するわけがないわなw


そんなわけで夏原は妥協してエリート庶民な田向と結婚したというわけです。
つまり階級の壁に跳ね返された敗北者です。


美貌と話術で階級の壁に手をかけるところまではうまくいきましたが、そのあとの手がよくなかったんでしょう。


取り入る手段がポン引きってアホかwww
残念、すこしオツム足らずでした!


田向にしても自力で一流企業に入ったものの、望んだ花形部署にはいけず、望まぬ仕事をいやいやこなす日々……世間的には勝者に見えても本人的には敗北者です。


どうせ花形部署は慶応なんか比較にならんほど上流階級揃いの東大卒様に取られたんでしょうw
早稲田じゃムリムリ!


上流の壁を越える夢に破れた敗北者の2人は傷をなめあうように結婚して子どもが生まれ、つつましやかですが身分にあった幸せを築こうと前を向いたところだったのに、あの惨劇です。


だいたい田向も夏原も素行は悪かったですけど、殺されて当然というほどのことはやってません。


殺されて当然枠には幼い娘をレイプしていた田中父くらいしか入らないんじゃないでしょうか。
いや、わけわからん理由で宮本さんを撲殺して他人に罪を着せた田中兄も入りますね。


あと本命忘れてました!
一家惨殺したうえにてめえの娘を虐待死させたサイコパス女田中妹はリアルに死刑以外ありえないですね!


万死に値するやつ、田中家の連中しかいねーwww
一族全員サイコパスとかこの血統おかしいぞwwww


一応念のために「サイコパス 遺伝」でググってみたら「サイコパスは8割が遺伝」という記事がちらほら出てきました。


わたしは記事の内容を精査していませんし、そもそもする能力もありませんが、あくまで仮説にすぎない『サイコパスが遺伝する』という偏見を助長するつもりはまったくありませんのであしからず。


この映画はばっちり助長してるんだけどなwww
映画の初めに「本作にはサイコパス差別を助長する意図は一切ありません」とかアナウンスしとかなくていいんですかーーー?
スーパーネタバレになっちゃいますけどねwww


さて、だから「さすがに田向家があの程度のことで一家惨殺されるほど恨まれるのはおかしいよなあ」と思っていたので、犯行動機が「サイコパス女の憧れだった」ことにはある意味納得しました。


だれかが「ある意味納得した」と言うとき、ぜったいに納得していません(笑)


田中妹がメンヘラになったのは父親にレイプされたからだとしても「憧れているひとになれないから殺した」なんて動機はただのキチガ〇サイコパスでしょう。


サスペンスで犯行動機が「もとからキチ〇イ」というのはあまり好きじゃありません。
まあわりとよくあるオチなんですけど……。

 

 

 

口は禍のもと度☆☆☆☆☆


途中、わたしは妻夫木聡演じる田中を疑っていました。
自分でやっといて取材するサイコ野郎なのかと……。
まあ宮村さんをたいした意味もなく殺すんでサイコ野郎はサイコ野郎なんですけどw


「ああはなりたくない」と言っただけで殺されてしまうなんて、ほんと宮村さんお気の毒に……。


この映画の最後の謎、タイトルの『愚行』がなにを示しているのかですが、わたしにはちゃーんと答えがわかっています。


結局、田中父からサイコパスの血を継承した兄妹もサイコパスでした。
被害に遭った哀れな方々がサイコパスに近づいたこと、そのうかつで愚かな行為が『愚行』だったのです!


実際、殺されちゃいましたしね。
日ごろからサイコパスを見抜く目を磨いて身を守るために忌避することを怠った……それこそが被害者たちの愚行だったのです……。


そんなもんわかるか無茶いうなwww
あからさまにメンヘラな妹のほうはともかく、兄のほうはわからんわwww

 

結局犯人が「ただのキチガ〇」だったというオチはあまり好きじゃありませんが、地味なのに緊張感があっておもしろかったです!

 

おもしろいけど、凶悪犯行の理由が「遺伝だった」というのはかなり偏見に満ちていて危ないなあと思いました!