『ものがたりいちば』

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映画『運び屋』ネタバレあり、あらすじ感想

2018年アメリカ映画
監督:クリント・イーストウッド
主演:クリント・イーストウッド

 目次です。好きなところから読めます。

 

【序盤のあらすじ】


園芸家の老人アールは、仕事一筋で家族をかえりみませんでした。
仕事のために1人娘の結婚式にも出席しなかったため、家族との関係は最悪で、娘は12年も口を聞いてくれません。


かつては全米の品評会で賞を受賞したこともあったのですが、インターネット通販の時代についていけず、負債を抱えて家と農園を失いました。
暇になったので顔を出した孫娘の婚約パーティで、ある男と出会い「運転するだけのかんたんなお仕事」を紹介されました。
家族との関係を修復するために「孫娘の結婚式に金を出す」という約束を守るため、アールはこの仕事を引き受けることにします。


仕事内容はテキサス州エルパソからイリノイ州シカゴまで『ある荷物』を運ぶことです。
銃で武装したあからさまに犯罪者っぽい荒くれものどもから荷物を受け取ったアールは、2000キロ以上の長距離ドライブに出発しました。


もともと旅行好きだったアールは楽しみながらシカゴまで行き、指定された場所で荷物を引き渡します。
すると驚くほど高額の報酬をもらえました。
その金で約束通り孫娘の結婚式に金を出し、ついでにボロトラックを新車に買い替えます。


これに味をしめたアールは家と農園を取り戻すために2度目の仕事を引き受けました。
今回も首尾よく仕事をこなし、報酬で負債を返済して家と農園を取り戻します。
これで怪しい仕事をやる必要がなくなったかと思いきや、行きつけの退役軍人クラブが火事で焼けてしまい、高額の修繕費が必要となりました。
仲間と集まる場所を直すために、アールは3度目の仕事を引き受けます。


回を重ねるたびに運ぶ荷物が多くなっていることが気になったので、ちょっとバッグを開けてみると当然のように麻薬が入っていました。
薄々わかっていたことですが、麻薬の運び屋をやらされていたのです。
とはいえこちとら戦争帰りの人生経験豊富な老人、ぜんぜん気にしません(笑)


無事3度目の仕事で得た報酬で退役軍人クラブを修繕し、仲間から称えられました。
しかし、シカゴでは麻薬の流入が増えたことでDEA(麻薬取締局)が本格的な捜査を始めているのでした。

 

【タタ絶好調】


メキシコにいる麻薬カルテルのボス・ラトンはアールの働きを認めてより多くのブツを運ばせることにしました。
大量のブツを運ばせるため、今度はお目付け役としてフリオとサルという手下をつけます。


フリオはアールの気ままなドライブに悩まされます。
なにしろアールは「指示なく停車するな」という決まりを平然と破ったり、宿泊したホテルにデリヘルを呼んだりと好き放題やらかすのです。
たまりかねてラトンに報告しても「じいさんのやり方でうまくいってるなら邪魔するな」と言われてしまいました。


とはいえ実際にアールがちゃんと仕事をこなしていることは確かですし、警官にからまれても追っ払える機転の持ち主です。
大仕事をこなしたアールは、なんとボスのラトンからメキシコの邸宅に招待されました。
褒美として美女をあてがわれたアールは「心臓の薬が必要だな!」と老人のデスジョークをかましてご満悦です。


稼ぎがいいので孫娘の学費を出すなどして、家族とのさらなる関係修復をはかり、どん底だった人生が急上昇しました。


DEAは毎月大量のブツをシカゴに運ぶ凄腕の運び屋『タタ(アール)』の存在を追っていますが、何度しっぽをつかもうとしても外れに終わり、上層部からプレッシャーをかけられます。
そこで特別捜査官のベイツは組織の一員をスパイにしてタタの動向を報告させる作戦に出ました。


いっぽう、メキシコでも動きがあります。
麻薬カルテル内でクーデターが起き、ラトンが殺されて新しいボスが仕切るようになったのです。
新ボスはラトンと違って組織をきつく締め上げ、脅しのためにフリオの相棒サルを殺害してアールにもすべて指示通りに動くように強制します。
気ままなドライブ旅行に暗雲が垂れ込めてきました。

 

【人生の後悔】


運び屋タタの「運輸ルート」「目的地」「黒いトラックに乗っている」ことなど顔以外ほとんどすべての情報を得ているのに、DEAはどうしてもタタを摘発することができません。
アールが気ままに寄り道して時間通りに動かないため、捜査がかく乱されていたこともありますが、いちばんの要因はアールが害のなさそうなただの老人だったことです。


スパイからタタの泊っているホテルを聞き出したベイツ捜査官は強硬手段に出ることにします。
怪しそうなやつにカマをかけて強引に部屋を捜索することにしたのです。
しかし、残念ながらやはり伝説的な運び屋がただの老人とは気づかず、空振りに終わります。
翌朝、レストランでベイツと出会ったアールは「俺みたいになりたくなければ仕事よりも家族を優先しろ」とアドバイスを送りました。


組織はさらなる儲けのためにアールにこれまでにない大量のブツを運ばせることにしました。
時間を守ろうとしていたアールですが、孫娘から元妻が病気で倒れて危篤だという知らせが入り、やむなく仕事を放り出して妻の家に向かいます。
もちろんトラックの荷台には大量のブツを積んだままです(笑)


急にアールが消えて連絡も取れなくなったため、組織の連中もDEAも大混乱になりました。
病床の妻から「大金をどうやって手に入れたの?」と聞かれたので「麻薬の運び屋をやって稼いだ」と正直に答えましたが、ジョークだと思われて笑われました。
いや、そこに停めてある車に大量のブツがあるんですけど(笑)


結局アールは妻が亡くなるまで1週間以上付き添い、その後の葬儀にも出席しました。
そんなことをすれば殺されるとわかっていても、アールは家族との関係修復を優先したのです。
そのおかげで死に際の妻に赦され、お互いの愛を確認し合うことができたうえ、長年口を聞いてくれなかった娘とも仲直りすることができました。

 

【結末】


葬儀を終えたアールはしれっと仕事に戻りますが、もちろん組織の連中が黙っていません。
捕まって殺されそうになるのですが「妻の葬儀に出ていた」と聞いて連中も困惑気味です(笑)
しかし、新ボスは「運ばせたあと殺せ」と指示を出しました。


それを盗聴していたDEAは今度こそアールを逮捕して組織を潰す大作戦を開始します。
ヘリでアールのトラックを追跡し、道路を封鎖して車を停めさせました。
中から出てきたアールを見て、ベイツは「あんたか」と驚きます。


逮捕されたアールは裁判で自分の罪をすべて認め、刑務所に行くことになりました。
とはいえ娘には「できるだけ面会に行くから」と言ってもらえたので、アールは満足そうです。
刑務所では楽しそうに得意の園芸作業をするアールの姿があるのでした……。
おしまい。

 

【まとめ】

 

犯罪者のジレンマ度☆☆☆☆☆
犯罪組織のメンバーは身内に舐められちゃいけないので、強面に見えるようなファッションをしますが、そうすることで警察に目を付けられやすくなるという……。
かといって一般人みたいなファッションにすると舐められるという……。
警察も犯罪組織のメンバーのそういう心理をわかっているので、怪しいやつに狙いをつけるのですが、そのせいで平凡な老人のアールを見逃し続けるという……。

 

イーストウッドが縮んだ度☆☆☆☆☆
190センチ超えの長身だったはずですが、さすがに90歳近くなって小さくなってました。

 

サルがなにをやらかしたか知りたい度☆☆☆☆☆
なんで殺されたんですかーーーーー?

以上です。